味はメゾンの命です。
コーヒーと同じように、当然収穫年の香味の違いはありますのが、そこでも毎年メゾンの香味を作らなければなりません。
堀口珈琲も9種のブレンドの香味を1年間、さらには毎年同じにしなければなりません。
生豆の経時変化、収穫年による香味の違いを勘案し随時使用豆の選定、変更をしていきます。ある豆が切れた時には他の豆で代用したり、より良い状態の生豆を使用したりして全体の使用豆を修正していきます。
そのためには、同じ国のコーヒーでも数種が必要となりますので、膨大なシングルオリジンのコーヒーが必要となります。
1990年に開業した時から、ブレンドは単に生産国の豆をブレンドするのではなく、香味で作るものだと考えていましたので、開業時は「さわやかブレンド」「味わいブレンド」など香味で味を決めていました。
当時は、コロンビアSP+グァテマラSHB+ブラジルNo2のようなブレンドつくりが大部分でしたので、このような考えかたは、コーヒー業界では斬新でした。
しかし、同じスプレモでもロットにより常に香味が異なりますので、既存のブレンドの考え方は理解しがたく、とにかくブレンドの香味をまず決めその香味をできるだけ維持し、それらに見合う豆を求めた訳です。
しかし、これはなかなか大変なことで、生豆の安定供給がなされない事実に直面していきました。開店時からの10年間は、生豆に対する試行錯誤の時代で、商社、問屋のプレミアムの生豆を片っ端から使用し、味を安定させる努力をしました。
こんな経験を経て2000年以降自ら生産地に目を向け生豆を探すようになった訳です。
生産者及び醸造責任者にサインしてもらった瓶。
このようなブレンドの考え方は、ボルドーの1級シャトーやシャンパンから学びました。
ボルドーは、カベルネソービニヨンとカベルネフランとメルローをブレンドしますが、その年の出来で配合は変化させ、シャトーの香味を決めます。
出来のあまりよくない年であってもより良い香味を求めるのがシャトーのプライドでしょう。
シャンパンも、ブランドブラン以外は3つの品種配合などが重要となりますので熟練したプロが必要となります。あくまでメゾンの味を作らねばなりませんので、味が基本になるということです。
続く