パパ日記

烏龍茶と紅茶と微発酵

中国茶の知人の店を訪問しました。
中国茶は特殊なマーケットで、日本ではなかなか広がりがなく、マーケットは縮小傾向にあるようです。比較的安いものは100g単位ですが、高級品の価格は高くなり25g程度のパッケージで1300円以上になっています。

 

 

 

一般的には、中国烏龍茶は発酵の強いものが多く、お茶好きは濃厚で深みのある味を好んでいました。しかし、最近の台湾などでは標高の高い産地の茶園が開発され、それを微発酵で緑色が残るくらいにして、フローラルや新鮮な果実感を楽しむ方向へとシフトしてきています。
食生活との相性もありますのでどちらが良いかは一概にいえませんが、深い発酵の高品質茶は手間はかかります。

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台湾の貴妃・凍頂烏龍茶。

ウンカ(葉から液を吸う虫)の被害を受けた際に、試しに茶を作ってみたところ香味が良かったため生まれたお茶で、現在はあえてウンカに噛ませて独特のフルーティな風味を出すお茶です。(但し噛ませすぎると枯れてしまうとのこと)

 

 

日本では、伊藤園が30年程前?にウーロン缶を出して、その後のペットボトルの消費拡大は異常ともいえるほどです。
飲み屋でも酒が飲めない人は「ウーロン」という時代は今でも続いています。
しかし、煎茶をたしなむ国で、烏龍茶の茶葉を楽しむ家庭は少なく、よい香味を理解する消費者は今でも少ないのはやむを得ないかもしれません。

インドの紅茶であるダージリンもアッサムなどに比べ発酵は弱く、茶葉は緑色っぽく、私がこの仕事を始めた1990年時点では高品質の茶園のダージリンを理解できるお客様はよほどの紅茶好きでした。
大部分のお客様から、色が出ない、ミルクを入れると味がしない等と言われました。
そのため、初めからミルクを使用される方には発酵がしっかりし、香りのよいアッサムをお勧めしました。
この当時このような紅茶を使用する喫茶店はほとんどありませんでしたので、フローラルで繊細な香味のダージリンが理解されるまでには数年ほどかかりました。
茶葉が緑に近い高級品のダージリンは極めて珍しい紅茶であった訳です。
それらに比べセイロンティーは比較的価格も安く、汎用品として多く流通していました。
ケニアの紅茶などは、ブレンドで使用され産地名さえ表に出ることはありませんでした。
 

 

この当時、コーヒーの世界では農園ものは皆無でした。
焙煎はミディアムが99%で、焙煎の多様性はなく、ブレンドやアイスコーヒーにロブスタを配合するのはごく当たり前の時代でした。
コーヒーに砂糖やミルクを入れるお客様も多く、砂糖の種類にも気を配った時代です。
 

 

ダージリンの茶園も、私がこの仕事を始めたころに比べ高価格になりました。
良心的な紅茶屋さんで、シングルエステートのファーストフラッシュが100g2.300円くらい、高いところではその倍くらいします。
したがって50g以下のパッケージが増加しています。
但し、ダージリンは年3回茶葉を摘みますので、同じ茶園で様々な香味を楽しむこともできます。
昨日、ファーストフラッシュが飲みたくなり、自宅用に知人の輸入会社に注文しました。

 

 

 

カフェや喫茶、レストラン、ホテルなどで、まともなコーヒーに遭遇することが少ないのと同じように、まともな香味のダージリンにもなかなか遭遇しません。

コーヒーも紅茶の世界もやはり汎用品が多く流通していますので、やむを得ないともいえますが、それなりの価格をとる場合には何とかよいものを提供してほしいものです。
先日は、某ホテルのアフタヌーンティセットでダージリンを選びましたが悲惨でしたし、紅茶専門のチェーンでダージリンを頼みましたが同じように味気のないものでした。

 

 

 

今日は、セブンイレブンのコーヒーを、テースティング(年3~4回程度)しつつ書いています。