パパ日記

イエメンコーヒーは、近赤外線分析(NIRS)数値からBodyのあるコーヒーといえる(2021)

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堀口珈琲研究所のコーヒーセミナー

1.「イエメンコーヒーを飲める幸せ」
2.「イエメンコーヒーの貴重なニュークロップ・本当の風味を知ろう」の日記の続きです。

米国のTexsas A&M大学に拠点を置くWCR(WorldCoffee Research)は、イエメンコーヒーの在来品種(Tuffahi、Dawairi、Ismaili、Jaadiなど)の遺伝子フィンガープリントを作成しています。
また、近赤外分光法(NIRS)を使用して、生豆の化合物の研究をしていますが、データは確認していません。

 

そこで、過去に使用した優れたHaraz産、Asrar-Haraz産、Matari産、Al-Ghayoul産のコーヒー生豆に関し、某社に近赤外線分析を依頼したことがありますので、データを確認してみました。

理化学的数うちは、水分値10.9、脂質18.18 、ショ糖7.25、カフェイン1.4、総クロロゲン酸8.75%で、
この中で突出して高い数値は総脂質量です。

これらの豆は、日本で流通している生産年度、生産履歴のわからないイエメンコーヒー(例えばモカ・マタリ)とは異なり、収穫後比較的早く種出されたものです。

脂質量の高さは、優れたイエメンのSCAの官能評価のBodyと相関します。
「果実やハーブ、赤ワインなどの香味以外のテクスチャーに「なめらかさ、クリーム、チョコレートのような触感」
をもたらしていると考えられます。
イエメンとエチオピアのスペシャルティコーヒーの風味差の一つに粘性があるということに着目してテイスティングするのがよいでしょう。

 

参考論文:近赤外線分光法(NIRS:Near-infrared spectroscopy)
近赤外線分光法 (jst.go.jp)

堀口俊英(ほりぐちとしひで)
2002 年堀口珈琲研究所設立
2019年東京農業大学・環境共生学博士課程卒業
著作:「The Study of Coffee」新星出版・2020年その他