パパ日記

アラビカの危機

アラビカ種は、カネフォーラ種に比べ高地での栽培に向いています。
酸があり複雑な香味を醸し出します。対してカネフォーラは酸がなく単調な重い味です。

カネフォーラの方が収穫率は高く、過去10年の先進国の低成長経済の中で安い豆の需要が増加し生産量が拡大しました。ベトナムは世界第2位の生産国となりましたが、ほぼカネフォーラが栽培されています。
高品質コーヒー使用の常連だったドイツも今やカネフォーラを多く輸入していますし、日本も多くを使用しています。

10年前はアラビカとカネフォーラの栽培比率は73程度と記憶していますが、現在では64もしくは5.54.5くらいかもしれません(データ確認していません)。

 

現在コーヒーの相場は一時期の大暴騰から落ち着きましたが、それはコマーシャルコーヒーマーケットでの話で、スペシャルティコーヒー(アラビカ種の中でもとりわけ高品質で産地のキャラクターのあるもの)の中でもさらにいいコーヒー(堀口珈琲が購入するような生豆)は高値安定しています。


堀口珈琲では、パートナーシップ、リレーションシップという考え方で10年以上前から生産者との取り組みを重視してきました。
そこで感じるのは、生豆マーケットは、ワインマーケットと同じようになったということです。ハイエンドの生豆は、購入者の固定化の方向にあり、ほしい会社が高値で継続的に購入するようになりつつあります。



このアラビカ種が大きな危機を迎えています。
温暖化などの影響、農地の宅地化、生産量の限界などの理由でウオッシュトアラビカの高地栽培適地が減少化傾向にあり、高品質コーヒーの栽培があやぶまれます。

数年前からWCR(world coffee research)が、生産地面積の拡大、良質コーヒーの収穫量の拡大、コマーシャルコーヒーからスペシャルティコーヒーへの変換、新たな原産地の開発、新しい品種の開発などをめざし、世界的な研究機関や大学のネットワーク化もしつつありますが、まだまだ途上にあり問題がすぐに解決するわけではありません。

 

更には、ここ数年コロンビア、中米地域においてさび病の脅威が蔓延しつつあります。

特にコロンビアは、ここ数年生産量が2030%程度の減産が当たり前になり、さび病に耐性のあるカスティージョという新しい品種を開発し、その収穫が始まりつつあります。
(病気への耐性はあっても香味はどうなのか?という問題については何度かカップしていますが、まだ完全にその香味は把握できていません。)
在来種であるティピカは、さび病に弱く、大きな打撃をこうむりつつあります。

 

さび病はコーヒー栽培で最も恐ろしい病気です。

密植をせず、適度の日照を確保し、風通しを良くし、手入れをきちんとしていれば拡大しにくいはずなのですが長雨などの気象条件の変化もあり、なかなかうまくいかなかったのが、これまでのコーヒーの歴史です。
19世紀にはセイロン(スリランカ)、ジャワ、インドでは大きな被害を受け、セイロンはコーヒー栽培から紅茶栽培に代わり、ジャワはアラビカからカネフォーラに植え替えられました。カネフォーラ種は耐性があります。


さび病菌は葉か葉へ感染し木から木へ、農園から農園、中米では国から国へ感染します。昨年からは中米に広がりつつあり、その被害が懸念されています。


*数値は正確なものではありません。為念。