パパ日記

昨日の続き

ボルドーの1級シャトーのワインは、濃縮感がありながらその他のボルドーとは異なる香味があります。

それは熟成した時の香味の差で、グルタミンなどの旨み成分を感じるからです。
ボルドーは深めの色の赤ワインで、濃厚でありながら、あまりに柔らかです。
長い熟成期間を経たワインにこのような甘い余韻と香味を感じることができます。
もはや在庫も少なく、価格も高すぎるため、飲める機会は少ないといえます。
このボルドーの熟成した完成度の高いワインから想定できるコーヒーは、
ニエリ地区のケニアの優れた豆やコトワのダンカンなど中米の固い豆などでしょう。
対してブルゴーニュは、デリケートでありながら、奥深い滋味があります。
しかし、ワイン評論家のロバートパーカーは、この種の伝統的でやさしいブルゴーニュよりも、濃厚なブルゴーニュを評価する傾向にあります。一時期この種のワインが増え、ブルゴーニュの生産者が堕落したと感じたのは私だけではないと思います。米国人が好きな香味とも言われますが、私のようなブルゴーニュ好きにはいらないワインの香味の領域です。
DRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ/Domaine de la Romanée-Conti)のワインの香味などはその典型といえます。
ワインといえども評価は分かれます。
基本的なブルゴーニュの香味は、花のような香りと明るいやさしい繊細な酸と控えめなボディなどです。
さらには全体の香味を調和させるまろやかさです。
知性を備えた精神性の高いワインといえるでしょう。
このワインの魅力は優れた熟成香にあり、なめし皮(熟成したワインなどに使う言葉)の香味の中に潜む
グルタミンをベースとしたような甘い香味です。
永遠に余韻が残るのではないかと錯覚するに十分な香味が舌に残ります。
また、飲み干したグラスの中にいつまでも甘い香味の余韻が残ります。
一度でも、この至福の香味に触れてしまうと、ブルゴーニュの危険な誘惑と格闘しなければならなくなります。
コーヒーでいえば、パナマのゲイシャ(一般的にはウオッシュトの精製)やスマトラの在来種のマンデリンなど
といえます。
珈琲におけるコトワのナチュラルの精製の実験は、まだ数年にすぎません。
このコーヒーは、ワインにたとえた場合、ボルドーよりかブルゴーニュよりか まだ見えてきません。
どこに向かうのかが見えないという印象で、従来のナチュラルの香味の枠(概念)を飛び出した世界で最初のコーヒー
感じました。
まだ完成途上であると思いますが、このコーヒーがパナマの歴史上もしくはナチュラルの精製上で
最高のナチュラルである可能性を感じました。
この豆は世界中のコーヒ―マニアの会社が欲しがった豆です。
しかし、コトワは堀口珈琲にとって重要な農園であるが故に、他社には渡したくなく高値で購入しました。
かつて堀口珈琲で販売したエチオピアのミスティバレーは、もはや作ることのできない幻のコーヒーとなり、いまだに
多くのファンのリクエストを受けています。
このゲイシャナチュラルも、今後そのようなコーヒーの一つとして存在感を持つようになるでしょう。
毎年この豆を確保していきたいと思っています。
その意味で 今年のこの香味を確認しておいてください。
とても安いプライスで販売しています。
コーヒーもワインと同じように、価格のとびぬけたものが出てきているということです。
さて、このコーヒーですが、ローストの度合い、釜の選択などで大きく香味のニュアンスも変わると思います。
ハイロースト、10kの直火でローストしましたが、多様な実験ができるほどの量がなく、今回はこのレシピとなります。
毎朝、世田谷店で抽出してもらって、香味の変化も試しています。
購入された方は、密封容器で常温保管してください。
100gですから、到着日、3日後、7日後、10日後など時間経過した香味をお楽しみください。
香味が徐々に変化していくと思います。
2週間程度で使い切れなければ冷凍庫に保管ください。
「今日はかすかにチェリー、ラズベルー、ストロベリーなどの赤い実の香味のニュアンスが出ていますね
少しピーチのような甘みも感じることができます。
強く目立たないで控えめでありながら.調和された香味のニュアンスがあります。
このようなナチュラルの精製のコーヒーは初体験でした。」
とても難しいコーヒーであるがゆえに、それを理解するためにも
片っ端からナチュラルのコーヒーを体験してみるのもいいでしょう。
世田谷店の喫茶では一杯900円でご提供しています。