寒さ厳しい時期ですが、空気は澄み、清々しさを感じられるようにもなりました。
街は年末年始特有の賑やかさに包まれています。

一年を振り返ると、2024年も新たなコーヒーとの出会いがたくさんありました。その味わいに驚き、創作意欲を掻き立てられる。ブレンダーとしてこれほど心が弾む瞬間はありません。今年のニューイヤーブレンドは、そんな胸の高鳴りを素直に表現したいと思い創作にあたりました。

ブレンドコンセプトは『A New Door Opens』です。
口に含むと、まずはその口当たりの柔らかさ、そして柑橘果実のような優しい酸と甘みからなるマイルドな風味に心地良さを感じていただけるでしょう。飲み始めは穏やかな印象の風味ですが、飲み進めていくうちに風味の量が豊かになり、余韻にはどこか白ブドウのような華やかさが感じられます。多くの方に親しみやすい風味でありながら、飲み始めと、飲み下した後ではその印象に変化が感じられ、まるで扉が開き景色が変わったかのような体験ができます。

新年を迎え、清々しい気持ちの中、新しい扉を開く。そこで見えた新しい景色を望み、希望を抱き、2025年もチャレンジングな一年を過ごしていきたいと思います。みなさまもニューイヤーブレンドと共に、新しい一年の始まりをお迎えください。

ニューイヤーブレンドの構想を膨らませていた頃、メキシコのオアハカエリアからいくつかのコーヒーが届きました。堀口珈琲では初となるメキシコのコーヒー。期待を膨らませて飲んでみると、グァテマラ産に通じるようなマイルドさや柑橘主体の果実味を軸に、特有の風味の柔らかさ、繊細さが感じられました。

「これは2025年の堀口珈琲のラインナップに新しい風を吹き込むぞ」
と、ワクワクしたのと同時にブレンダーとしての創作意欲を掻き立てられます。

ニューイヤーブレンドにメキシコ「ユクカフェ」を使用し、新しい風味へチャレンジすることをその場で決めました。

この繊細な風味を活かしつつ、どの素材を組み合わせて、どのようなブレンドを創作するか。考えを巡らせていく中、今期の東ティモール「レブドゥ・レテン」はクリーンカップが例年にも増してしっかりと体現されており、柑橘果実の酸と華やかさがきれいに感じられていたことから、「ユクカフェ」の風味とも親和性が高いのではないか、と思い至りました。

組み合わせてみると期待通り二つのコーヒーは好相性で、マイルドな風味を軸にフレッシュな印象が感じられ、ブレンドならではの風味の複雑さも得られていました。そしてここに軽快な風味と白系果実のような華やかさを備えたエチオピアのニューカマー「ベロヤ」を合わせてアクセントを与えることで、マイルドながらアフターテイストに華やかさが感じられるブレンドが完成しました。

１、メキシコ「ユクカフェ」シティロースト

柔らかい口当たりに程よいコク。熟度の高い柑橘果実を思わせる果実味。そこに黒糖っぽい甘みも備わった、マイルドで飽きのこない風味です。初めて扱うコーヒーですが酸、甘み、コクのバランスが良く、ほんのり華やかさもあることからニューイヤーブレンドの風味イメージに合致しており使用を決めました。ブレンドの繊細な風味を崩さずに優しい甘みをもたらしてくれています。

２、東ティモール「レブドゥ・レテン」シティロースト

温州みかんのような明るく柔らかな酸と程よい甘みが感じられる、マイルドな風味のコーヒーです。今期は特にクリーンカップに秀でており、柑橘の華やかさが余韻まできれいに感じられます。ブレンドの明るい果実味や爽やかな余韻の軸となるコーヒーです。

３、エチオピア「ベロヤ」シティロースト

厚みのある口当たりと滑らかな触感。オレンジのような柑橘果実の風味が特徴です。冷めてくるとほのかにカカオっぽいニュアンスも感じられます。濃縮感があり、ジューシーな味わいが魅力のコーヒーです。フローラルなアロマ。明るく瑞々しい酸が心地よく感じられる軽快な風味が特調です。白ブドウのようなフレーバーも備わっており飲み下したあとも華やかな余韻が長く続きます。ブレンドに組み込むことで、他の二つの優しい風味のコーヒーに寄り添い、余韻の華やかさを感じさせてくれています。

朱色の円は、メキシコ「ユクカフェ」。 緑色は、エチオピア「ベロヤ」。 水色は、東ティモール「レブドゥ・レテン」。 私たち自身も初めて出会うコーヒーを2種使ったブレンド。 新しいチャレンジです。 素材を繋げたり、少し遠くまで可能性を広げたり。 白いモチーフは、ロースターやブレンダーの創造性を表してみました。

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