パパ日記

テロワール-8 標高

話が横道にそれて、エンディングに向かいません。
WCR(ワールドコーヒーリサーチ)は、このまま気温が上昇すると仮定し、かつ何もしないでいると
2050年にはブラジル、インド、ニカラグアなどで栽培適地の60%が失われ、
また平均気温が30℃以上の気温にさらされる産地が、現在の25%から79%に増加すると警告しています。

 

 

 

 

 

 

アラビカ種のコーヒー産地の平均気温は21~23℃ですから、
気温が上がれば高温多湿に適応できるロブスタ種が増加することになります。
すでに、酸味のないロブスタの収穫量が43%に及ぶ年さえあります。
ブラジルのロブスタであるコニロン(国内消費で輸出されない)の収穫増もそれに拍車をかけています。
そのため、WCRはハイブリット種の開発をし、世界中の農園で、栽培品種の適応性を探っている訳です。

 

 

 

 

 

 

WCRのハイブリッドには、エチオピア種とアラビカ種などの交配も多く、風味への期待度はありますが、
ハイブリットと収産地との栽培適正はまだ報告されていません。
世界中の多くの農園で様々な品種が植えられていますが、農園サイドには品種情報は一切伝えられません。
某農園では、あまり生育が良くないとの話を聞きましたが、
ここ1-2年で概要が見えてくるとは思います。

 

 

 

 

 

 

これまでのハイブリットは、従来のカチモール(ロブスタの遺伝子が混ざっている)とアラビカ種のカトゥーラなどの交配でした。風味が今一つというものも多くみられますが、コロンビアのハイブリットであるカスティージョなどではウイラやナリーニョなどの一部地域のテロワールが風味に個性をもたらしているとも推測されます。
テロワール≧カスティージョ。

 

 

 

 

 

 

これらは、緯度が同じであれば標高の高い方(2000mくらいが栽培限界といわれましたが、最近はさらに高い産地もみられる)が優れたコーヒーができる(中米は標高で等級区分される)可能性があるもしくは傾向があると考えられます。

 

 

 

 

この場合、単に標高の高さの昼夜の寒暖差のみでなく、土壌や地形も絡んだテロワールと推測されます。
地形とか圃場の良し悪しはかなり重要でしょう。

 

 

 

 

 

FNC(コロンビア生産者連合)は、COEの入賞豆について(2005年から2015年)、カトゥーラ種とカスティージョ種別に標高何mで栽培されたものが多く入賞しているのかのデータを作成しています。
カトゥラ及びカスティージョ種共に、標高、1601mから1800mで収穫された豆の入賞数が多いという結果ですが、
官能評価の得点は、カトゥーラ種は2000以上で収穫された豆の得点が高く、カスティージョは、標高による官能評価差は少ないという結果でした。
コロンビアにおいて、標高に限っていえば、カスティージョの適応性がい高いといえそうです。

 

 

 

 

 

 

さて、同緯度の800mと1200mで栽培された豆と、1800mで栽培された豆には、多くの場合総酸量や脂質量に有意差はみられます。
酸の強さは標高によるところもあるとおもいますが、酸の組成については、土壌もあるとは思うのですが、最近直射日光の影響もあるのではないかと考えてもいます。
気温が30度を超えると葉の温度は40℃を超えるという研究結果もあり、光合成を著しく低下させ、糖質の生成に影響があり、焙煎による有機酸の組成にも影響するとは推測できそうです。
この辺りに踏み込んで研究するエネルギーはありませんのしからず。

 

 

 

 

LCMSで質量分析していけば、成分は細かく見えてきますが、メカニズムまではわからないでしょう。
いったんここでは、やはり、テロワールということにしておきましょう。
いつまでたっても終わらないので、このテーマはソロソロ終了します。
まとまっていないのは、短時間で書いていますので悪しからず。