パパ日記

スペシャルティコーヒーのテイスティング(カッピング)1 2003年頃からSCA方式がスタート 

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コーヒー抽出セミナー、コーヒーテイスティングセみなーは、堀口珈琲研究所のコーヒーセミナーまで

コーヒーのテースティングについては、過去20年近くパパの活動日記で書いてきました。
この間の歴史的推移のわかる人は非常にすくないと思われますので、少しふれておきます。

テイスティングは、生豆の品質を評価するためのものとして、SCAA(米国スペシャルティコーヒー協会:現SCA)が、
生豆のグレーディングを開発しています。
コーヒー生豆の品質を客観的に評価しようとするもので、2004年頃から運用され始めました。
非常に優れたもので、現在世界中で使用されています。
①生豆の欠点豆の有無、色、焙煎豆のクエーカーの数などによる鑑定、その後、②10項目の官能評価表(カッピングフォーム)をおこない、80点以上をスペシャルティコーヒー(SP)としています。
その1)プロトコル(規約)は、画期的なもので、コーヒーの発展に大きく寄与してきたと思います。

私が、この官能評価表を初めて使用したのは、当時SCAAのテクニカル委員会のマネー・アルベス氏がヘッドジャッジとして行った2004年のグァテマラのカップ・オブ・エクセレンス(COE)でした。

2)評価項目が10項目あり、初めて使用した際は非常に難しく感じました。
この当時は、COEは、SCAAが運営していました。

その後ACEに運営が変わり、官能評価表も変わっています。
SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)は、このCOEの官能評価表を踏襲しています。
但し、パナマの「Best of Panama」オークションは、ゲイシャ種がデビューした2004年当時からSCAAの官能評価表を使用しています。

 

SCAAは、この生豆品質の世界的なコンセンサスのために、SCAAカッピングジャッジの養成を通し、
普及を図ってきました。
その後、SCAAからのCQIに受け継がれ、Qグレーダーと名称変更されています。
私は、2005年にSCAAのカッピングジャッジの資格を取得しましたが、その後更新していませんので資格は喪失しています。

私の、コーヒーテースティングセミナーは、2004年からこのSCAAの官能評価表を使用して行ってきました。
2000年代前半は、グァテマラのアンティグア産、ケニアの農園もの、エチオピアのG2のWashedなどが
SPを牽引しました。
しかし、2005年時点で日本のコーヒー関係者のSP体験は非常に少なく、ケニアの酸味を欠点としてとらえる方が多くみられました。この時期は、SPの黎明期で何がよい風味なのかについて認識途上の時期でした。

したがって、2000年代の後半に入っても、80点、85点、90点の境界線の境界線の風味ついては、
各生産国の風味特性をつかむ経験を積み重ねないと理解できません。
したがって、世界的なコンセンサスの形成の途上にあった時期だと思います。
Qグレーダーの資格があるからといって、日常的にスペシャルティコーヒー(SP)のテイスティングを繰り返し行っていないと、評価は困難でしょう。

2010年代にはいるとコロンビアの南部産、コスタリカのマイクロミル、ゲイシャ種や、パカマラ種の流通の拡大、
エチオピアのG-1のWashed とNaturarl、パナマを中心とした中米のナチュラルなどの高品質の豆が生まれました。
SP市場は多様化し、SPの品質及び価格面(輸出時のFOB価格)での2極化が進行していきました。

また、3)流通方法にも変化がみられ、一部のSPは、ドライコンテナ(DC)に代わり、リーファーコンテナ(RC)を使用数事例も見られました。
私は、可能な生産国においては、2004年からRCを使用し、VP,GPも積極的に使用してきました。
生豆を扱う10年のキャリアがある方であれば、この時代の大きな変化を理解できると思います。

しかし、この官能評価表はWashed精製を対象としたもので、いくつかも問題点もみられるようになりました。
スペシャルティコーヒーのテーイスティングの歴史も20年近くになります。
このあたりの変遷が、わかる人が少なくなりましたので、しばらく書き記していきます。続く

 

1.SCAA Protocols | Cupping Specialty CoffeePublished by the Specialty Coffee Association of America
 http://Microsoft Word – PR – CUPPING PROTOCOLS V.16DEC2015.docx (scaa.org)

2.著作:2000年に出版した「コーヒーの教科書」(新星出版)を参照ください。

3.論文:「コーヒー生豆の流通過程における梱包,輸送,保管方法の違いが品質変化に及ぼす影響」
 堀口俊英、日本食品保蔵科学会 2018
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010928180.pdf