パパ日記

寡占化

日本生産のワイン国内シェアは5%程度(多いような気もしますが)といわれ、最近は国産ワインに注目が集まっています。主要なワインメーカーはすでに大手ビールメーカーの傘下にありますので、業界は寡占化の方向に向っていると感じます。

 

 

 

10年前はブドウ農家の継続が難しいと言われていたことを考えると、大きく変化したなと感じます。これには山梨の甲州種が日本固有の品種と認められたり、きいろ香(柑橘系のような)を見出した富永博士、和食に合うと盛んに述べていた田崎さんや、フランスに醸造を学びに行ったワインメーカーなどの積み重ねによるのでしょう。

 

 

 

甲州種については、過去この日記のブドウのテースティングで書いてきましたが、日本では最後のほうに収穫されるブドウで、種があり食べにくく食用の流通には乗りにくいブドウです。
しかし、とてもおいしいブドウで、その年の締めによく食べます。

 

 

 

それまでの日本のワインは、地場のブドウが使用されることは少なく、安く輸入したワインを使用したり、混ぜたりしたものが多く、産地のブドウ100%のワインは例外的でした。
ここから、昔の長野の田中知事が進めた2000年代初期の原産地呼称制度などは、国産ワインの品質向上に寄与していると思います。

 

 

 

その後、長野で玉村さん(昔ワイナリーを作った頃対談しました)のように自分でワイナリーを作る人も生まれ、最近では日本各地で追随する人が増えています。
ちなみに玉村さんのワインは早い段階で売り切れてしまいます。

 

 

 

しかし、中小ワイナリーの経営は、おそらく楽ではないでしょうから、観光農園としてレストランを併設したり、試飲会をしたりと多様に活動しているように思います。

 

 

 

日本では、山梨の甲州種を初め、昔からのベリーAやフランスの品種であるカベルネソービニヨンやメルローも作っています。先日北海道でピノノワールを作っている生産者とも会いましたが、この品種はなかなか難しいかもしれません。
日本の地場品種100%ワインの価格を見れば、日本酒よりは若干高くなりますが、それでも7000円を超えるものはほとんどなく、5000円でもかなり高い部類に入りますので、栽培から一貫して作ると、かなり大変な工程の割には安いと感じます。

 

 

 

ボルドー大学醸造化を経た中央葡萄酒・ミサワワイナリーの三澤彩奈さんの発泡酒は7000円で、多くのフランスのシャンパン価格と競合します。
勿論、生産量の少ない希少品ですので、今の時代であれば売れるでしょうが香味でも対抗できなければなりません。甲州ブドウがシャンパーニュ地方のシャルドネやピノノワールに対抗できるのか?少し応援したくなる気分です。
この発泡酒は、非常に辛口で冷涼感というか、どっしりしたインパクトのある発泡酒でした。
心意気とでもいうのでしょうか? 甲州のワイナリーを旅したことがありますが、栽培から一貫した生産は大変で、その労力や情熱に頭が下がる思いです。

 

 

 

国産ワインが、ビールメーカーにより寡占化される方向のように、コーヒー焙煎業も大手10社で70%程度のシェアがあり寡占化の方向にあるといえます。
1981年に150.000店以上あった喫茶店は約70.000店に減少し、そこを販売基盤としていた中小焙煎業は過去20年で100社程度減少(推定)しています。
反面、自家焙煎店は2000年以降増加し、その数は4000.とも5000店ともいわれ、家庭用の需要の拡大に寄与しています。
又、2000年以降は新たな業態としてのカフェも誕生し、2010年以降はコンビニ50.000店、FFやFR、職場、ホテルなど様々な場所で日本のコーヒー消費を支えています。

 

 

しかし、スペシャルティコーヒーの登場に反し、ロブスタ種の生産も拡大しています。
私がこの仕事を始めた1990年はアラビカ7:ロブスタ3でしたが、現在はアラビカの比率は6を割る方向にあります。アラビカの中でも高品質のものから低品質のものまで多様となり、それらは様々な場所で使用されているわけです。