'BLEND'OGRAPHY

SUMMER 2022 Ver.1

SUMMER 2022 Ver.1

Released:2022.6.22 – 7.23
 
Categoly:SEASONALS “ SUMMER Ver.1 ”
 
Concept:Conversation
 
Artists:Haruka Shin

 

梅雨の気怠さをゆっくりと洗い流してくれるような
滑らかで清涼感溢れるブレンド

 

CONCEPT
ブレンドコンセプト   


 

湿気を帯びたもどかしい暑い日や急に冷える日が気まぐれに繰り返され、何だか気怠さが充満しているような夏の始まり。 今年は例年に比べても気温や湿度は落ち着かず、焙煎においていつも以上にコーヒーや気象との対話が必要だった気がします。 そんな背景も意識して、今回のブレンドコンセプトは【 Conversation 】。 梅雨の気怠さをゆっくりと洗い流してくれるような、滑らかで清涼感溢れるブレンドです。

クリーンでとろんとした口当たり、クリーミーな質感と密度ある果実の風味。 そして、バニラを思わせるスパイシーな華やかさが後ろで支えるように穏やかに香ります。清涼感で身体を満たしながら、キャラメルを連想させる甘い余韻が心地よく感じられ、複雑さをもつ素材の風味が幾重にも重なり合った奥深い味わいです。

一点の曇りもない、品の良い深煎りのブレンド。 じんわりと広がる華やかさはアイスコーヒーにすると主張を増します。 このブレンドが皆様の気怠さを吹き飛ばして、日々を活気づける“Conversation piece”のひとつとなれば、いいなあ……なんて都合の良いことを、横浜の片隅でささやかに考えております。

 

 

WORK
ブレンドができるまで   


 

実は今回のブレンド、クリーンカップ、味の総量、風味の複雑さにおいて、数ある中米コーヒーの中でも群を抜いて輝いていた、とっておきの2種類を一挙に使用しました。 コスタリカの「【コラソン・デ・ヘスス】シェリ・バタ ブルボン品種」と、ホンジュラスの「ロス・デルンボス ブルボン品種」です。

堀口珈琲でも既に馴染み深い農園ですが、カッピングした時点でこのクロップにおけるそれぞれの品質の良さは特筆すべきものがあり、そこにフレーバーたっぷりのエチオピア「ウォルカ アダメ・マゾリョ」を合わせようと決めたときには、とんでもないブレンドができるのでは、と想いが広がりました。

ただし、良い素材が揃っていても、それを合わせただけでおいしいブレンドができるわけではありません。ある意味“密度が高すぎる”ともいえる、なんとも贅沢な3種類の素材はぶつかる部分も出てきてしまいます。

個々の素材の良さを引き出しつつ、全体のバランス感を考えながら慎重にそれぞれの焙煎度もあえて変えていくことで味わいを調和せさていきます。 味の密度が強く硬質な素材にはじっくり火入れし、ひとつひとつを解けさせていくようなイメージを持って焙煎を施しました。

ああでもないこうでもないと、ロースター同士の対話、素材との対話、気象との対話、素材同士の対話があり、様々な【Conversation】があってこそ完成したブレンドです。

 

 

MATERIALS
素材のご紹介   


 

1、エチオピア「【ウォルカ】アダメ・マゾリョ」

クリーミーな質感が心地よく、蜂蜜のような華やかな甘みが感じられます。白葡萄のような爽やかな風味ももつ上品な味わいです。他の素材とうまく調和させるために、華やかさを派手に出すことはせず、質感を存分に引き出すことで、他の素材を甘い香りと共に品よく包み込むような役割をしています。

 

2、コスタリカ「【コラソン・デ・ヘスス】シェリ・バタ ブルボン」

ボディが強く滑らかな質感。華やかな柑橘の風味とバニラのような甘い香りが感じられます。品質の良さが伺える整った生豆。非常に硬い豆質で、ゆっくり解すようなイメージで焙煎しました。クリーンかつ酸・コク・甘みのバランスに優れた素晴らしい味わいです。
 

3、ホンジュラス「ロス・デルンボス ブルボン」

若草のような爽やかな香り、シルクのような質感、柑橘果実の瑞々しさ。深煎りにすることでキャラメルのような甘さが際立ち、冷めてくると赤果実の風味も感じさせます。どこを引き出すのか迷ってしまうほど、クリーンで複雑な味わいを備えています。今回のコンセプトである対話(Conversation)のきっかけをもらったコーヒーです。

 

※焙煎度:すべてフレンチロースト

 

 

ARTWORK
アートワーク   


 

PRIMAVERA2022

 

使用している色は、味わいから柑橘をイメージさせる黄色と、ブレンドで使用している素材の原産国をイメージした緑(エチオピア)・青(ホンジュラス)・濃いピンク(コスタリカ)の4色が混ざり合っています。さまざまな色が重なり混ざり合う様は、ブレンドコーヒーでしか表現できない複雑さや創作性をイメージしています。

どれだけ複雑な味わいでも、コーヒー一杯を飲み終わる頃には1つの“ブレンド”としてのまとまりが感じられます。それは図形でいうと円や球体と似ているのではないかと考えました。どこか一箇所でも歪めば違うかたちになってしまう危うさの中で、個々の素材のバランスを調和し、最後にはキュッと纏まる。抽象的なお話ですが、堀口珈琲がつくるブレンドは丸いかたちをしていることが多いです。

そんな考えもあり、中心には円の重なりを配置しています。この円にそれぞれの【Conversation】を置き換えて見てみてください。

そして最後に、このブレンドを買って下さったお客さまとの【Conversation】、お客さまの大切な人との【Conversation】に、このアートワークが彩りを添えられているといいなと思います。

 

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