パパ日記

アンズとプラムとケニア

カッピング編参加者の方 遠路お疲れ様でした。
ケニアは酸の強いコーヒーですね。
グァテマラのアンティグアとコロンビアのナリーニョとの酸の違いが分かったでしょうか?
良質のコーヒーはその酸の質で区分するしかありません。

 

 

私がこの仕事を始めたころはミディアムローストが主流でしたので、ケニアは日本では酸が強く敬遠され輸入量は極めて少ない豆でした。
流通がなく1990年代はほぼ使用しませんでした。
しかし、ある時この産地の素晴らしいコーヒーに巡り会い、産地開拓を模索しました。

 

 

 

高品質ケニアの日本入荷はほとんどなく、2000年以降日本のインポーターとケニアのエクスポーターと組みナイロビのオークションで落札する方法をとりました。
毎週火曜日にあるオークションのサンプルを空輸してもらい、カッピングして落札額を決めるという作業を数年間続けました。
そのおかげて世界中の多くのコーヒー会社よりもケニアのコーヒーに精通していきました。

 

 

世界を見れば、スペシャルティコーヒーのムーブメントの中で、2005年ころ以降に世界的に注目を浴びるようになりその需要が少しづつ拡大した生産国といえます。
2000年代前半に堀口珈琲が購入したケニアは、ワンゴとかゲズムブイニなどの農園ものが主流でした。
乾燥プラム、黒ブドウなどの派手な果実感の香味のものも多く、ケニアの個性が他の生産国の香味を圧倒しました。
しかし、ケニアの優れた香味の多様性を知るにつけファクトリーのコーヒーに関心が移行しました。柑橘のきれいで上品でしっかりした酸にチェリーやプラムの華やかな赤い果実の甘い酸が混ざったケニアがあることも知った訳です。

 

 

 

2000年代終盤あたりからオークションを通さない自由化の波も生まれ、農協(ファクトリー/水洗加工場)を選び、その豆をエクスポーターに依頼し購入が可能になりました。
それまでに蓄積してきた香味のノウハウや優良ファクトリーの情報などが役立ちました。
もちろんオークションでも落札しましたが、このころから優れたファクトリーの生豆を確保することができるようになった訳です。

 

 

 

しかし、ケニアの価格は高く、世界的に見ても良質のケニアを買える会社は少なく、堀口珈琲はケニアのハイエンドスペシャルティの優良なバイヤーとして認知されています。
現在では、毎年多くののファクトリーの豆を購入していますので、1年を通じ様々なニュアンスのケニアの香味をご案内しています。
20150705_170358
アンズ
とプラム

 

ケニアの酸は強く、レモン、ソルダム、パッションフルーツなどその産地により多様です。
また甘酸っぱい青梅のジャムや、レモンをたくさん入れたアンズジャムのような甘みと酸など様々な果実のニュアンスを含みます。(アンズの生は凡庸ではっきりしない味ですのジャムとかピューレから感じる味です。)
更にはトマトやプラム、乾燥プルーン、黒ブドウ、等数え上げればきりがないくらい複雑な香味を持ちます。其れゆえにスペシャルティコーヒーマーケットで現在最も争奪の激しいコーヒーともいえます。