パパ日記

新年 その5・セイラー「実践行動経済学」

経済学は、そもそも人を豊かにし、幸福をもたらすために生まれた学問ですが、最近は難しくなりすぎ、また間口が広がりすぎ、毎年解説本が山のように出る時代となっています。

 

 

 

 

従来の経済学は「人間は必ず合理的な行動をする」ということを前提としてきた学問ですが、現在はそれだけでは解明できない非合理的な経済行動があり、人間の心理という視点から解明しようとしたものが行動経済学(behavioral economics)と呼ばれています。
それらは、心理学を駆使しマーケティングに応用されるようになっています。

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ノーベル経済学賞を受賞したセイラー教授の「実践行動経済学」は、その第1部で行動経済学の基本概念である、バイアス、フ―レミング、アンカリング、認知システム、そして最も重要なナッジについて解説しています。
しかし、この本は翻訳本にありがちなわかりにくい文章が多く、意味を読みとることが意外に難しいように感じます。

 

 

 

簡単に行ってしまえば、人間は合理的ではなく、曖昧なことをするが、ナッジ(nudge=相手を肘で軽くつつく=小さな誘導)を与えれば行動を変えられるといっています。
つまりは人間の行動を観察し、その結果から個人の選択権を残しながら、非合理的行動に対し、ナッジし、社会的に望ましい方向に制度などを作っていけば社会はよくなるという論理です。

 

 

 

個人の意思を尊重しつつ、ナッジして選択肢を工夫するのですから、心理学であり、マーケティング手法ということにつながります。
簡単な事例としては「税の滞納者に、納税者のほとんどが税金を期限内に払っていますという手紙を添えると納税率が改善する。フレーミング効果として、年間350ドル節約できといういい方より、年間350ドル損をするといういい方のほうが省エネ対策効果が高い。アンカリングとして、寄付を集める時に、選択肢が50、75、100、150ドルより、100、250、1.000、5.000ドルの方が人はたくさん寄付しようとする。などが記されています。

 

 

 

行動経済学というのか心理学では、アンダーマイニング効果、おとり効果、ハロー効果、上昇選好、目標購買仮説、同調行動、損失回避法則、プラセボ効果など様々なものがありますので、うまくナッジをかければ消費行動が変わるのかもしれません。
「品質」や「まっとうさ」だけでは、モノが売れるとは限らない時代にあるということは、インフルエンサー、キーパーソン、も「ナッジ」のようなものということになるのでしょうか?

 

 

 

インフルエンサーは、5.000~20.000人のフォアローが適当というのはなんとなくわかります。
それを上回ると単なる通りすがりが増えるでしょう。
私の、周りには3.000から150.000人のフォアローを持つ人がいますが、コーヒーのジャンルではありませんので、キーパーソン効果はないでしょう。

 

 

 

よくよく考えてみると、SNS上ではありませんが、私はコーヒー関連では山本さんのいうところのキーパーソンの位置にいるのかもしれません。
SNSをやればよいのかもしれませんが、深い共感のコミュニケーションの方がよいと考えるのは古い世代だからでしょうか

 

 

 

創業時から対面コミュニケーションを重視してきました。
口コミを重視していましたの取材をうければ必ず、店頭や通販(SNSのない時代)でもそのコピーを必ず豆と一緒にお渡し、口コミでの拡散を意識していました。
また、優れたものは、誰かに伝えたいという欲求も生じますので、消費者の方々に営業していただくということも重要と考えていました。

 

 

 

セミナーも同じように、最終的には商品を知っていただき、購入していただくために行っていました。
受講も、2回、3回と繰り返し来ていただくには他では得られない情報を提供することが重要と考えていました。
全国からこられる方々に、受講料以外にもかかるコストに見合う「コト」を提供しなければ、継続はできませんので、基本的にはgive & giveという考えかたでした。
受講者は、15年間で延人数で20.000人近くに上り、多くの方々に情報を伝え、そこから2次情報が派生していったと考えます。

 

 

 

また2000年代終盤くらいまでに時代は、書籍に信頼性という力があり、そこから取材が派生していく構造になっていましたので、執筆も多くしてきました。但し、現在の取材アクセスはHP上からに変わっています。
また、20000年頃からでしょうか、何らかの形でこのようなブログも継続してきました。
現在は、社長もやめ、大学院生ですので、過度の露出はしていませんので、このブログのみがみなさんとの唯一の接点です。
「みなさん」とは、消費者の方々、同業者の方々、社員、不特定多数など ケースバイケースであり、その時々で異なります。読み手が決めればよいとも考えます。

 

 

 

さて、この情報伝達の難しい時代にあって、小さな会社やビーンズショップはどうすればよいのか?について、そろそろまとめに入っていきたいと思います。