パパ日記

コーヒー品種 16 F1ハイブリッド でいいのか?

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コーヒーセミナー

 

「コーヒーは、いま大きな変動の波にさらされている」というか、価値観の転換点に差し掛かっているように思います。

一つは嫌気性菌などを使用した発酵による新しい味を作る方法です。
世界中の生産農家が関心を寄せ、取り組み初めています。
これは、ジャコウネコのフンの中にあるコーヒーと同じようなもので、特殊な風味は腸内で嫌気性発酵していると考えられます。
こちらは微生物研究が必要になります。

いま一つは、F1による生産の仕組みです。
これが本当に良いのかについては個人的には判断ができません。
組織培養で苗を作って台木の苗に接ぎ木をしていくようなことなのだと思います。

この両者については、専門外ですので、かなり学習が必要です。

これとは別に、農法の研究があってもいいような気もします。
つまりは熱帯作物のコーヒーを日本で栽培する方法を開発していければよい訳です。アップルマンゴーは、北海道でも作れるようになっていますが、バナナが参考になるかもしれません。

「凍結解凍覚醒法」という方法で、 種子を 特殊な溶液に浸し、マイナス60度でゆっくり凍結し、解凍する農法のことのようです。この工程を経た苗は耐寒性を持ち、零下17度まで耐えられ、熱帯でなくても育成可能となるというわけです。このバナナは、少し話題になりました。

話がそれました。
F1品種とは品種改良で生まれた1代目の品種のことです。
F1品種は優秀な種を掛け合わせることができますので、風味にばらつきのないものが作れます。気候変動でアラビカ種の生産減少がいわれていますので、従来の生産システムとは異なる新しい価値観といえます。

メリットは、生産効率がよくなる、耐病の品種を作ることができる、温暖化対策が可能になる、同じ形状のものを作ることができる、大量生産が可能になる
などが考えられます。

反面、問題点も発生する可能性があります。
F1品種ばかりになると、品種に偏りが出てしまう可能性がある、その地域や地区の風味特性が均一になる可能性がある、また、農家は毎年新しい苗を購入する必要があるかもしれません。苗の販売の管理をどこが、どのように行うのかが問われます。

多くの国の農園や農家は、自分でチェリーから種にし、苗床をつくっていますのが、そのような方法とはことなります。

ティピカ種などは、非生産的な品種になりますので、どうなってしまうのでしょう?風味もゲイシャ種やパカマラ種のように派手ではありませんが、コーヒーの風味の基本ですが、風味が維持できるのか否かはまだよくわかりません。
風味に関して言えば、エチオピア系やゲイシャ系の品種でF1を作る傾向が強く、コーヒーの風味の多様性をどこまで考慮しているのかについては、よくわかりません。

WCRは、2025年までにセントラルアメリカおよびアフリカの農家向けに地域に適応した品種をリリースすることを目指しています。

WCRの活動は応援していますが、科学的な側面からの科学者の発想にかたよりがちな側面もありますので、今後の推移を見守りたいと思います。

ポートランドのASIC(2018年)でご一緒した某社の方は、F1をフランスの研究所で研究し、ニカラグアで実証実験をしていましたので、帰国後どうされているのかしら。

CATIEのウイリアム博士は以下のようにコメントしていますが……。
I am 100% certain that the future of coffee depends on hybrids’ success.- William Solano.