パパ日記

タンザニアコーヒーの香味-1

私はこの仕事を始めた時は、ほぼすべてのタンザニアはキリマンジャロ名で販売されていました。したがって私がタンザニアと表記したときには、お客様は理解できず数年間は説明が必要でした。
そのおかげというのもおかしいですがお客様とのコミュニケーションもとれた訳です。

 

 

 

さて「タンザニアの香味って何?」という質問の答えられるコーヒー関係者はいるのでしょうか?いたらよほどその地のコーヒーに精通した人か、味覚の天才いえるような人かもしれません。その年のタンザニアの香味について説明は出来ても、その生産地や地域の全体像としても香味の解説はかなり難しいと思います。
隣接したケニアは明らかな特徴的な香味がありますし、ルワンダのブルボンでもある程度は香味を理解できますが…….タンザニアは25年飲んできましたが香味を把握するのがなかなか困難な生産国といえます。

 

 

 

高品質の主な生産地は北部の農園などです。
南部のコーヒーもステーションができ、品質が向上しているといわれますが、まだまだ香味に物足りなさを感じます。
しかし、北部の優れた農園であっても、品質や香味に波があることが見られます。
主な理由は旱魃や物流、港湾施設などの不備などが考えられますが、厳密にはなかなか調査の難しい産地でもあります。

 

 
このような状況に対処すべく、堀口珈琲では早い段階でブラックバーンという単一農園との取引を開始しました。02-03クロップから使用し もう10年以上がたちます。

当時は単一農園いう概念がコーヒーマーケットにはない時代で、農園の豆は世界中にほぼ流通していませんでした。
したがって、エクスポーターを説得するところから初め、農園とのつながりを模索した訳です。

 

 

 

ブラックバーンは、某エクスポーターのプレミアムブランド商品として他の農園の豆と混ぜられ流通していました。
タンザニアのよい香味を知るためには、やはり個々の農園の香味を確認す必要があるとの考えをもっていましたので、購入することを前提に農園単位のサンプルをもらうことからスタートしました。
2~3年テースティング(この当時はカッピングという言葉もあまり使用されてはいませんでした)し、その中で選んだのがブラックバーン農園でした。

 

 

その後訪問し、バッファローや像が通るような自然の中にありながら、灌漑設備もあるタンザニアでも屈指といえるような素晴らしい農園であることがわかりました。
北部タンザニアの多くの農園主はイギリス、インドなどに住んでいて農園管理はマネージャー任せというところが多く見られましたが、ブラックバーンは農園主がその地を愛し住んでいました。

 

 

これまで、10年以上をかけ日本のインポーター、タンザニアのエクスポーター、農園とのパートナー関係を構築し、可能な限りの品質維持を模索し購入してきた豆です。
現地のエクスポータの責任者も10年以上の間に変わりましたので時代を経てきたと感じます。

 

 
タンザニアの生豆輸送にはリーファーコンテナ(冷蔵)を使用してきています。
私はワインを勉強していましたので、高級ワインの輸送を生豆輸送にあてはめた訳です。
小さな会社である堀口珈琲が、1コンテナのコーヒーを購入するにはリスクヘッジが必要だとの考えもありました。
しかし、10年前という時代は、リーファーコンテナの使用はコストもかかりコーヒー業界では例外的で、なかなか理解されませんでした。

 

さてそのタンザニアの香味ですが……..続く