パパ日記

ロイヤルコペンと日本の地場産業

コーヒーカップは、喫茶店にとっては重要なアイテムですが,最近のコーヒーショップには、カップに対する関心度は低いように感じます。
米国のサードウエーブや日本の新しい店も、店舗の雰囲気や紙コップ以外にも、コーヒーの香味や雰囲気とマッチングするコーヒーカップなどにいま少し目を向けた方がいいのではないかと感じます。
カップは消耗品ですし、良いものは価格も高くその使用が難しいかもしれませんが、一考の余地はあるでしょう。

 

 
陶磁器は好きですので、開店時から多くの陶芸作家を支援してきました。
様々な作家の個展にも足を運びますが置き場所がなく最近は購入を控えています。

 

 

 

日本の地場の陶磁器の産地は、伝統柄から脱皮できず、価格の安い商品におされています。
佐賀の有田や石川の九谷などは、価格も高く、長い衰退期に入り産業基盤が脆弱になりつつあります。
主には、地場産業が新しいデザインを生み出す構造が欠如しているという構造的問題があります。
それでも最近は、鯖江のメガネ、タオルの今治、金物の燕三条、南部の鉄器など新しい動きも見られますので期待したいですが、昔に比べると規模は縮小しています。

 

 

 

陶芸の場合、美術大学の出身者は自分で電気炉で作陶し、作家として自立する傾向にあります。
地場の産地に戻り就職するということはありませんので、新しい風が吹き込まれません。
また、多くは伝統的職人の世界が継続され、デザイナーがいません。
多くのデザイナーが、地場産業に入ればよいのですが、そのような事例は少なく、日本の伝統的な地場産業の構造問題でしょう。

 

 

 

北欧のミッドセンチュリーのデザイン等には関心が向き、家具などとともにカップにも関心が向います。
現在のフィンランドのアラビア、スエーデンのグスタフズベリなどの陶磁器会社もデザインが優先されます。
スエーデンやイタリアの伝統的なガラス工芸品もデザイナーがいて、職人とデザイナーが明確に分業化されています。

 
イヤーマグを毎年注文しているデンマークのロイヤルコペンハーゲンさんから、デンマーク制作のイメージブックがとどきました。
この会社は歴史が古く、blue fluted の伝統的な柄が定番になっていますが、それのみにとどまらず、常に新しいデザインの商品が開発されています。
ウエッジウッドやジノリなどもデザインの進化が無ければ、停滞することにでしょう。
むしろ問題は、きちんと絵柄をかける職人さんが少なくなったことで、プリントが多くなり、日本とは真逆の問題が生じていると思います。
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日本の絵付け技術は素晴らしく、ここによいデザインが加われば世界に通用する素晴らしい磁器が生まれるはずです。
そんな観点から、有田の作家に対し、新しい柄の創造を促し支援してきた訳です。