パパ日記

2026ー24 現在のタンザニアの風味は謎

日本のコーヒー業界では、タンザニア北部の豆に関してはキリマンジャジャロという品名を使用しています(全日本コーヒー協議会)。私はそれが不自然と感じましたので、1990年の開業時からタンザニアという品名にしました。

北部は、カラツ(Karatu・ンゴロンゴロ高原地域で品質評価は高い)、モシ(Moshi・コーヒーの集荷都市でドライミルが多い)、アルーシャ(Arusha・メルー山周辺)などが産地で、西部はキゴマ(Kigoma・タンガニーカ湖沿い)、南部はムベヤ(Mbeya)などです。北部は農園が多く、その他は小農家が多いのが特徴です。

タンザニアは、火山性土壌、高標高でFrench Mission(フランスの宣教師がレ・ユニオン島から持ち込んだダブルボン品種)を祖先にもつブルボン系品種とケント系品種が中心です。ケント品種(Kent)はインド・マイソール州(Mysore)で1910年代に選抜された系統です。タンザニアにケント系統がある理由は、さび病(Coffee Leaf Rust)対策として英国植民地農業研究が導入したためです。ケント系統は栽培しやすく、収量安定性があり小農家にとって扱いやすい品種ということです。
そのためケニアに近い風味がありましたが、現在はN39、KP423品種が多くなりケント種固有の風味はよくわかりません。インドのケント種をテイスティングしましたが風味をうまくつかめませんでした。。

タンザニアでは。単一品種としての流通はほぼありません。

N39は1930年代ケニアの Scott Agricultural Laboratoriesが選抜したブルボン系統、KP423はケント系統でKenya Plantationの略で1960~1980年代に普及しています。南部でもN39、KP423や改良品種が増加しています。

現在のケニアは、SL系60%、Ruiru・Batian が40%でカチモール系品種が混在しています。タンザニアは、N39、KP423 が50%、Bourbon系が30%、その他 20%程度と推測されます。ルワンダ、ブルンジはフレンチミッション系のブルボン種が多く見られます。

私が開業した当時のタンザニアの風味は、柑橘果実の酸味にマイルド感のあるコーヒーでしたが、それに比べると現在のタンザニアはやや重い風味でさわやかな風味の印象ではなくなりつつあるように感じます。こうしてみると、タンザには北部、西部、南部と生産地区が様々ですし、品種の混在も増加し、タンザニアの風味を理解しているコーヒー関係者はほとんどいないのではないかと考えます。

私は2003年よりブラックバーン農園の豆を20年使用していますが、少しずつ風味の変化を感じるようになりました。

昔はタンザニアの風味は、ブラックカラントなどと言われましたが、そういわれても日本人にはなじみのない味で理解不能でしょう。2000年代初期のケニアの農園の豆にそのようなニュアンスの風味はありましたが、ケニアも含め現在のタンザには、そのような風味は100%ないと思います。

例えば、欧米人の理解しているMolasses(糖蜜) 、Rhubarb(ルバーブ)Blackcurrant(カシス・黒すぐり)などは、普遍的な言語ではありませんし、Berry(ベリー系)も含め日本人にはわかりにくいと思います。そもそも食べていないのにブラックベリーなどという人までいます。

SCAの作成したフレーバーホイールが普及し、世界的な傾向として、そこから風味にあう言葉を探そうとする人が多くなりました。しかし、フレーバーホイールは、アメリカ人の食文化をベースに作成されたもので、食文化の異なる国で適応させようとすれば難しさはあります。

つまり、フレーバーホイールは、科学的分類ではなく、米国人の感覚語の整理図といった方がよいでしょう。また、強度の尺度がありませんので、ワールドコーヒーリサーチ(WCR)は新たに科学者向けに語彙集(Lexcon)を作成しています。

個人的には、フレーバーホイールの語彙感覚は、理解できない部分も多く、日本人が無理やり使用しているのを見ると、日本仕様を作ればいいのにと思います。このフレーバーホイールを使いこなすのは困難ですので私は一切使用しません。

12013年から16年くらいのケニアの風味を記録していますので、「スペシャルティコーヒーのテイスティング(旭屋出版/2024)」を参照ください。フレーバーホイールよりは正確です。

さて、タンザニアの風味とは何でしょう?5月にやりましょう。