皆様こんにちは、こんばんは。
堀口珈琲EC事業部の島崎です。
ルワンダ出張記、Part 3!
Part 1、Part 2 をまだご覧になっていない方がいましたら、ぜひそちらもお読みいただければと思います。
『ルワンダ出張記 Part 1 いざ、千の丘の国ルワンダへ』
『ルワンダ出張記 Part 2 北部・西部探索』
↓併せて読みたいルワンダ関連記事↓
■HORIGUCHI COFFEE チャンネル
『【特別企画】Muraho Rwanda!~ルワンダと出会い、深め、繋がる1年~』
『コーヒー産地ルワンダってこんな国!』
『コーヒーとSDGs 第1回 連載スタート』
『コーヒーとSDGs 第2回 SDGsって何?』
『コーヒーとSDGs 第3回 コーヒーがSDGsと関わる理由』
『コーヒーとSDGs 第4回 貧困の削減とコーヒー』
『持続可能なコーヒー生産に向けて 堀口珈琲のニャミラマプロジェクト』
■オンラインストア企画
『RWANDAful COFFEE!』
Part 3では南部へ向かいます。
この地は堀口珈琲が販売するルワンダコーヒーの中心地といっても過言ではありません。
「コアカカ」や「ニャミラマ」「ガスーラ」といった名前は堀口珈琲をご利用いただいている多くの方がご存知かと思います。
そんな南部の地について、チェリーの収穫状況はどうか、ステーションの様子はどうか、視察してきましたのでご紹介いたします。
訪問先の中心はやはり「コアカカ生産者組合」。
2004年に設立されたコーヒー生産者の共同組合です。1999年に3つのアソシエーションが設立されそれぞれ独立していた組織が、2004年に統合されました。コアカカの活動は内戦からの農家の復興に大きく貢献しており、2004年は864だった農家数は今では1316に増えています。
まずご紹介するカランビウォッシングステーションは、そんなコアカカが初めて設立したウォッシングステーションです。
ルワンダの主力商品のひとつである「ガスーラ」はこのステーションで精製されたコーヒーです。
Par 2 で紹介したフジウォッシングステーション訪問時のように、スタッフが総出で歓迎の踊りを披露してくれました。すでに経験済みの島崎は意気揚々と一緒に踊ります。が、数秒で息が切れます。
気を取り直してステーション内部へ。
集められたチェリーは精製前にしっかり選別され、透き通った綺麗な水に乗って流れていきます。山からの湧き水を使用しているそうですが、ここまで綺麗な水で精製しているステーションは見たことがありませんでした。
パルパーなどの設備もきちんと手入れされ清潔な印象を受けました。
果肉を除去され、水路を通ったチェリーが一時的に溜められる発酵槽でもひとつポイント。タイル製でした。
木製やコンクリート製に比べ清潔な状態を保ちやすいため、非常に良い試みです。
簡易的なタンクで済ませてしまう(そうせざるを得ない)所も多い中、しっかりとして設備を用意できているのは好印象です。
また、乾燥ベッドが木製ではなく鉄製だったのには驚きました。
基本的に乾燥ベッドは木を組み合わせて建てられますが、長年雨風にさらされるとやはり朽ちてきたり、崩れてきてしまいます。そうなるとベッドのバランスが悪くなり、コーヒーが均一に敷き詰められないなど良くない状況に。丈夫な鉄製であればその心配はありません。
至る所で細かく手入れされている状況を確認することができました。
来季のクロップにも期待が高まります。
次は、普段あまりご紹介できないドライミルです。
コアカカは2018年にドライミルを設立しました。ドライミルとは、ウォッシングステーションなどで精製されたコーヒーを脱殻し、さらなる選別を加える施設です。
普段は農地やウェットミルのご紹介ばかりですので、なかなかご紹介ができない部分でもあります。
各地で収穫・精製されたコーヒーはここに運ばれ、保管されます。
その後順番にドライミル工程に掛けられます。多い時は1日に1トンから1.5トンも処理するそうです。
様々な機械が複雑に組み上げられ、一目見ただけではどのパイプがどの機械に繋がって、どのような流れでコーヒーが移動しているかがわかりません。
まるでピタゴラスイッチです。
各機械で重さやサイズによって選別がなされ、より細かくグレード分けされていきます。
南部のメインパートと言ってもよいニャミラマ集落に向かいます。
堀口珈琲では2017年から「ニャミラマプロジェクト」という活動を通じて、コーヒーの品質向上とそれを持続していく仕組みづくり、そして、これらを基盤とした生産者の生活安定の実現を目的として様々な施策を行ってきました。
取り組みの詳しい内容はこちらから↓
『持続可能なコーヒー生産に向けて 堀口珈琲のニャミラマプロジェクト』
