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理想のエスプレッソを目指して / 店舗事業部:林 大樹

理想のエスプレッソを目指して / 店舗事業部:林 大樹

 
 
堀口珈琲で働くスタッフへ、
仕事内容のインタビューをしました。

 
 

HORIGUCHI COFFEEチャンネルの「ARTISTS」は堀口珈琲で働くスタッフが主役のコンテンツ。どうして入社したのか、普段どのように働いているのか、堀口珈琲のどんなところが魅力か、などについて語ってもらいます。
  
今回は店舗事業部に所属し、世田谷店で勤務する入社2年目のスタッフ・林大樹に話を聞きました。バリスタ競技会への出場経験を持つ彼が考える“バリスタ”という仕事の魅力や、堀口珈琲での働き方をお伝えします。
 
聞き手はブランディング部・広報担当の中川です。
 
 

2020年入社 店舗事業部所属 世田谷店
林 大樹

 
 
 
 

 

 

コーヒーに興味を持ったきっかけは学生時代のアルバイト

  

――今日はよろしくお願いします。林さんは普段、世田谷店で働いているんですよね。
 
 
はい、よろしくお願いします。そうですね、現在は世田谷店で店舗の運営に加えてエスプレッソドリンクの味わい調整をメインに担当しています。今後はOtemachi One店に所属し、エスプレッソドリンクのアレンジメニューの開発も行っていく予定です。
 
 

――確か林さんはもともとバリスタ経験があるということで当社へ入社することになったと聞いているので、今日はバリスタの仕事を始めるきっかけから教えてください。
  
きっかけは、高校卒業前に始めたアルバイト先のコーヒーチェーン店です。もともと家ではほとんどコーヒーも飲まなかったですし、興味があったわけではないのですが、初めて訪れたその店舗の居心地の良さや店員さんの親切な接客を体験して、アルバイトをするならここがいいなと思って選びました。
  
――コーヒーにのめり込むきっかけとして、なにか思い出深いエピソードはありますか?

  
そのお店ではコーヒーに関する独自の社内試験があり、アルバイトでも誰でも挑戦することができるんです。働き始めて1年ぐらい経った頃、コーヒーに興味も持ち始めたこともあって、軽い気持ちで受けてみたのですが残念ながら結果は不合格でした。
  
点数を確認してあと少しで合格点だった、と知ったらすごく悔しくて。変に負けず嫌いなところがあるので、「次は絶対合格したい」と思い勉強し直し、翌年に再度挑戦して無事合格しました。その時からですね、コーヒーにのめり込んだのは。
  

  
  
より専門性の高さを求めてコーヒーの道へ

  
  
――もともとコーヒーに興味があったわけではないのにそこまで夢中に取り組めたのは、その仕事が充実していたんですね。その後はどのような進路を?
  

より専門的な分野を知りたいと感じていたことと、自分自身でさまざまなドリンクを作りたいと思い、スペシャルティコーヒー専門店のオープニングスタッフで店長として働き始めました。でも今振り返ってみると、当時は完全に「井の中の蛙」になってしまっていたなぁと思います。
  

――「井の中の蛙」?どんなところが?
 
 
アルバイト時代に勉強してきて、それなりにコーヒーに関する知識も身についていると思っていたら、同僚たちの知識の深さに驚かされました。それぞれがコーヒー業界でさまざまな経験を積んできていたので、その方たちと比べると「あぁ自分は何も知らないんだな」と感じました。
  

――その中で店長を務めるのは相当なプレッシャーがあったのではないでしょうか。
  
ありました。だからいろんな文献を読んで調べ、とにかくひたすら勉強していました。もともとそういったことは得意ではないのですが、コーヒーのことだから頑張れたような気がします。
  
――当時学んだことは今も活きていますよね。ちなみにそのお店では自分がやりたいと思うことはできましたか?
  
ペーパードリップからネルドリップ、エアロプレス、エスプレッソマシンなどは一通りできました。マシンも自由に使って良かったので、勤務時間外にも練習していました。
  
エスプレッソに関しては一人すごく上手な方がいて、その方から学びました。良い意味でなんでもすぐに教えてもらえる訳ではなく、自分で考えさせてくれました。わからない時、行き詰まった時にはヒントをくれたりしましたが、根本は自主勉強です。
 
 
――自分なりに勉強していると疑問点の解決法に悩みそうですね。
 
 
わからないことがあった時は苦しかったです。正直「教えてよ」って思ったことも何度もありました。でも今となっては自分で調べ、考えて答えを導いたからこそ、自分自身で考える力と知識が身についたと思うのでよい経験だったと感じています。
 
 
――その頃からバリスタグランプリにも参加するようになったのでしょうか?
 
 
そうですね。そのお店で働き始めて2年ぐらいですかね。先ほど伝えたお世話になった先輩がもともと出場していて、その姿に憧れて自分も出るようになりました。
 
 
――その先輩との出会いは結構大きいようですね。ちなみにどんな方でしたか?
 
