パパ日記

タママウンテン

コロンビアは、病害虫対策及び量産のため品種改良が繰り返されてきました。
伝統的にはティピカ種の産地でしたが、70年代からカツウラ種に、80年代はバリエダコロンビア種などが多く流通するようになり、現在ティピカは全生産量の10%程度もしくはそれ以下と推測されます。

コロンビアの生産量は、ベトナムに抜かれる数年前まで、世界第2位を誇るウオッシュトコーヒーの優良生産地でしたが、この品種改良により、コロンビアの香味は低下傾向に向かいました。

それでもコロンビアウオッシュトのコクは、マイルドコーヒーの代表し、ブレンドに極めて重要で、中米のコーヒーでは代用できないものでした。この感覚を理解できれば、コロンビアの重要性が理解できます。

したがって、当社は開店以来常に優れたコロンビアを探すことに労力をかけてきました。あらゆるコロンビアを片っ端から10年間試しに試しながら使用しました。

コロンビアを探す試行錯誤の中で、2003年に遭遇したのが「オズワルド農園」でした。
コロンビアのモデル農園として有機栽培を取り入れ、かつレインフォレストアライアンス、バードフレンドリーの認証を得ていました。そのため、米国で圧倒的ファンを持つ農園となり、ロイヤルコーヒー(米国のトレーダー)が多くを購入し、全米のロースターに販売していました。
この農園の主な栽培品種はカツウラですが、そのほかにブルボン種も栽培していたため、当社はブルボンを初年度から使用してきました。
その後、オズワルドは、ティピカの栽培を始めましたので、2年前からティピカ種を購入しています。
もともと価格の高いコーヒーのため、米国マーケットは比較的安いカツーラ、堀口は価格の高いティピカという住み分けが出来ています。現在、新しいドライミルで真空仕様で準備中です。(この詳細は後日)

このオズワルドのみでは使用数量が不足するようになり、5年ほど前から新たな産地を本格的に探しました。

コロンビアにおけるティピカの産地は極めて少なく、これまでサンタマルタ、ボコタ、その他の産地のティピカを何年も試してきましたが、多くはコクがなく、幻を追い求めているのでは?と迷いましたが、あきらめることはしませんでした。

理由は簡単です。ティピカはコーヒーの基本の香味の一つだからです。遠い昔カリブ海のマルティニーク島から伝播した樹の子孫のティピカの香味を理解せずにはコーヒーの香味の全体の香味が理解できないからです。

そして、各産地を探しながら遭遇したのがトレド、ラバテカ地区の小農家の豆を集めたティピカでした。
この古い産地にはティピカが多く栽培され、一部カツーラ種が栽培されていましたので、どのようなコーヒーを作ってもらうかを検討しました。
ティピカ100%に選別したもの、ティピカとカツーラが7対3程度のもの、スクリーンサイズがS17ア以上のもの、S16以上のものなど、さまざまなパターンをカッピングして、ティピカが78割で少量カツーラが混ざるS16アップの仕様にたどり着きました。

これが「タマ・マウンテン」(別名トレド)です。この産地の近くにタマという山がありFNC(コロンビア生産者連合)が名前をつけてくれました。
このコーヒーには、ティピカ系の澄んだきれいな酸があり、2つの品種の配合率が優れたコクを生み出すコーヒーとなりました。

しかし、この香味を日本で維持するには、生豆の鮮度維持が不可欠で、リーファーコンテでの輸入、定温倉庫での保管が必須となります。
優れたティピカを探し求め20年を経ましたが、このコーヒーはコロンビアの伝統的なティピカの香味を内包していると思います。先日入港しましたので4月には販売できると思います。

*ティピカは高地栽培に向く品種で、繊細な香味があります。
しかし、病害虫に弱く、収穫量も少ないため植え替えられることが多く、生産量は減少しつつあります。
主な生産地は、ジャマイカ、ハワイコナ、パプアニューギニア、東チモール、コロンビアなどです。