パパ日記

テースティング8 語彙7 発酵臭1

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発酵は、収穫後の精製および乾燥プロセスの中でおきます。
したがって、Washedの場合は、チェリーの表面に付着している酵母、酢酸菌などによる発酵を防ぐため、収穫後速やかに果肉除去します。その後発酵槽(水槽)にミューシレージのついたパーチメントをいれ、自然発酵させ水洗します。
この発酵槽の水の中もしくは排水には、培養可能な16のバクテリア,11の酵母,4つの糸状菌などの微生物叢(びせいぶつそう:microbiota)を特定した研究もあります。

発酵槽での適切な処理は、各生産者の感覚的な方法で行われますが、外気温などに影響を受けます。
したがって、この段階で微発酵のコーヒーができる場合もあり、最近の米国ではこのようなコーヒーも一部受け入れられているように感じます。しかし、本来はイレギュラーな風味として見た方がよいでしょう。

2018年にACICの学会でポートランドに行った時に、新しいコーヒー店巡りをしましたが、発酵臭のあるコーヒーに遭遇しました。日本のコーヒー会社の品質管理室では一発アウトです。
そこまでひどくなくとも、一般消費者にはわからないであろう微発酵を感じるものも多くありました。

Pires,F.,Cardoso,L.,Schwan,R.,Silva,C. (2017) Diversity of microbiota found in coffee processing wastewater treatment plant.

 

一方、Naturalでは、収穫後のチェリーをそのまま天日乾燥(機械乾燥)しますので、Washedに比べ発酵のリスクは大きくなります。
多くの汎用品に発酵臭の付着したものが見られるのは、このプロセスに原因があるからです。
樹上で熟しすぎた場合もあれば、直射日光に当たり過ぎていたり、攪拌が十分にされず乾燥されたり、さまざまな要因があり、発酵臭が生じます。

Naturalで、チェリーを6日間山盛りにしたものと、平らにして乾燥したものバクテリアとカビを分析した研究があります。Leoconostoc(乳酸菌)、Acinetobacter(土の中に見られる細菌)、Pichia pastoris (酵母の一種)、sugar alcohol(糖アルコール)などさまざまな分析をしています。
しかし、このようなコーヒーに関連する微生物叢の研究は少ないのが実情です。
分析機器の発展で分析はできるようになりましたが、風味との相関を導き出すのは難しそうです。

Zhang..S.J ,De Bruyn,et al  (2016)  Impact of post-harvest processing on the microbiota and metabolite profiles of green coffee production.

 

酵母による発酵は、アルコール発酵、乳酸発酵あたりが主なものとなると考えられますが、発酵臭は強度であれば不快な異臭となります。この発酵臭を押さえるために、washedでは収穫後のチェリーの扱い、発酵槽での適切な管理が求められます。

Naturalでは、棚で乾燥したり、攪拌したり、日陰で乾燥したり、ゆっくり乾燥させることが重要となります。
コーヒー産地の平均気温は21~22℃程度ですので、湿度が低い産地で、18~19℃くらいの日陰で乾燥すれば良さそうなものができる可能性はあります。
しかし、この程度の単純な気候条件別の成分変化に関する検証実験さえほとんど行われていません。

2000年代終盤からのパナマのNaturalへのチャレンジは、初期の段階では悲惨な発酵臭が伴いましたが、2010年以降は改善され、適度な微発酵になり、優れた品質に結びついています。

但し、パナマにおいて、ゲイシャ種をNaturalにする必要があるのか?さらにはゲイシャ種を嫌気性発酵にする必要があるのか?については疑義を抱かざるをえません。