パパ日記

コーヒー嫌気性発酵(anaerobic)2 ゲイシャ種を嫌気性発酵の精製にしてよいのか?

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現在、パナマのElida農園のゲイシャ種のプライベートオークションが開始され盛り上がっています。

パナマの優れたゲイシャ種は、washedの場合、クリーンで華やかな果実の風味が特徴で、ゲイシャフレーバーといってもよいくらいです。そのNaturalは発酵が穏やかであれば、ややワイニーでベリー系のフレーバーが特長です。
ともに、SCA方式で95点のスコアがつくようになり、ある程度のコンセンサスが形成されています。

対して、今日のオークションは、ゲイシャ種のanaerobicの精製の豆が大部分です。
そもそも論として、ゲイシャ種をanaerobicにする必要性があるのかという疑問が生じます。
現時点では、優れた風味のanaerobicであっても、風味はタンクごとにことなり、微生物のコントロールは出来ていないと感じます。

新しいことにチャレンジするので、それも良しとする考え方もあるとは思いますが、
品種のキャラクターは減少し、anaerobicフレーバー(アルコール微発酵で、乳酸や、酢酸と甘味に特長があります)になります。
生産段階での一次加工となりますので、このanaerobicそのものの是非を真剣に論ずるべき段階に来ていると感じます。

 

基本的には微生物のコントロールを必要としますので、日本酒の杜氏やみその発酵技術が応用されれば、また日本の発酵の専門家が関わり実験を繰り返せばよりよいものができる可能性はあると思います。しかし、これは、微生物的処理が加わりますので、コーヒーが一次加工食品になります。

コーヒーの精製は、その過程で、できるだけ発酵させない、もしくは発酵臭を押さえる、穏やかにすることが必要で、コーヒーの風味は、環境や品種が生み出す個性が重要と考えてきています。
しかし、1次加工の多様な方法は、テロワールとか、品種とかの概念の重要性を否定するかもしれません。スペシャルティコーヒーの概念を根本的に覆すような側面があるということも理解しておく必要があると考えます。

酵母が変われば風味に大きな影響がありますので、どこまで許容できるのか?
農園内の野生酵母であれば培養して添加してもよいのか?パン酵母や麦芽酵母を使用してよいのか?
Washedの発酵槽に、何らかの乳酸菌を添加し、乳酸発酵を促してよいのか?
生産者により、様々な方法が試行錯誤される中、大きな問題を含んでいると感じています。

酵母によるアルコール発酵とその後の酸の変化の風味にたいし、どのような官能的評価をすべきか?
などについては、議論されず、さまざまなanaeobic発酵の精製が多くの生産者の関心の的となり、消費国サイドもその希少性からそのようなコーヒーを求めてしまう傾向があります?

 

昨年あたりからのさまざまなオークションロットは、anaerobicのコーヒーを多く含んでいますので、すこし整理して報告します。