パパ日記

壮絶な打撃戦 ケニア

ケニアのナイロビでオークションは毎週火曜日に開催されます。
現地輸出会社などが参加ライセンスを持ち、日本の商社は現地輸出会社から購入することになります。
一般的な生豆の流通は、現地輸出会社~日本の商社~問屋経由~ロースターとなりますが、この流れの中ではいいケニアの入手は困難と判断し、02-03クロップから、ナイロビの輸出会社と日本のトレーダーに協力してもらい、オークションで直接落札する方法を模索しました。

まずオークション出品リストから農園(ケニアには農園は非常に少ない)もしくは農協傘下のファクトリー(ウエットミル=水洗工場)のリストをもらいます。
その中から、サンプルを取り寄せるのですが、ケニアには400以上のファクトリーがあり、初期は「何を買えばいいのか?」わからず、毎週サンプルを取り寄せてはカッピングに明け暮れました。
経験を経るにつれ、いい農園、いいファクトリーが徐々にわかるようになり、いい豆の購入精度も高くなっていきました。このようにして毎年すばらしいケニアを確保してきました。

しかし、10-11のメインクロップのケニアオークションは例年に比べ予想以上に早く盛り上がりを見せました。
通常は1~2月頃からのオークションに参加すればよいのですが、10-11クロップは12月には早くも激しい争奪戦が展開されました。
それも生豆相場の高騰の折、価格は跳ね上がり、従来の常識を超えた高値での落札が続きました。
輸出会社である主な3社が高値で落札する中に当社も参加せざるを得ませんでした。

「ケニアのスペシャリストとしての意地を見せる」「当社で買わなければトップグレードのケニアは日本で飲めなくなる」との心意気で、ケニアフレーバーのいいものは、エンドレスで落札を続け、多くのロットを購入しました。

ケニアのAAグレードは、1ロット30~60袋(60k)程度ですので、それらを7ロット落札し、さらに別ルートでも獲得をしてきました。
しかし、あまりの高値での落札となり、販売リスクという「返り血」も多く浴びています。
あるロットは十数年ぶりの高値の落札で、「スカイロケットのよう」と関係者たちが驚きの声をあげ、ロイターで世界中に配信されました。この豆もいずれ販売します。

こうして、昨年12月から今年の2月までの3ヶ月弱の間、ケニア最高峰生豆の獲得合戦を展開し、結果として350袋程度購入しています。
10-11は特にケニアフレーバーのすばらしいコーヒーが多くあり、世界広しといえどもこれだけのケニアの逸品を品揃えできるロースターは多くはないだろうと自賛しています。

現在、パーチメントをレスティングしていますので、今後、順次船積みの準備に入っていきます。入港まで今しばらくお待ちください。

*ケニアフレーバーは下記のような多様で複雑な香味全般を指します。(堀口見解)
「柑橘系の強い酸とコク、熟した果実の甘い酸と濃縮感のあるコク、パッションフルーツのような甘すっぱい酸、杏ジャムのような甘み、ベリー系の果実の香味、赤ワイン、蜜など多様」
優れたケニアコーヒーは極めて個性的であり、SCAA基準で85点以上のコーヒーの宝庫ともいえ、スペシャルティコーヒーの中でも突出しています。