パパ日記

日本の焙煎業-2 焙煎豆の生産量と質の問題

日本市場は複雑で、諸外国と異なりインスタント、レギュラー(喫茶、家庭用など)以外に缶・リキッドコーヒー(工業用)があり大きなシェアを持ちます。
一般的には、レギュラーコーヒーの中に工業用である缶コーヒーを含めてとらえることが多く、品質、価格差はかなりの幅があります。
以前は、インスタント、レギュラー、缶の生産比率は1:1:1と言われた時期もありますが、インスタント及び缶(工業用)は微減傾向にあります。

 

 

2015年の焙煎豆生産量は、レギュラー75%(284.500トン)対インスタント25%(33.200トン)程度です。
レギュラーコーヒーの生産比率は、業務用(喫茶、レストラン、オフィスなど)31.4%、家庭用32.3%、缶(工業用)36.3%です。
業務用及び家庭用コーヒーの需要は、4年連続で増加(2012年に比べ業務用で22%、家庭用で12%増)しています。
特に業務用の伸び率は高く、コンビニコーヒーの需要増が大きいと推測されます。
また家庭用のレギュラーコーヒーの販売形態にも変化があり、簡易ドリップが全体の23%を占めるに至っています。

 

レギュラーコーヒーの主要生産企業は、生産量からUCC(53.000トン/年)、キーコーヒー、味の素ゼネラルフーズ、アートコーヒー、ユニカフェ、東京アライドコーヒー(17.100トン)の6社が大手ロースターとなります。これらには缶などの工業用も含まれ、業務用及び家庭用との比率まではわかりません。

 

またこれらの企業に次ぐ中堅と行って企業は、ユニオン(9.000トン)、ドトール、コロラド、ハマヤ、関西アライド、ブルックス、キャラバン、高砂珈琲(1.400トン)などとなります。それ以下の生産量の焙煎会社は、中堅より大きく生産量が低くなると推測され、中、小ロースターとして便宜的には位置付けてもよいかもしれません。

 

 

尚、これらの中でユニカフェはUCCの、又アートコーヒーは三菱商事、キャラバンはユニマットの傘下となっています。(後日、激動の日本のM&Aで解説)

 

また、これらは、主にはレギュラーコーヒーのコマーシャルコーヒーの生産量データであり、スペシャルティコーヒーがどの程度含まれるのか?については不明であり、正確なデータはありません。

更には、生豆の観点から見ると、コマーシャルコーヒーとスペシャルティコーヒーでは、その品質や価格差は著しく差があります。
またコマーシャルコーヒーにおいてもカネフォーラ(ロブスタ種)、ローグレード、NY相場価格のコーヒー、やや高めのコマーシャルコーヒーと大きな価格差もありますので、生産量や売り上げのみでデータを見るとコーヒーの品質という側面は見落とすことになります。

 

現在、スペシャルティコーヒーとかサードウエーブとかいわれますが、日本及び世界のコーヒーは、カネフォーラの生産増に伴う輸入増加、NY相場の低め推移に伴い、ディスカウントコーヒーの増加をも意味しています。

日本においても、その使用量の増加を単純にコーヒー需要の増加と片付けず、レギュラーコーヒーの価格競争の中でディスカウントコーヒーの増加という側面にも注視すべきでしょう。さらにはスペシャルティコーヒーの浸透という、質の観点からも見る必要があります。

続く

 

資)日刊経済通信社