 
ちょっと気難しい方でしたが、コーヒーに対する知識・技術などが素晴らしい人でした。その方のレベルは今でも超えられてないなって思います。もともとイタリアンバールでのバリスタ経験があった方なので「バリスタ」の色々なことを教えてもらいました。といっても教えてはくれないんですが(笑)、勝手に見て学ばせてもらっていたのでだいぶ影響を受けていますね。その方に追いつくことが僕の目標です。
 
 

 
 
堀口珈琲との出会い
  
  
――そのお店でスペシャルティコーヒーのこと、バリスタとしての知識・経験を蓄えていくようになっていったのですね。
  

はい。その店で経験を積み、バリスタグランプリに出場するようになってからはエスプレッソメニューの考案を依頼される機会が増えました。自分の知識・経験を活かせるのならば貢献したいと思って、お声がけいただいた別のお店で働き始めました。
  

――バリスタグランプリへの出場がきっかけで!それはすごい経験ですね。
  
ただ、そのタイミングで学生のアルバイト時代にお世話になった店長がお店に尋ねてきてくれたんです。その店長は、前職のコーヒー店を退職し、堀口珈琲の店舗事業部を統括していたんですよね。
  
――あれ、というと……。
  
そうです(笑)。店舗事業部のジェネラルマネジャーの岩倉さんです。実は学生時代のアルバイト先の店長が岩倉さんだったんですよね。その後、バリスタグランプリで再会し、コーヒーの道に進んでいることをお伝えする機会があったんです。その時は立ち話程度で名刺交換をして別れたのですが、その後、僕が働くお店に来てくれました。
  
――それは林さんにとって嬉しい再会でしたね!それから堀口珈琲で働くまでにどんな経緯があったのでしょう?
  
もちろん堀口珈琲はアルバイト時代から知っていましたし、店舗も利用したことがありました。世田谷店に初訪問したのはもう6、7年前だったので当時の記憶は少し曖昧ですが、シンプルにコーヒーがおいしかったことを覚えています。
  
コーヒー業界では有名な堀口珈琲ですが、個人的にエスプレッソメニューの印象は正直そこまで強くなかったんです。でもその堀口珈琲が「今後はもっとエスプレッソに力を入れていきたい」と考えていると聞いた時に、もしかしたら自分の今までの経験を活かせるのではないかと思い、働きたいと希望しました。
  
――以前の再会をきっかけに、新たな挑戦へと挑んだわけですね!それでは入社してからのことを教えてください。入社後はすぐに世田谷店に配属されたのですか?
  
はい。店舗での勤務が始まって割とすぐに「うちのエスプレッソどう思う?」と意見を求められました。
  
――その時はなんて答えたのでしょうか?
  
シンプルにおいしかったけれど、もっとおいしくなるだろうなと感じました。元々のレシピを変えることなく、マシンの調整やいれ方、あとは一つひとつの技術をもっと上げることができれば変わるだろうと思いました。
  
それを伝えたらすぐにマシンをいじらせてもらえて。今思えば、本当に最初から意見を尊重し、自由に経験させてもらっていたなぁと感じますね。
  
――なるほど。林さんが入社してから当社のエスプレッソはよりおいしくなったと感じています。
  
でもそれはきっと、一緒に働くスタッフのみなさんの意識の変化だと思っています。
  
――というと?
  
もともと堀口珈琲のエスプレッソはおいしいですし、マシンの調整も疎かにしていたわけではありません。そんな中にやたらエスプレッソにこだわった人が入ってきたことによって、アルバイトスタッフを含め全スタッフの関心度がより向上したんだと思います。マシンで練習する機会もより増えて、みなさんの練習への心意気も確実に上がった印象があります。
  

世田谷店でエスプレッソを抽出している様子。

  
  
――林さんが入社したことでよい影響を与えていますね。
ちなみに、堀口珈琲に入ってから感じたギャップや変化はありますか?

  
世田谷店の印象になってしまいますが、入社する前のイメージは老舗で、昔ながらの喫茶店のイメージが強かったです。入社してからも同じ印象はありましたが、アレンジドリンクもいろいろ取り組んでいて意外と今時なところもあるんだなぁと思いました。コーヒーレモネードとかやるんだ、と思ったり(笑)。でもそれは、どの世代のお客様にもお楽しみいただきたいという方針を大切にしている証拠だなと感じています。あとは働くスタッフは意欲的な方が多いなと思います。
  
――意欲的。それはどういった部分で感じるのでしょうか。

コーヒーを好きな方がこんなにもいるんだ、と思いました。エスプレッソについて指導している時によく感じるのですが「コーヒーが好きだからもっと知りたい!」と熱心な方が、今まで自分が経験してきたお店の中でも特に多い気がします。
  

――確かに、当社はコーヒー好きしかいないので、それはそうかもしれませんね。今スタッフへの指導の話題がでましたが、スタッフにエスプレッソマシンを指導する時間などは作っているのですか?
  
