パパ日記

高知から

高知県立大学の永国寺キャンパスを会場に行われた24~25日の学会に出席し始めて講演しました。口頭発表は12分で3分質疑という形。時間厳守となります。学術的な初めての講演で、教授に指導を受けつつ、ささやかなデビューとでもいうのでしょうか?

 

 

社会科学的な学会ではなく、化学などが基礎となりますので自分のこれまでの専門分野でとは異なり、また出席者の多くは研究機関や大学の先生ですので、個人的にはかなり特異な状況下に置かれ、要領がつかめないなかで迷いながらなんとか終えたという感じです。

 

 

高知県は、野菜、果物から海産物、食肉に至るまでおいしい食材のある産地ですが、製造出荷額は都道府県最下位で、産業構造が1次産業に偏っています。他の多くの県も同じように1次産業のみでは国内需要の減少の中で、利益率も低く農業の持続という根本的な問題を抱えています。

 

 

 

そこで6次産業化という加工(2次)、及び流通(3次)産業にかかわることでの付加価値を生み出そうとする取り組みが(1+2+3次産業=6次産業)がおこなわれています。

 

 

 

その中で地場の農作物における機能性食品としての研究やとそれに基づく加工品の開発などが問われ、また国内、海外に向けた輸送や保存に伴う鮮度維持の様々な研究も重要になっています。
そのような観点から、高知大学は「土佐フードビジネスセンター」という専門的な学習の場を設け、人材育成事業に取り組みつつ一定の成果を上げています。
日本の1次産業の良さを日本及び世界に発信するには、生産者のみでは困難で、研究サイドからの支援、県などの支援などは重要となりますが、簡単ではありません。

 

 

 

コーヒー産業も、世界的な消費の拡大という側面から見れば隆盛しているように見えますが、構造的には多くの問題を抱えています。需要に対する生産減少不安は、気象変動、さび病、1次産業人口の減少など様々なところで見られるようになりました。

 

 

 

多くの嗜好飲料の中で最も強力でその広がりの大きなコーヒーを、次の世代に残していくにはどうすればよいのか?という視点からもコーヒーを考えることが必要な時代になっています。
単純にロブスタの生産拡大のみで需要の増大に対処してもおいしさは伴いませんし、良質のハイブリッドの開発はまだ途上ですし、安価なアラビカの流通が広がればよいわけではありません。コーヒーは嗜好品としてのおいしさも問われますので、高品質のおいしいコーヒーも必要になります。価格競争によるディスカウントマーケットの拡大と寡占化は、結果的にコーヒー生産の衰退につながる可能性があるということも理解しなければなりません。

 

 

結果的には、ロブスタやアラビカの多様な品質のコーヒーがバランスよく適正な価格で流通していくことが、生産者の生活に寄与し、コーヒー産業を維持されると考えています。そのためには、まずコーヒーの品質について、生活者やコーヒー産業従事者が正しく理解することが重要で、コーヒー研究の基本は、コーヒー産業の維持につながらなければなりません。