1990年の開業時の日本のコーヒーの焙煎度は、アイスコーヒー用を除けばミディアムローストが90%以上を占めていました。
深煎りは、ごく一部のロ―スターや自家焙煎店が行っていました。
私は、焦げや煙臭のない、柔らかな苦味のある深煎りのコーヒーを作りたくてこの仕事を始めましたので、ミディアム以外にシティとフレンチローストのコーヒーをメインとして販売しました。
初めにシティローストのコーヒーを飲んでいただき、それに慣れた段階でフレンチローストコーヒーをお勧めしてきました。
私の求める風味である焦げや煙臭のない深煎りを作るためには、焙煎機の構造と機能が重要と考えました。
1980~90年代のコロンビアやグァテマラには、ブルーグリーンの硬質の生豆(この当時は、全体的に品質は不安定でしたが、一部に乾燥も丁寧な豆もあった)も一部に見られ、硬すぎてミディアムでは豆のしわが伸びない状態でした。
そこで、一部の小ロースターや自家焙煎店では、水分値の安定した入港後半年以上保管された生豆を求める傾向がありました。
生豆の問屋は、フレッシュな生豆を売るのが難しかった代です。
このような状況下、一部の自家焙煎店ではダブル焙煎(焙煎時における乾燥・水抜きの段階で一度焙煎機から出し冷却してから再度焙煎する)を行っていました。
また、生豆を寝かせたオールドビーンズ(長期保管した豆)を使用するロースターや自家焙煎店も見られました。
私は、硬質の豆の中にこそ風味があると考えていましたので、多くの焙煎会社とは異なりニュークロップ(その年に収穫された生豆)を求めました。
そのような生豆で深煎りのコーヒーを作るために、富士ローヤルの直火の5㎏焙煎機を改良し導入しました。
バーナーの本数を50%程度増やして火力を強くし、バーナーとシリンダーの距離をとり焦げないようにし、煙をコントロールできる強制排気機能を加えました。また、サイクロンを2つにして焙煎と排気を区分し、連続焙煎を可能にしました。
この焙煎機により火力と排気のコントロールの微調整ができ、デリケートな風味の深煎りが可能となり、他のコーヒー会社と風味の差別化をすることができました。この焙煎機の焙煎効率は高く、月に1トンの焙煎が可能でした。ここに堀口珈琲の風味の原点があります。この時期の状況や生豆については、「コーヒーと文化」(季刊誌)に何度か寄稿しています。
1990年=深煎りのコーヒーを作るため、5㎏焙煎機を改良。
1999年=狛江店を開店し、業務用コーヒー用の改良型10㎏焙煎機を導入。
2004年=狛江店を同じ狛江に移転し20㎏焙煎機を導入。
2008年=上原店を開業し、ノーマル仕様の5㎏焙煎機を導入。
2019年=横浜工場に狛江店の20k焙煎機を移転し、新たに20㎏焙煎機導入。2025年=横浜工場に30㎏焙煎機を導入。
現在は、5㎏+20㎏+20㎏+30㎏の焙煎機が稼働しています。
ブレンドを作ることが基本ですので、シングルオリジンの焙煎回数が他社より多くなります。非効率ですが、これが基本スタンスです。
ブレンドこそ会社のアイデンティティであり、35年間多くのブレンドを作ってきました。よいブレンドを作るにはよいシングルオリジンが必要になります。
horiguchi