このコーヒーに出会ったのは今から18年くらい前でしょうか。
当時は大部分がナチュラルで、エチオピアにおいては、ウオッシュトはほとんどつくられていない時代でした。
しかし、今思えばこのエチオピアのウオッシュトコーヒーは、パナマのエスメラルダ農園のゲイシャの登場くらいの衝撃がありました。
ハラ―などのナチュラルの精製の醗酵したような香味に対し、イルガチェフェの果実の風味は突出していました。
しかし、日本にはナチュラルファンが多く、ウオッシュトは邪道くらいに思われたのかもしれません。また価格が高いためか、広がりは弱く、多くは入港しませんでした。
したがって、昔は手の届かない高嶺の花のようなコーヒーでした。
そうなると余計にほしくなるもので、その後は、このコーヒーを追い求めました。
毎年多くのロットをカッピングし、最後にイディドのステーションにたどり着きました。しばらく、そのコーヒーを販売しましたが、オークションシステムの変更で輸入できなくなり、また新たにイルガチェフェ探しをしています。
ここ数年は、イルガチェフェの日本入港は極めて少ないため、貴重な豆といえます。この豆についても、私がこだわってきた歴史の積み重ねがあり、そのことを理解してくれているコーヒー関係者の方も消費者の方も多いと思います。
今日3つのイルガチェフェをカッピングしました。
1. ややひっこみ思案
おとなしく控えめで、イルガチェフェとしては物足りない香味。
果実感は弱いが、さすがにアフターに甘みは残る。
今後生豆の経時変化に伴い、香味が出る可能性は低い。
堀口珈琲では使用しないレベル。このレベルのものが多い。
2. ほどほどの自己主張
かすかにイルガチェフェの華やかな果実の香味。
これまで10年以上使用してきた香味のアベレージよりやや低い。
今少し日本の定温倉庫で保管すれば、香味が出る可能性も考えられる。香味が価格の高さに見合わない。
他にいいものが入手できなければ使用するかもしれないレベル。
3. 果実味にあふれている
イルガチェフェらしい香味
アフターに長い甘みが残る。フローラルで華やかな果実のニュアンスが豊か。
エチオピアの素晴らしさを堪能できる。
堀口珈琲で使用できるレベル。
過去にさかのぼれば、これより素晴らしいイルガチェフェを多く販売してきた。ただし、現状のイルガチェフェとしては高いレベル。