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コーヒーセミナー
表は、2016年2月から4月までに日本に入港、もしくは現地からサンプリングしたSP15種をサンプルローストし、
5月に41名で行った(2日間)テースティング会の結果です。
#1を基準点としてSCAA方式の評価方法で41名の平均値と私の評価です。
(この時点では、まだSCAAとSCAEは統合されていません)
41名のパネルの多くは、SPの飲用歴が3年以上で、堀口珈琲のコーヒーの飲用歴の多い消費者の方々です。
その後、これらの豆のPH、総酸量(滴定酸度)総脂質量を計測したものです。
参考のために、ケニア(酸味の強いコーヒー)とブラジル(酸味の弱いコーヒー)を加えてあります。
1.全体的にマンデリンのSPは酸味が強い傾向があることがわかります。
2.総酸量が多く、酸味の強いコーヒーが多くみられますが、脂質量も比較的多めのものがみられます。
見本とした# 1は酸とコクのバランスがよい素晴らしいマンデリンと推測されます。
3.#2、#12は、総酸量、脂質量が多くよいコーヒーと推測され、結果として私は高い評価をしています。
4.85点を超えるコーヒーが半数ありますが、現在であれば+5点くらいの高いscoreをつけた方がよいと考えます。
5.大学院に入学した時の予備実験の結果で、2つの理化学的数値のみでですが、これでも品質の裏づけは可能と考えます。
表・2016-17CropのpHと滴定酸度と脂質量 Mediumロースト n=41
試料 | 生産地域 | PH | 滴定酸度 | 脂質量 | パネル平均 | 堀口評価 |
1 | リントン | 4.90 | 7.10 | 17.5 | 87.00 | 88.00 |
2
3 4 5 6 7. 8 9 10 11 12 13 14 15 |
リントン
リントン リントン リントン リントン リントン リントン リントン アチェ アチェ アチェ アチェ アチェ アチェ |
4.81
4.80 unk 4.81 4.82 4.83 4.90 4.80 4.85 4.76 4.73 4.82 4.82 4.80 |
7.80
8.21 unk 7.90 8.00 7.90 7.05 7.95 7.29 8.10 8.19 7.94 7.90 7.60 |
17.2
16.7 16.5 16.2 16.8 16.9 16.8 16.6 15.8 16.5 17.4 16.0 16.5 15.9 |
87.50
84.75 85.00 86.25 84.50 87.25 83.75 85,50 79.00 86.50 83.50 81.00 84.50 78.00 |
87.00
85.75 86.25 82.25 86.00 86.25. 86.00 84.50 79.50 83.75 87.25 82.00 83.00 70.00 |
Kenya
Brazil |
キリニャガ
セラード |
4.74
5.02 |
8.34
6.82 |
16.8
16.5 |
87.00
81.00 |
87.75
82.25 |
理化学的数値(総酸量総脂質量)と官能評価の重回帰分析をした結果、
2つの理化学的数値と官能評価の間には、r=0.8014の正の高い相関性があることが明らかとなりました。
具体的には、総酸量が多く総脂質量が多い豆の方が官能評価が高くなると考えられます。
もしくは、官能評価が高いということは、総酸量および総脂質量が高い傾向が見れれるといういい方もできる
ということになります。
相関係数( correlation coefficient)とは、2 つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標です。
相関係数が0.6以上であればやや相関性があるといえ、0.8以上であれば強い相関性があるといえます。
学術的には、統計処理されていないものはデータとして通用しません。
このような分析をするようになったのは、コーヒーの風味にとって脂質(量)が非常に重要であると考えるに至ったからです。いずれ、その理由はどこかでお話しします。
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堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業
著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他
論文:「有機酸と脂質の含有量および脂質の劣化はスペシャルティコーヒーの品質に影響を及ぼす」日本食品保蔵科学会 2018
論文:「コーヒー生豆の流通過程における梱包、輸送、保管方法の違いが品質変化に及ぼす影響」日本食品穂応科学会 2019
論文:「コーヒー生豆の品質基準に関する研究」の本食品科学工学会 2021