そうですね。それはオープン前とかに時間をもらっています。あとは店内が落ち着いた時間にやっています。
  
――なるほど。ちなみに1日の仕事の流れを簡単に教えてもらえますか?
  
日によってポジションが異なりますが、出勤したらまずはエスプレッソマシンを立ち上げて味の調整をします。オープン後は物販やホール、コーヒー抽出などのオペレーションに入り、閉店後はレジ締めや掃除などをします。

――今日は味作りがうまくいかないなって思うときはありますか?
  
ありますね。当社の豆って鮮度がすごく良いので、逆にいうと良すぎるので、焙煎度からの日数の違いで味の出方が変わります。そのためにも毎朝の味チェックにはしっかり時間をかけて行っています。
  
――なるほど。毎朝の調整が欠かせないわけですね。
  
あと普段のオペレーションだと、毎日エスプレッソマシンをいじれるわけではないので、昼休みにカプチーノをいれるようにしていますね。じゃないと技術が落ちてしまうような気がして。
  
――確かにポジションによっては1日いじらない日もあったりしますもんね。
では続いて、林さんが思うよい接客とはどんなものですか?もしくは大切にしていることとかあれば教えてください。

  
お客様の考えを読むことですかね。言われてからだと遅い。言われないで気付けたら喜んでもらえる。何を求めているかを探る、読み解くってところを大切にしています。
  
――それは堀口珈琲の店舗で働くスタッフにも伝えているのでしょうか?
  
そうですね。伝えることもありますが、でも一番は僕がやっていることを見て、感じていただけたらなぁと思っています。
  

スタッフへ指導するのも林の仕事。「向上心があって素直な人は成長が早いです」とのこと。

  
  

理想のエスプレッソ
  

――林さんが考える堀口珈琲で作りたい理想のエスプレッソとはどんなものでしょうか?
  

大前提はクリーンであること、雑味がないこと。大前提といいながらすごく難しいことではあるんですけど……。でも、理想のエスプレッソを再現するには3つのポイントがあると思ってます。

一つ目は豆ごとに求めた質感が表現できていること。今だったら#7の出す質感と#1の質感って変わってくると思うので、その違いをきちんと表現できること。

二つ目は僕がエスプレッソを好きな理由なんですけど、アフターにアロマが心地よく抜けること。当社のコーヒーはドリップコーヒーなどで飲んでもよい香りが鼻から抜けますが、エスプレッソは濃くて粘性が高い分、より香りが残りやすいんです。圧力もかけていて旨みが凝縮されているので、ドリップでは感じられないような香りが出やすく、飲み終わった後もいつまでも楽しんでいただけるかなと思います。

そして三つ目は口の中にコーヒーの質感が残って、その余韻が長くあること。飲んだ後もずっと、心地よく口の中で残ること。そんなエスプレッソを作り続けたいと思っています。
  

  
――その理想のエスプレッソを毎日安定して提供するために、毎朝の調整が大切なんですね。さて、ここまで林さんのこれまでや仕事内容についてご紹介いただきありがとうございました。林さんのエスプレッソへの情熱の片鱗が見えたような気がします(笑)。それでは続いて、林さんが考える「堀口珈琲の魅力」ってどんなところだと思いますか?
  
僕が思うのは、「押し付けない考え方」が好きです。豆の良さを一方的に押し付けてしまうお店とかもある中で、お客様が飲みたい味を理解し、提供できるお店って実はなかなかないと思います。堀口珈琲は豆そのものがおいしいのもそうですが、お客様が飲みたい味をきちんと表現できているんじゃないかなぁと思います。そこが好きなポイントです。お客様を一番に考えているお店だなと思います。
  
――そのために日々試行錯誤している印象があります。ちなみにこれからやってみたいことはありますか?
  
堀口珈琲のエスプレッソもおいしくしていきたいし、大きなことを言えば、日本のエスプレッソをおいしくしていきたいです。その中でエスプレッソのおいしさや楽しさを広めていけたら嬉しいです。微力ではあるんですが……いろんな場所でおいしさとか知識を広めていきたいなとは思っています。そういった部分はチャレンジしていきたい夢ですね。
  
――では最後に、林さんにとってエスプレッソとは?
  
僕はもともとコミュニケーションがそこまで得意ではなく、喋りもうまくないのですが……。でもコーヒーやエスプレッソがあると、想いを伝えることできるんですよね。コーヒーやエスプレッソがコミュニケーションのきっかけを作ってくれるなぁと日々感じています。
  
――林さんのコーヒーやエスプレッソに対する情熱がそうさせてくれるのかもしれませんね。今日は林さんの新たな一面も見えたような気がします、ありがとうございました。それでは長くなりましたが、以上です。お疲れ様でした!

  

ありがとうございました。