パパ日記

2026-22 日本のワイナリーと自家焙煎店

私は、ピノノワール種のワインしか飲みません。理由は単純で、その風味がテロワール、品種、生産地区、畑、クレマ、生産者などで風味が変わりやすくテイスティングの勉強になるからです。
これまで30年間フランスのブルゴーニュのワインを中心に飲んできました。
そんなこともあり、今回はワインとコーヒーについて書きました、

近年、日本では小規模ワイナリーおよび自家焙煎コーヒー店の増加が見られます。ワイン産業は農業と醸造業が結合した産業ですが資本回転は遅く、起業には1憶円以上の資金が必要です。一方、コーヒー焙煎業は高い生産性を持つ加工業ですが、小規模店舗は零細で生産量が少ない場合が多く見られます。
両産業を見ると、文化的価値の高さ、職人産業としてのイメージ、技術難易度の見えにくさが新規参入を促進する要因であることが示唆されます。
これらの産業では技術習得と経営構造に関する理解が重要ですが、外部からは見えない部分が多すぎますので、この文章で少し見える化をしたいと思います。

1 はじめに
日本では2000年代以降、小規模食品製造業の多様化が進んでいます。
特にワイン産業における小規模ワイナリーの増加、およびスペシャルティコーヒー市場の拡大に伴う自家焙煎店の増加が顕著です。
日本のワイナリー数は2000年代初頭には約200程度でしが、現在では約500に達していると報告されています(日本ワイナリー協会)。
一方、自家焙煎コーヒー店については公式統計はなく、私の個人的見解ですが6000店程度と推測します。
都市部以外の地方都市にも小規模自家焙煎店の増加が顕著に見られます。
例えば私が起業した世田谷区は人口95万人ですが、自家焙煎店の数は現在100店程度あり日本最大の激戦区といえます。両産業は原料や製造工程において大きく異なりますが、小規模事業者の参入が多い点で共通しています。

2 日本のワイン産業
日本のワイナリー数は2000年代以降増加しています。
これは2000年以降のスぺシャルティコーヒーの発展と時期を同じくしています。ワイナリーは、2000年の180、2010年260,2020年410、2024年500と驚くべきスピード増加し、日本ワインが広まりつつあります。
しかし、ワイナリーとしては零細で、イタリア・スペインの4000、フランスの3000に比べると8分の1程度です。当然生産量も少ないといえます。(日本ワイナリー協会)

ワイン産業の生産性
ワイン生産は農業と醸造業が結合した産業です。
土地面積に制約されますし、ブドウ収穫は年1回で発酵・熟成に時間が必要になり生産性が高いとは言えません。
また畑の購入費以外に醸造設備、熟成樽、貯蔵施設設備投資に多額の資金が必要になります。一般的に1ヘクタールのブドウ畑から生産されるワインは4,000〜6,000本程度とされており、土地当たりの生産量には限界があります。
1本3000円で販売したとしても3000×5000本で15,000,000万円です。

4 焙煎工程の生産性
コーヒー焙煎は1回20分程度で済み、理論的には高い生産性を持ちます。
5㎏焙煎機の場合、1回焙煎時間は約20分で1時間2~3回の焙煎ができます。
1時間当たり4㎏投入×2回で8㎏、さらに午前中の3時間の焙煎で24㎏(焙煎豆は85%になる)の焙煎が可能です。
24㎏×0.85≒20㎏を100gあたり1000円で販売すれば1日200,000円になり、25日営業で月5,000,000円の売り上げが可能となります。
しかし現実的には開業3年で1日あたり5㎏程度売れればよい方ですので、5㎏×0.85≒4,25㎏×25日=106㎏です。
106kgを100g1000円で販売すれば、月1,0600,000になり年間12.720.000円となります。焙煎豆は売れれば効率のよい商売ですが競争は激化しています。
堀口珈琲の世田谷店は小田急線の千歳船橋駅にありますが、直線で1㎞の両隣の駅で15店の自家焙煎店があります。

5小規模焙煎店の実態
実際の自家焙煎店では生産能力が十分に活用されていない場合が多いというより、焙煎豆そのものがオーバーストアにより簡単には売れないというジレンマが伴います。両産業は異なる生産工程を持ちますが、文化産業としての性格を共有していますので、参入者が多いと推測されます。
ワイナリーには、1憶から数億の設備投資が必要で、0からスタートするにはハードルが高いといえます。補助金などもありますが、資本の確保が必須となります。売り上げを増やすにはブドウの栽培地を拡大するか、近隣農家からブドウを買取るしかありません。一方自家焙煎店は1000万延程度で開業する事例も多く見られ、売れればの話ですが効率は高いといえます。

6技術認識の問題
小規模食品製造業では技術難易度の社会的認識と実際の難易度の間に差があると考えます。例えば寿司職人の世界では、魚を見極める能力や包丁技術の重要性が広く知られているため、長い修行が必要とされます。最近はすし学校もありますが、魚を見極める目は簡単には習得できません。
コーヒー焙煎では外部から見える工程が比較的簡単そうに見えますが、生豆という素材を見る目やその確認のためのテイスティングスキルの難易度が過小評価されていると考えられます。自家焙煎は本来専門性の高い仕事ですが、そのことが理解できずに開業する人が多く見られます。
ワインもブドウから簡単に作れそうに見えますが、ブドウ収穫のスキルや出来上がったワインのテイスティングスキルは簡単に身につくものではありません

6
小規模事業参入の要因
このような状況でも参入が多いのはワインとコーヒーが文化的商品としての側面を持つからだと思います。ともに非常に嗜好性の高い食品であることも大きな要因でしょう。ワインもコーヒーもテロワールや品種、生産者などの情報で差別化でき、マーケティング的なストーリーで小規模事業者でもブランド形成を可能にします。この文化的魅力が参入者を増加させる要因にもなっていると考えます。

7
結論
小規模食品製造業の増加の要因の一面を解説しましたが、これらは産業全体の分散化をもたらす可能性があり、すでにその傾向が見られます。分酸化すればするほど売り上げは減少すると考えられます。すでにワイナリー及び自家焙煎店の数は飽和状態とも考えられますので、今後は、品質そのものやマーケティングで明確な差別化ができるか否かがカギになると考えます。

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