スペシャルティコーヒーは2000年あたりから世界的に広がり始め、2002年にはトリッシュさんがサードウエーブという言葉を使用し、2003年にはSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)ができ、SCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)のカッピングフォームも使用されるようになりました。
シングルエステート、トレサビリティ、認証コーヒー、フェアトレード、パートナーシップ、シングルオリジンなどあたらしい概念が生まれ様々な取り組みがされ、従来のコーヒーとの差別化が図られてきました。
SCAA、SCAE、SCAJの展示会も毎年開催され、最近は韓国、中国でもカフェショーが開催されるようになっています。
Qグレーダーの有資格者も増加し、コーヒーの品質を客観的に評価する機運もまし、スペシャルティコーヒーが広がるベースが形成されてきています。
2000年の前半はまだそのムーブメントの萌芽の時代でしたが、2000年の後半には世界的な広がりを見せ、2010年からはそれらを当たり前のように受け取るコーヒー関係者や消費者も生まれてきたと思います。
2000年頃から15年程経過し、スペシャルティコーヒーは徐々に認知され、そのマーケットは成熟してきていると実感しています。
しかし、その拡大しつつある状況は、「シングルオリジンならスペシャルティ」「焙煎の浅いものがスペシャルティ」「甘い酸を表現するものがスペシャルティ」「あの会社が扱っているものはすべてスペシャルティ」などなど誤った認識によるものも多く見られるようになり、スペシャルティコーヒーの曖昧さを浮きだたせているようにも感じます。
消費者は何をもってスペシャルティコーヒーなのかを理解することは難しく、その合理性も問われる時代になっているとも考えます。
それらは、生産国の準公的機関、輸出会社、生産者や認証団体、各企業、などによりが生産、流通のプロセスの中で決められていくことになります。
最終的には、SCAA、SCAJ,COEなどのカッピングフォームに基づき、夫々の基準でスペシャルティに相当する点数を獲得しているものなどが判断の目安とはなりますが、絶対とは言いきれません。
スペシャルティという言葉を使用せず、よいコーヒーといっても「何が良いのか」は問われる時代に入っているといえるでしょう。
昔から使用されている表現として、「スペシャルブレンド」「最高等級豆」「最上級豆」「至極の珈琲」「Excellent Coffee」など….は品質や香味の裏付けが重要となるでしょうし、「希少品」「幻の珈琲」などもスペシャルティコーヒーとして品質、香味と連動させるのであればそれを説明できなければならないでしょう。
マーケットの成熟は、よいコーヒーに対する消費者の認知や理解を増加させる反面情報過多や曖昧さによって大きな混乱を招く部分もあります。
スペシャルティコーヒーの生豆を使用していると言いながら、実態は汎用品が多かったり、販売者が香味を理解できなかったり、産地を説明できなかったり、輸送や入港後の保管に問題があり劣化していたり…等の事例も頻繁に見られますので、どのようなコーヒーを販売するかはその会社の品質や香味に対する姿勢にかかわるでしょう。
何よりも消費者に信頼される「まっとうな」会社であることが大切だと思います。
続く