パパ日記

Brazil6 ブラジルのコーヒー土壌と火山灰土壌1

世田谷産のブルーベリー。今はオレゴン産のブルーベリーがスーパーに出回っています。甘味がありおいしいブルーベリーです。この世田谷産は程よい酸味があり、オレゴン産より味のメリハリがあります。

 

400~500ggくらいで500円です 国産としてはかなり安い

 

ブラジルの土壌が風味にどの程度影響を与えているのか?については難しすぎるテーマですね。土壌だけが風味に影響するわけではありませんが、*土壌改良研究はされてきています。

一般的には、栽培に適する土壌は、弱酸性で、土層が深く、耕作しやすく(砕けやすい)、粗く(粘着性がない)、排水性がよく、腐植に富み、置換性塩基(カルシウム、マグネシウム、カリウム)の容量が多い方がよいといわれます。中でも腐植含有量が高いことが重要とされています。この特長は、エチオピアの自生地の特性と合致しているといわれます。

世界の土壌は、US Soil Taxonomy(米国土壌分類法)では、土壌を12に区分しています。コーヒー産地は、タンザニア、グァテマラ、コロンビア、ハワイ島、ジャワ島など火山の近くに見られ、弱酸性の火山性土壌(Andosol/火山灰に由来した鉱物性)で日本でもよく見られる土壌です。色が黒く、その上を歩いてみるとボクボクしていますので、日本語の「暗土」にちなんで*黒ボク土(Andosoi)と日本名が付けられています。
そもそも、火山灰土壌は世界中では珍しい土壌の範疇にはいります。

一般的には、コーヒー生産地に多く見られるこの黒ボク土がコーヒーの品質によい影響を及ぼすと考えられています。その一つは、火山性土壌が高い保水性と透水性を持っていること。もう1つは土壌が有機物、腐植(動植物の死骸が分解した物)を多く含み、豆の脂質などに影響を与えていると考えられるからです。

しかし、世界中の産地を歩いてみると、やせた樹も多く、施肥が必要だということがわかります。火山性土壌というと一見肥沃そうに思えますが、肥沃な土壌とは言い切れない側面もあるように感じます。

小農家でもチェリーの脱穀後、鶏糞などとで有機肥料を作りますし、ハワイコナなどでは大量の肥料を入れます。直射日光の当たる産地では、窒素が不足しますので、マメ科のシェードツリーを植え、その落葉で窒素補填します。

そうしてみると、火山性土壌でも、霜が降りやすい場所はあり、標高が下がるにつれて、より痩せた土壌に変化している可能性もあるとも考えられます。

また、コーヒーの植えられている生産地は、火山性とは異なる土壌も多く見られます。ジャマイカなどは石灰質土壌です。したがって、ブルーマウンテンは、酸味が弱く、甘味を感じるため中米の酸味主体のコーヒーとの差別化ができていたはずです。最近のブルーマウンテンNo1には酸味を感じますので、昔の風味とは異なるものが見られます(以前その理由を書いた記憶があります)

諸々考えると、土壌がよければ、何もしないでも風味のよいコーヒーは出来そうですが、基本的にはコーヒーは施肥の必要な植物です。また、剪定などの手入れをしないと樹の寿命は短くなります。反対に、火山灰性土壌ではなく、痩せた土壌でも、保水性と水はけが良く、弱酸性の土壌であれば、施肥を通し栄養管理を行えば、コーヒーは育つはずです。ただし、風味がどの程度よくなるのかは今のところ検証できていないとおもいます。

しかし、そもそも生産比率の80%(2016年ASIC)を占める小農家がそのようなきちんとした栽培管理をしている事例は少ないでしょうね。
東チモールでもスマトラ島でも中米でも、管理されていないやせた樹を多く見ます。

また優れたコーヒー産地として、エチオピアやイエメンがあげられますが、火山性土壌ではなく、さまざまな土壌が入り組んだ肥沃な土壌です。粘土鉱物(Clay minerals)でLuvisols、Vertisolといわれます。

*土壌の適切なpHは、5.2から6.2程度で、これより酸性が高いとカリウム、マグネシウム、カルシウムが欠乏しやすくなり、アルカリ性が高いアルカリ土壌は鉄やマンガンが不足します。コーヒー生豆に含まれる灰分(ミネラル:無機質)は、3~4%ですが、そのうち大部分はカリウムです。*抽出液150mlでは65㎎程度がカリウムでマグネシウムの10倍、カルシウムの30倍程度です。だからといって、カリウムの味はわかりません。

白ワインでは「ミネラル感がある」というような言い方をしますが、各ソムリエにより、ミネラルをとらえる味の感性が異なり、あまりに抽象的な表現で、よくわかりません。

話がそれましたが、いろいろ総合的にみていくと、コーヒー産地では、土壌も重要ですが、それよりも気温の方がより重要ではないのかと考えたりします。

*岡崎正規他/日本の土壌/朝倉書店/2010.4
U.S. Soil Taxonomy | American organization | Britannica
*七訂食品成分表/女子栄養大学出版部
*山口禎/コーヒーの生育と環境/食品工業/2000