冬ならではの潔い光を受けながら、寒さに歩みをせきたてていたらあっという間に年の暮れ。
2021年は、なんだか時間に足でも生えたかのような物凄い早さで過ぎていった気がします。

今回のブレンドコンセプトは【暮れの悠々・明けの閑々】というテーマで創作しました。
何かと忙しい年末年始にも、コーヒーを飲むことでのんびりとした悠々閑々たるひとときを、と願いを込めた“明るくまろやかで安心感のある味わい”です。

柔らかい口当たり。柑橘の果物を思わせる明るい酸。舌全体を包み込むような、きめ細やかでなめらかな質感。花の蜜や若草のような風味を感じさせ、すっきりと消えていく爽やかで甘い余韻。明るく、華やかで、するすると飲み進めてしまう。安心感のあるブレンドです。優しいコーヒーの風味が、忙しくしていた身体に染みわたっていくかのようです。

さて、皆さまは年末年始をどのように過ごすのでしょうか。
実家に帰省し、賑やかな家族団欒の時間でしょうか。
一人、自宅で過ごす静謐な時間でしょうか。
それとも、普段と変わらぬ一日として働き倒す年末年始でしょうか。
さまざまな年末年始の過ごし方がある中で、一人ひとりの時間のそのひとコマに、ほっとできるひとときを、と想像しながらつくったブレンドです。どうかみなさまのあたらしい年も、コーヒーを片手によろこびの集う日がたくさんありますように。

近年めきめきと存在感を発揮しバイヤーも惚れ込んでいるホンジュラスのコーヒーが2021年10月に入港し、横浜ロースタリーにもサンプルが届きました。どれも美味しく素晴らしく、カッピングしているあいだ、心が落ち着きなく弾んだほどです。

その中で今回のブレンドに選び抜いたのが「ロス・デルンボス」のティピカ品種。
圧倒的に味の密度が高く、華やかな香りと転がるような質感をもち、品の良いまろやかさが感じられたこのコーヒーを今回のブレンドの主軸に抜擢しました。その香味に調和しながら厚みや広がりを持たせてくれるコスタリカの「【ラ・ロカ】エル・アルト」を合わせたブレンドです。

新鮮な状態で届いたホンジュラス。焙煎を前にして生豆のフレッシュさに却っておののきましたが、何度かサンプルローストを重ねるうちにようやくまとまりブレンドの主軸として存分に個性を放っています。定番ブレンド#2よりも少し浅め、#1よりも少し深めの煎り具合で仕上げ、軽やかかつ華やか、そして滑らかな味わいのニューイヤーブレンドです。
 

１、ホンジュラス「ロス・デルンボス」

クリーンな口当たり、柑橘の明るい酸。花の蜜のような香りと甘みを備えた華やかなフレーバー。味の密度・複雑さも感じさせながら、それらを包み込むような滑らかな質感。ほのかに感じる若草のような爽やかさ。圧倒的な味の密度です。今期、豊作のホンジュラスの期待もこめて今回のブレンドの主軸を担っています。

２、コスタリカ「【ラ・ロカ】エル・アルト」

華やかな香りに、程よく厚みのある口当たり。桃を連想させる繊細な甘み。例年に比べ華やかさは少し落ち着いていますが、うっとりするような滑らかな質感と甘い余韻が素晴らしいコーヒーです。デルンボスティピカの味の密度も寄り添いながら、“安心感”を得るために必要なまろやかさを創り出しています。