パパ日記

衣とボディ-2

ボディは、なかなか難しい概念で、多くの食品の官能評価でも厄介な項目の一つです。
コクといういい方もしますが、このあたりも曖昧です。物理的な測定も困難といえます。
しかし、主には脂質に由来する部分もあり、これらにたんぱく質その他の諸成分も含まれた味の感覚のように思います。

 

 

 

コーヒー業界の中で、生豆を取り扱う専門家でもこのような感覚を身に着けるには5年以上の歳月を要すると思いますので、このような言葉でコーヒーを評価すること自体良いのか悪いのか悩みます。

 

 

 

さて、コーヒーのボディを専門的にテースティングしてみると、官能的にはある程度のことが見えてきます。あくまでも一般的な傾向としてとらえたものですので誤解なきようにしてください。

1.表現=ボディの強弱、表現の国際的コンセンサスは特にありませんので、私はその強弱を、シルキー(ライト)、フランネル(ミディアム)、ベルベット(フル)で区分します。
テースティング会ではこのように表現しています。
代表的なコーヒーは、ブルーマウンテンの生豆の状態のよいもの、エルサルバドルのパカマラの一部またティピカ種のよいものの中に感じられた感覚をベースとしています。ただし、これらのコーヒーを毎年体験できるわけではありません。

 

 

2.標高=中米や赤道近くの産地では標高が高い方がボディを感じやすいでしょう。
中米の輸出規格は標高を基準にしていることとも関係します。
但し、生産地の緯度によりボディ感は変わります。

 

 

 

3.脂質=含有量が多いほどボディを強く感じる可能性が高い傾向にあります。
一般的なアラビカ種は12%程度から高いものでは19%程度の脂質がありますますのである程度は裏付けることは可能です。
但し、厄介なことに、チェリーの完熟度や蔗糖にも左右されるため一概に%と官能評価が合致するとはかぎりません。

 

 

4.香味=軽い、薄いから濃厚までかなり大きな幅があります。

 

 

5.粘性=水からクリーム、チョコレート、バターまでの幅があります。

 

 

以上のことを踏まえ、次のようなことが経験上理解できるようになります。
品種=ティピカよりブルボンの方がボディが強い傾向があります。
強弱=ティピカはジャマイカよりハワイコナ、ブルボンはエルサルバドルよりグァテマラアンティグア、カツーラはフェスパよりブルマスやコトワ、コロンビアであれば北部より南部の方がボディを強く感じます。
フルボディ=サンタカタリーナのモンターニャ、コスタリカ・タラスのブルマス・デル・スルキの所有するドンホセ農地、コトワのダンカン、堀口輸入の様々なケニアとイエメン、そしてコロンビアのナリーニョなどはボディがしっかりしているといえます。

 

 

 

衣には風合いがあり、その感覚を例え、かつてLCFマンデリンにベルベットという表現を使用しました。
布の風合いの研究をされていた小林茂雄先生(共立女子大名誉教授)のお話しを聞く機会がありました。
衣の官能評価の中に触感覚というものがあり風合いという言葉で表現されます。
風合いの表現には、「こし、ぬめり、しゃりみ、」「しなやか、滑らか、ソフト、ふくらみ」「シルクライク、コットンライク、ウールライク、リネンライク」などのことばがあるようです。

当方は、そのような触感をコーヒーのボディ感の中の粘性表現に当てはめていたということになります。

 

 

 

現在これらの風合いの物理的特性は「風合い計測システム」で測定できるようです。
あらゆる合成繊維はこれらの天然繊維の風合いをめざし開発された歴史があります。

1円玉の重さ(1g)=1デニール=9㎞の繊度とすると、シルクが9㎞ですが、太さにムラが生じることにも特徴があります。
日本で新合繊(ポチエステルの超極細繊維)が開発されましたが、これは0.01デニールでこれは+900kmに相当します。
このため、新しい風合いのことばとしてピーチスキンなどのことばが生まれています。

さすがにコーヒーで、ピーチスキンという表現を使用するのは難しいとは思います。
ある程度の成分分析をしながら、言葉との関連を見出していかなければならないでしょう。

 

 

さてここで、テニスウエアー等、特にユニクロのポロなどについて…….いずれ。