パパ日記

サードウエーブ-2 言葉の意味

トリッシュ・ロスギブさんが2002年初めてこの言葉を使用しました。彼女はコモディティコーヒー以外のコーヒーを見直す時代の萌芽を感じ取ったのだと思います。
この言葉はあくまで米国マーケットでの動きを意味し、日本に当てはめるにはさらなる定義付けが必要と考えます。

 

 

2000年以降のSCAAの展示会はスペシャルティコーヒーの機運が高まりつつある時期で、2001年マイアミ大会あたりから私も含め日本のコーヒー関係者も多く訪問するようになりました。
このころから日本でも「スペシャルティコーヒー」という言葉が使用され始めました。
したがって、米国および日本でも新しいコーヒーの文化が生まれつつありました。
その後2003年にはSCAJが発足し、2004年のSCAAのアトランタ大会では、私が日本の「スペシャルティコーヒーマーケットについて」講演もしています。またこの年は堀口珈琲の運営しているLCFのメンバーとのミッションも実施しています。
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2004年SCAAアトランタにて

 

サードウエーブを検証していくと、米国でも2000年前半まではこの言葉はあまり使用されていなかったと思います。2005年に出版した私の「スペシャルティコーヒーの本」ではこの言葉を使用していませんし、米国でもこのような言葉を聞くことはなかったように思います。おそらく、2005年以降の新しいコーヒーの動きが全米で顕著になりつつある時期から多く使われだしたと感じます。

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この本は2005年に出版しています。
当時日本ではスペシャルティコーヒーの革命的なムーブメントを体験している会社は極めて少なく、後進に2000年代の前半の記録を残すために書いたものです。
いま読み返すと、すでに堀口珈琲がこんなことをしていたんだと世界中のコーヒー関係者は驚くでしょう。10年後の今日 史料的価値があると思います。

 

 

 

このサードウエーブという言葉は、高品質のコーヒーを求めるスペシャルティコーヒーのムーブメントが生み出したもので、そのベースになった概念はトレサビリティ、サスティナビリティ、フェアトレード、オルガニック等です。
一つはインテリジェンシア、スタンプタウン、カウンターカルチャーなどの急成長したロースターの動きであり、今一つは西海岸のブルーボトルなどに代表されるマイクロロースターの動きであり、そのような動きが米国コーヒーマーケットに影響力を持ち始めたころから使用されるようになったと思います。
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ブルーボトルとサイトグラスの看板
下の写真はロス2店あるインテリジェンシアの店内デザインは従来のコーヒーショップに比べ開放的で斬新です。
そのため日本や韓国でも真似しがち、他方彼らも日本の喫茶店の木を使用したインテリアを真似し、お互いに影響を与え合っているともいえる。
ペーパードリップに関しては、ハリオが多く使用され日本の影響が色濃い。

 

 

 

しかし、このサードウエーブという言葉で、「新しければ何でもサードウエーブ」としてすべてを包括してしまうには無理があります。
特に日本のメディアは何でもサードウエーブと短絡的にまとめてしまう傾向があり、きちんと歴史的背景を確認すべきでしょう。
つまりこの時代におけるコーヒーの革命的変化の息吹を感じとってコーヒー業界に参入した人々が起こした会社や店をいうべきでしょう。
少なくともサードウエーブと呼べるのは、現時点で10年程度のキャリアがあるロースターやマイクロロースターとなるでしょう。

 

 


ポートランドの「heart」や「coave」など、2008年以降のスペシャルティコーヒーマが普及した後に開店した店は、サードウエーブの理念に影響を受けた次世代(子供たち)というべきでしょう。
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ポートランドの「コーバ」と「ハーツ」
日本の自家焙煎店のような店。
目新しいことは特になく、コーバのコーンくらいか。
*コーン=ケメックス用、紙に代わる円錐金属フィルター

 

 

 

日本ではすでに2000年以前からビーンズショップムーブメントが萌芽しています。
それは2000年以降年間250店以上のビーンズショップが開業していることからも裏付けられます。
例えば、その主導的立場にいた堀口珈琲などはすでにトレサビリティやサスティナビリティの概念を理解し、生産地に赴き、パートナーシップという取引形態で生豆の取引を初めています。
もし、日本においてサードウエーブという言葉を使用するのであれば、2005年前後までのスペシャルティコーヒーの激動期の最中に、高品質の生豆を求め開店した店に対してこそ使用すべきでしょう。

 

 

次回は米国のサードウエーブの特徴について