パパ日記

優れたイエメンコーヒーには発酵臭はない

https://reserva.be/coffeeseminar
堀口珈琲研究所のコーヒーコーヒセミナー

 

イエメン産のニュークロップを初めて飲めたのは2010年代に入ってからです。
イエメンのドライチェリーは、比較的水分量の多い状態で保管されますが、冷涼で乾燥している気候のためカビやフェノールの発生が少なく、長期間保管されることも多く、ニュークロップに遭遇することはほとんどありません。

いつ収穫されたのか、どの地区で収穫されたのかなどトレサビリティが曖昧でした。
多くのイエメンコーヒーは、現在でも発酵臭に覆われたものが大部分で、トレサビリティの明確な豆の日本入港はほとんどありません。そのため、イエメン産のコーヒーの本当の風味を理解している方は多くはないと思います。。
優れたSPのイエメン産のコーヒーには、発酵系の風味がないため、「イエメンではないとか、物足りない」という方も多くみられますが、正しい風味を理解していただければ、今後のイエメンコーヒーの普及に役立つと考えます。
ただし、生豆価格は、これまで日本で流通してきたものの数倍はします。

私は、Naturalの精製では、この発酵臭の有無や程度を生豆品質の評価基準にしています。

 

イエメンは、品種改良や他の国からの移植はないため昔からの品種が多く残っています。
今後のコーヒー研究には、重要な産地といえます。

 

イエメンの在来種は、USDの調査でUdaini、Tufahi、Dwairi、Jaadiなどがしられています
しかし、一般的には、品種の特定はそう簡単ではないため、「イエメン在来種」ということでもよいと思います。

 

山岳地帯の峡谷のワディと呼ばれる涸れ谷の農園(川床で平地1500m)での栽培が60%、峡谷の斜面のテラス(棚畑1.500~2.200m)の栽培が40%程度といわれます。現地では標高の高いテラスのコーヒーよりワディ(Wadi)の評価が高いといわれますが、カップで評価したほうがよいでしょう。

 

 

 

30万以上の零細農家が大部分で、チェリーを民家の屋根などで1週間程乾燥します。
但し、特別仕様の優れたイエメンは、1日5時間程度、日陰で30日程度時間をかけ乾燥するようです

イエメンコーヒーのすばらしさを信じ30年近く、探してきました。
この信じる執念に持続が重要で、今は当社の生豆バイヤーがそれを引き継いでくれています。
現在は、素晴らしい豆を入手出来ています。

最高品質のイエメンは、生豆価格が高く、日本でも量を扱える輸入商社はありませんので、量を購入するにはかなりの勇気がいります。
SCAで90点のイエメンコーヒーは、簡単には飲むことができませんので、堀口珈琲で見つけたらお試しください。
買っていただけると、毎年調達することができます。

本当に良いイエメンは、発酵臭はなく、「柑橘系の酸をベースに、ブルーベリー、ストロベリーなどのベリー系のニュアンスがあり、ジンジャーなどのスパイス、ミルクチョコレートやクリーミーな粘性」がさらに風味に深みをもたらします。
コーヒーのテイスティングでストロベリーという語彙を使用できるコーヒーは、鮮度の落ちていないイエメン、エチオピアのG-1、中米の優れたナチュラルくらいでしょう。

 

 

 

堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業

著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他