パパ日記

コーヒーテイスティング 10 語彙9 発酵臭3 コマーシャルコーヒーのエチオピアとイエメン

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発酵臭は、私が開業した1990年以降から現在まで、コマーシャルコーヒーのNaturalのエチオピア産(モカ、エチオピアG-4など)、イエメン産(モカマタリなど)に多く見られます。
発酵の臭み(くさみ)を感じますが、これが市場で受けていることが信じられませんでした。

ハンドピックしても消えませんので、全体が乾燥時に汚濁されているのでしょう。
日本は、発酵食文化が進んでいますので、このような香りに対し好ましく感じる方や、抵抗感のない方もいるのだと思います。

しかし、コーヒーの発酵臭が異臭であることは、産地に行くとよくわかります。
果肉除去した後の発酵した果肉の匂いは決して良いものではなく、この臭いを体験すればコーヒーの発酵臭がよい香りではないことがわかります。

その後、2010年以降、優れたエチオピア産のNaturalのG-1(グレードワン)が誕生しました。
この豆には異臭はありません。収穫したチェリーをハンドピックし、さらに乾燥工程での精度が増し、生豆のハンドピックも行われ、品質は向上しています。
発酵というより、フルーティーな風味感覚に近い風味といえます。

イエメン産のNaturalは、収穫年がわからないものが多く流通していましたが、(湿度が低く、ドライチェリーのまま保管しているので収穫時期が不明)2010年前後からニュークロップと思える新鮮な風味の豆が例外的に見られるようになり、その当時のバニマタリのストロベリーチョコレートの風味は今も記憶に残っています。

優れたエチオピアのNatural、例えばイルガチェフェ産G-1などは、SPとして2015年以降日本で多く流通するようになりました。もちろん、米国にも流通していますので、米国人の中には「My favorito coffee」に挙げるコーヒー関係者も一部に見られます。

中米のパナマが初めにトライしたNaturalも、2010年前後の初期は悲惨な発酵臭がありましたが、現在は微発酵でここちよいと感じられるものも多く見られます。
高標高のコスタリカのマイクロミルのNaturalは、ほとんど発酵を感じさせない洗練されたが多くみられます。

 

さて、Naturalの官能評価を行うにあたり、この発酵=fermentationの程度を判断しなければなりません。

堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業
著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他
論文:「有機酸と脂質の含有量および脂質の劣化はスペシャルティコーヒーの品質に影響を及ぼす」日本食品保蔵科学会 2018
論文:「コーヒー生豆の流通過程における梱包、輸送、保管方法の違いが品質変化に及ぼす影響」日本食品穂応科学会 2019
論文:「コーヒー生豆の品質基準に関する研究」の本食品科学工学会 2021