パパ日記

ナチュラル 

今朝のコーヒー
パナマ ダンカンW2:N1のブレンド
W(ウオッシュト)とN(ナチュラル=果肉のついたまま乾燥)がありますので
ブレンドして飲んでみてください。

 

 

 

昔から汎用品の比較的よいブレンドの定番は、ブラジルNo2、コロンビア・スプレも、グァテマラSHBなどが使用されてきました。この場合ブラジルはNで、コロンビア、グァテマラはWの精製の豆となり、マイルドなブレンドということになります。
ここにエチオピアのNであるG-4などが入ればモカブレンドといわれるようなコーヒーとなります。

 

 

 

ブラジル、コロンビアは生産量が多いため安定供給という観点からも多く使用されていますが、このようなブレンドの考え方の中にはW+Nという考え方も含まれています。
汎用品のWのみですと香味は単調になることも多く、Nを加えて香味を複雑にしようと考えるのは、
精製の違いが香味に大きく影響しますので、考え方としては正しいと思います。

 

 
スペシャルティコーヒーマーケットでは、ブラジルのNではなく、より欠点の少なくなる精製方法であるPN(パルプドナチュラル、水槽や果肉除去の工程で完熟と未熟豆を分ける)を使用することが多くなったり、エチオピアのNのG-4より欠点の少ないWのG-1やG-2などを使用することが多くなっています。
ナチュラルの香味の複雑性は、優れたブレンドには欠かせないものの一つですが、これまでの生産の歴史の中で優れた品質と香味のNが少なかっため、こうせざるを得なかったともいえます。

 

 
しかし、、私は欠点の混入の少ない優れた香味のブラジルのナチュラルを開業以来探し求めています。取引した初めの年はよくとも、2~3年後から品質、香味が落ち安定性のなさに苦闘してきました。15年近く取引を継続しているマカウバデシーマも紆余曲折があり、現在のナチュラルはよくなっていますが、さらに良い香味をリクエストし手いますし、優れたNをつくれる新たな農園の豆を常に求めています。
本当に素晴らしいブラジルのナチュラルは、濃厚なボディがあるのですが、このような香味をイメージとして理解できる生産者、エクスポーターそしてトレーダーも少ないのではないかと危惧もしています。

 

 

 

 

エチオピアの高品質のナチュラルは、ここ数年、少量ではありますが生産され始めています。
世界の消費マーケットを理解できる新しい世代のエチオピアのコーヒー関係者(エクスポーターなど)が誕生しつつあり、より優れた品質、香味のコーヒーを作ろうという機運も高まり、大きな変革期になりつつあるともいえます。
スターバックスが昨年来、リザーブコーヒーとしてシアトル(地域限定)で販売しているイルガチェフェのNはそのようなコーヒーを象徴しています。
現在はウオッシュトのイルガチェフェのWのG-1が、世界中のスペシャルティコーヒーマーケットで認知されていますが、米国のサードウエーブの多くはいずれはこのNの領域に参入してくるでしょう。

 

 

 

 

エチオピアのイルガチェフェの高品質のNは、かねてより堀口珈琲が取り組んできたもので、これまで継続して毎年購入してきています。堀口珈琲のお客様は様々なイルガチェフェのステーションのG-1のナチュラルをすでに体験されていると思います。
このようなことは世界広と言えども簡単に体験はできませんので、機会がありましたらぜひお試しください。今後もエチオピアの原点ともいえる高品質のNは大事にしたいと考えています。
エチオピアで優れたNのコーヒーが作れる環境が生まれつつあることは、エチオピアコーヒーの原点であるナチュラルの可能性を再度とらえ直すことができることを意味し、さらなる香味の探求につながる可能性を感じます。

 

 

 

 

このようなエチオピアのNのG-1とその品質と香味に匹敵するものが中米のNとなります。
パナマの農園主たちが、Wとの差別化のため実験的に取り組んできたNの品質はここ数年飛躍的に向上しています。ハートマン、カルメンなど多くの農園のNが作られています。
堀口珈琲のパートナーともいえるコトワもNに取り組み、その完成度は高いと思います。
上記のダンカンのN、リオクリスタルのゲイシャのNなど、コトワは中米のナチュラルを代表するような農園になっています。
生産環境、乾燥日数、手間などで生産量は限られますが、一度は賞味してほしい新しい香味だと思います。