パパ日記

イルガチェフェ・デボ

デボが販売されています。
最近は様々なステーションの豆が飲めるようになり、隔世の感があります。
イルガチェフェのコーヒーは、人知れぬ苦悩の輸入歴を抱えてきました。
毎年同じレベルで複数のステーションの豆を飲むことができるのは堀口珈琲くらいでしょう。
といえるくらいこのコーヒーには深いこだわりと使用歴史があります。
このステーションのコーヒーは、穏やかなやさしい味わいです。

 

 

 

エチオピアコーヒーの日本輸入量(60k/1袋)は、ブラジル、ベトナム、コロンビア、インドネシア、グァテマラに次ぐ量で、かつてのイエメンに変わりモカブレンドの材料として輸入されてきました。
それらの大部分は、ナチュラルの精製のG-4.G-5グレードで欠点豆の混入の多いコーヒーでしたが、日本のコーヒー業界ではこ、の微妙な香味をモカとして売ってきました。
やや発酵に近い香味でしたが、発酵食品文化の日本では受け入れられてきた歴史を持ちます。
しかし、この発酵はどちらかというとよい状態でないものが多く含まれています。

 

 

 
しかし、シダモやイルガチェフェなどのステーションでウオッシュトのG-2を作られ始めてから、その品質は向上し、従来の発酵臭に近いものからクリーンで華やかな味わいのコーヒーが生まれました。
20年程前は、G-2の多くはドイツに輸出されていましたが、日本にも例外的に入荷し、フローラルな華やかさに大きな衝撃を受けました。
2004年のゲイシャショックの10年前に、イルガチェフェショックを強烈に受けた訳です。
しかし、あまりに流通量は少なく、大部分の日本のコーヒー関係者はこのコーヒーを知らずにいました。
そしてこのコーヒーの素晴らしさが、日本マーケットで認識されるのはずっと後のことになります。
2015年前後以降の、日本、米国のスペシャルティコーヒーを牽引したコーヒーといえるでしょう。

 

 

2000年後半には、ウオッシュトのG-1グレードも作られ、2010年以降には、ナチュラルのG-1グレードも誕生します。このナチュラルは、従来のG-4とは根本的に、品質、香味の異なるものです。

 

 

 

イルガチェフェのよい香味。
ウオッシュトの場合は、柑橘系の果実の酸がベースにあり、強いものはレモン+ティー、またブルーベリー系の香味、さらに華やかなピーチ、メロン系の香味など様々な香味の系列があります。
このデボはベリー系のやさしい味わいです。
また、優れたナチュラルは、赤ワイン、ベリーでもストロベリーに近いニュアンスを感じることができます。
イルガチェフェは、酸度(有機酸の総量)も高く、華やかな香味を形成しますし、脂質も一般的なG-4より高く、18%を超えるものも多く香味の複雑性を生み出しているとおもいます。