その成果もあり、ニャミラマのコーヒーの品質は非常に高いレベルを維持しています。
最も人気のあるルワンダコーヒーと言っても過言ではありません。
実は、そんなニャミラマの集落を訪れ、メンバーである11農家すべてを訪問することが今回の出張の最大の目的でした。
まずは11農家の代表者が集まる全体集会に呼んでいただき、温かい歓迎を受けました。
具体的な話というよりは、歓迎会ムードでお互いのあいさつが中心です。グループの精神的支柱であるヴィンセントさんが終始場を回します。農業や会計に関わる実務的なリーダーは他のメンバーですが、このような場ではやはり最年長でありグループ内で最も威厳のある彼が仕切るのだそう。ルワンダでお会いした方のなかで誰よりも風格を感じました。
「遠いところからわざわざ足を運んでくれて感謝している。
堀口珈琲と共にプロジェクトを進められて嬉しい。一緒にやってきたからこそ品質をここまで上げることができたし、それを正当に取引してくれたのだと思う。おかげで生活環境も向上した。
配布してくれた豚や肥料、シェードは非常に助かっている。雹害や大雨などリスクと戦う年もあるが、熟度の高いチェリーのみを収穫している。来年以降はもっともっと品質が上がるだろう。
有機肥料が不足していたり、金銭的にまだまだ困窮している農家がいたり、高齢化が進んでいたりと課題もあるが、まずは実際に我々を見て欲しい。」
ヴィンセントさんに加え、アルフォンスさん、アンセルメさん、シルヴァーニさんからスピーチがありました。
私達からも、毎年良いコーヒーを届けてくれることへの感謝、ニャミラマのコーヒーには今後も期待してること、プロジェクトを大切にしていること、だからこそこの場までやってきたこと、を伝えました。
そして、活動の様子はオンラインストア上で公開しているので日本のお客様は皆さんのことをよく知っていて、ニャミラマのコーヒーにはたくさんファンがいます、ということを伝えました。
最後に全体写真を撮って解散。いよいよ個別の訪問に入ります。
11農家すべてのご紹介をしているととてつもない長さになってしまうので、ここでは代表的な農家シルヴァーニさんをご紹介します。
彼がシルヴァーニさんです。
1980年からコーヒー栽培を始めているベテラン農家の一人です。1300本のコーヒーを栽培していて、プロジェクトメンバーのなかでも広い農地を持っています。
農地は比較的しっかり管理されていました。
土壌流出を防ぎ、湿度を保つためにも重要なマルチング(藁などの草を農地に敷き詰めること)は適切に行われ、土壌の有機物量も良好です。土壌の弱い土地が多いルワンダのなかでは良質な土を作ることができています。
プロジェクトの取り組みで植えたシェードツリー(コーヒーの樹を強い日差しや雨、雹害から守る木)は順調に育っていました。今後、本数はもう少し増やしたいとのこと。
近日中に大規模なカットバック(剪定)を予定しているよ、と将来を見据えた品質向上にも余念がありません。
プロジェクトのおかげで1本あたりの収穫量が上がり、品質も劇的に上がった。生活も安定したと、取り組みにはとても前向きの姿勢を見せてくれています。
一方、ここ数年、肥料不足が深刻で、購入するにも高騰しているのでプロジェクトで提供したブタの糞ではとてもカバーしきれないと言います。
ブタは実は二代目。初代は病気で死んでしまいましたが、コーヒーから得た収入で二代目を購入できたとのこと。
家にはウシも飼っていました。
各農家、肥料の高騰や雹害、跡継ぎ問題など様々な問題がある一方、プロジェクトへの理解は示してくれており、とても協力的に参加してくれている印象でした。
コーヒー生産は長期的に行うもの。高品質なコーヒーとなればよりハードルが上がります。
それぞれの課題に対し、両者で解決していければ良いなと思います。
14日間の滞在も南部訪問で終幕です。
北部・西部では、もっともっと開拓し、理解しなければならないこともありますが、今後より一層期待が高まる取り組みや環境を見ることができました。
一方南部では、依然として苦しい状況や課題も見えましたが、これまでのプロジェクトは間違っていなかった、地道に取り組み続けることで、これからも良いコーヒーが生産し続けられるんだと実感できる訪問内容になりました。
ここで紹介しきれなかったステーションや農地はたくさんあります。
お伝えしたいトピックもたくさんあります。
今後、各商品ページや HORIGUCHI COFFEE チャンネルの記事として順次公開していければと思っています。
堀口珈琲がルワンダにどれほど期待し、コミットしてきたか。そして、この活動を情熱的に続けていくか。
皆様に少しでも伝わり、ルワンダのコーヒーを飲む際にちょっとだけ思い出していただければ幸いです。