パパ日記

2026-26 ブルボン品種は絶滅危惧種

ブルボン品種は「絶滅危惧種」といっても過言ではありまん。ただし植物分類上の絶滅危惧ではなく、商業栽培上の絶滅危惧種です。同じようなものか。理由は明確です。

ブルボン品種は品質が高い一方で、収量が低い、樹高が高い、病害に弱い、さび病に弱い、気候変動に弱い品種です。そのため、WCR(World Coffee Research)も、ブルボンを「低〜中収量で、主要病害に弱いが、カップ品質は高い品種」と位置付けています。多くの生産国でカチモール系、サルチモール系、ハイブリッド系などへ品種の更新が進んでいます。これは消費の拡大の中で、コーヒー産業の維持という観点からは合理的であり、農家にとっても恩恵があると推測されます。しかし、風味の多様性や在来系品種の保持という観点では大きな損失です。

1)グァテマラのブルボン品種
中米はブルボン品種の「最後の実用的コア地域」で、グァテマラのアンティグア地区にはブルボン品種が多く植えられています。しかし、ブルボン品種の自然変異種であるカトゥーラ品種も目立ち、出荷される場合はブルボンとカトゥーラ品種が混在している事例が多く見られます。「サンタカタリーナ農園」はGPSで区画が管理されていますのでブルボン品種のみの表示が可能ですが、その他の多くの農園では品種の混在が見られ、風味に微妙な変化があります。したがって、多くの農園の場合単純にブル瓶品種という表示には疑問が生じます。

2)エルサルバドルのブルボン品種
エルサルバドルは、アラビカの約60%がブルボン品種といわれますが、これはかなり古いデータで現状ではブルボン種は少なくなり、ブルボン種の変異種であるPacas品種、Caturra品種、さらにはブルボン系交雑種のPacamara品種も増加しています。エルサルバドルは歴史的にブルボン品種の中心地でしたが、純粋なブルボン品種の比率の明確な統計が存在せず、実際には減少していると考えられます。

3) ケニアのブルボン系品種
ケニアのSL28とSL34 はブルボン系統の選抜種ですが、現在はルボン系のSL品種からの脱却が進んでいます。高収量・耐病性のあるRuiru 11やBatian品種の増加が顕著で、10年前に多く見られた柑橘果実その他のフルーティな風味は減少しています。

4)タンザニアのブルボン品種
French Mission(フランスの宣教師がレ・ユニオン島から持ち込んだダブルボン品種)を祖先にもつブルボン系品種とインドのケント系品種が中心でした。その後、ブルボン品種の選抜種であるN39とケント種から選抜されたKP423品種が多くなり、それらが交雑していますので、タンザニアでは、単一品種としての流通はほぼありません。タンザニアのブルボン系統は、遺伝的に残存品種としては崩壊しています。

5)ルワンダ・ブルンジのブルボン品種
ルワンダやブルンジも長くブルボン系の産地と見られてきましたが、実際には Bourbon Mayaguez71、BM139、Jackson、Mibirizi などが混在しています。WCRでは、BM71はルワンダとブルンジで一般的に見られる品種、Mibiriziはルワンダ・ブルンジの小農家にとって重要な品種とされています。つまり、ルワンダとブルンジの「ブルボン」は、純粋なブルボン品種というより、ブルボン系・ティピカ系・地域選抜系が混在した在来系アラビカ群と考えた方が正確といえます

6)ブラジルのブルボン品種
ブラジルはブルボン品種が主流でした。しかし現在は、Mundo Novo(ブルボン×ティピカ)、Catuai(Mundo Novo×Caturra)、Caturra(ブルボン変異)が主流で、純粋なブルボン品種は少なくなり、ブルボンから派生した品種が支配しているといえます。流通から見ても品種が混在している事例が多く、単一品種としてブルボン品種が流通している事例は少ないと考えられます。

こうしてみると、純粋なブルボン品種は、品種の交雑、流通過程における品種の混在などにより減少していると考えられます。純粋なブルボン種は減少し、ブルボン種から派生した品種に置き換わりつつあるというのが現状です。
以前、ASIC(国際コーヒー科学学会)に出席した際に、ネスレがブルボン品種の遺伝子研究を進めていると発表していたのを思い起こします。

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