パパ日記

ダンカンのナチュラルは衝撃的

現在、ナチュラルで流通している主な豆は、ブラジル、エチオピア、イエメン、中米ですが、夫々に香味の特徴があります。

ブラジルは、未熟豆の混入が多く、ボディ感はあるもののクリーンなものは意外に少なく、アフリカの豆とは根本的に香味の系統は異なりますのでここでの説明は省きます。

 

エチオピア及びイエメンで、モカとして流通しているものは欠点豆の混入、果肉の醗酵した香味のものが多く見られます。
日本人は醗酵食文化大国で、味噌、納豆などを食べ、モカの醗酵臭に抵抗のない方も多く見られ長く愛飲された歴史を持ちますが、基本的には欠点の香味が含まれていることが多々見られます。
ブラジル人であれば許容できず吐き出すかもしれません。

 

このような昔からのモカの香味に対し、エチオピアG-1やイエメンの優れた品質のものが体験できるようになりつつあります。
ナチュラルの精製に多く見られた発酵臭は極めて少なくなり、品質の向上が目立つようになっています。とりわけイエメンにおいては、ニュークロップも体験できるようになり画期的な変化が見られます、

 

 
このナチュラルのコーヒーの香味には、私のような一部のコーヒー関係者が強くこだわってきたものです。ごく最近の2010年前後あたりから、優れたエチオピア、イエメン、中米のナチュラルが作られるようになり、素晴らしい香味のコーヒーが流通し始めています。

 

 

新しい取り組みとして、中米特にパナマを中心にナチュラルの精製への試行錯誤が繰り返されました。
乾燥した産地であるエチオピア、イエメンとは異なり、湿気が多い中での乾燥や精製は難しく、様々な農園主がナチュラルにトライしてきた訳です。
幾多の苦労があったと思いますが、初期に比べ、今はきれいな香味の中米のナチュラルができていますが、コトワのダンカンのナチュラルはその代表的なコーヒーの一つといえます。

 

 

但し、この香味に対する国際的な評価のコンセンサスはなく、ナチュラルそのものが嫌いなコーヒー関係者もいます。しかし、他と区別しやすい個性的な香味ですので、それを求めるコーヒー関係者の方が多いでしょう。

 

 

高品質ナチュラルは、欠点の除去、乾燥の工程の手間などで価格が高いため、日本、米国共に取り扱えるロースターも限られ流通量は少ないと思います。
まだ未体験の方も多いと思いますが、飲んだ方には新鮮で感動的な香味として受け取られつつあります。
 

 

では、実際にどんなナチュラルが良いのでしょうか?
中米のナチュラルの創生期から、その香味を体験してきたものとしては、最近は完成度が高いものが増えたと感じています。

 

よいもの
欠点豆の混入が少なくクリーンです。
華やかさがあり、各産地による複雑な香味があります。

悪いもの
果肉の醗酵臭に近いものがあり、濁り感があります。
セルロイド臭などのオイリーさがあります。

 

 

まずは、堀口珈琲でエチオピアとイエメンの香味の違いを確認してください。
(ここは重要です、厳選された堀口珈琲のナチュラルが前提ですよ)

  1. エチオピア・イルガチェフェの優れたステーションのナチュラル
    ステーションにより香味の質は異なりますが、ベリー系の香味がベースにあります。焙煎が浅めであればレモン、ブルーベリー、深くなればストロベリー等も感じられます。
  2. 高品質イエメンのナチュラル
  3. 柑橘の果実の酸、赤ワイン、チョコレート、ジンジャー、シナモンなどのスパイス、焙煎が深めになると、フランボアーズのジャム、乾燥プラム、いちごミルク等複雑な香味を感じることができます。

 

 
これらを確認した上で、このダンカンの香味が、エチオピアとイエメンのどちらに近いか?また異なるのか?という観点からとらえるとわかりやすいと思います。

 

 

1週間飲んでみましたが、焙煎後3日以内は様々な香味がバラバラな印象で、香味に統一性や安定性が見られません。ビンなどに入れ常温で1週間から10日くらい保管して飲むと香味にまとまりが出るのを理解できます。
抽出は25gで260g、30gで300gを2~3分程度、抽出プロセスは様々に、湯の温度も91~93℃くらいからスタートしています。
今朝飲んだナチュラルは、クリーンで欠点がなく、完成されたナチュラルに近いのではないかと驚きました。

 

 

200gをビンや缶に常温で保管し、2週間程度で飲んでみてください。
香味の変化が楽しめると同時に、現時点での最高峰のナチュラルを体験できます。

 

 

香味は、焙煎仕立てはややイエメンよりですが、落ち着くとバランスがよくなりエチオピアとイエメンの中間地点のような印象です。
トテモなめらかな舌触りが印象的で、フレンチであるにも関わらず強い酸も感じます。柑橘やフランボアーズのジャム、梅干し、乾燥プラムなどの一体化したような酸味で奥行きがあります。

 

 

1週間飽きずに毎日飲めたナチュラルは初めてかもしれない。