寒くなってくると、視界に映る光景や取り巻く空気は澄みはじめ、冬という季節はどことなく透明感に溢れています。
2021年のブレンドコンセプトは【冬の移ろい】というテーマで創作しました。だんだんと寒さが増し季節が移ろいゆくこの時期に合わせて、“透明感の中に現れる味の移ろい”を表現したブレンドです。

クリーンな口当たりに、しっかりしたボディ。シルクのような質感や馥郁とした華やかな香りを感じさせながら、カカオやヘーゼルナッツなどのニュアンスも含んだ甘い風味を感じさせ、濃縮された甘みが澄みやかに心地よく続きます。日数を置くと華やかさが更に際立ち、柑橘の果物や蜂蜜のような風味も顔を覗かせ、上品かつリッチな味わいに煌びやかな変貌を遂げていく、面白みのあるコーヒーです。

スイーツとのペアリングは勿論念頭に置きましたが、11月中旬からクリスマスまで長く楽しんでいただきたく“飲み飽きの来ない滋味深さ“にも注視してブレンドを創作しました。

ゲイシャ品種のフルシティローストは初めての試みでしたが、仕上がりを飲んで迷わず主軸に抜擢。ウエウエテナンゴエリアの「エル・インヘルト農園 ゲイシャ品種」を使用し、このブレンドに重要な透明感のある華やかさ、きめ細かい質感をしっかり引き出しています。そこに「ヘナロ・ゴメス」の程よいボディとカリンを連想させる独特の香り。深く煎ることで黒ブドウのような濃縮感を感じさせる「サンタカタリーナ農園」の3種類をブレンドしています。

それぞれの果実味や華やかさが調和し、シルクのような質感が全体をバランス良くまとめています。実は今回のブレンドはグアテマラの3種のコーヒーを使用して創作しています。味づくりを行う中で結果的にそういった構成になりましたが（たまたまですよ、たまたま）。グアテマラの味わいの多様性があってこそ創ることができた、風味豊かなブレンドです。

１、グァテマラ「エル・インヘルト農園 ゲイシャ」

透明感のある柔らかい口当たりに、シルクのような質感。ベルガモットのような柑橘の華やかな風味を感じさせ、酸味と甘みのバランスが心地よいコーヒーです。フルシティローストにすることでシルクのような質感が一層引き立ち、上品かつリッチな味わいを演出しています。

２、グァテマラ「ヘナロ・ゴメス」

ミルクチョコレートのような滑らかさ、程よいボディの中に感じられるカリンのような独特の果物の香りに花の蜜のような甘さ。アンティグアとは異なる、独特な華やかなキャラクターが生かされ、このブレンドにおける複雑さを担っています。
 

３、グァテマラ「サンタカタリーナ農園」

華やかな香りにキャラメルのようなしっかりとした甘さ。クリーンカップが素晴らしく、濃縮感を感じさせつつも上品さを存分に感じさせる重たすぎない味わいです。 サンタカタリーナ農園だけを深めに仕上げ、少量加えたことで味わいに奥行を持たせています。