世の中には、株価は上昇し好景気と判断する人もいて、現政権の経済政策が満点とまでいうおかしな人まで出てきます。しかし、それは自分を中心としてその狭い範囲でしか物事を見ることができないことの証で、実際にはよい面の裏には悪い面が混在しているという視点が必要です。
そのような中、団塊の世代(第1次ベビーブーム)は、10年程前から介護問題を抱え、10年後にはその多くが要支援者もしくは要介護者になる可能性が高く、その介護者として団塊ジュニア(第2次ベビーブーム)があたらざるを得なくなります。これが2025年問題といわれます。
産休や育休も重要ですが、さらに介護休暇が必要な時代は迫っているといえるでしょう。
すでに介護のために仕事を辞める人も多く見られます。
2030年の要介護者数の予測では800万人を超えます。(三浦 展/データでわかる2030年の日本/洋泉社)
更に団塊ジュニアが高齢になった時には、介護できる人口が足りず、さらに問題は深刻化が予測され、現状の経済基盤やインフラは維持できなくなっていると考えられます。
彼らは、就職氷河期に大学を卒業し、アルバイトや非正規社員で雇用された人も多く、(私の知人はデイトレーダーとして何とか生きぬいていますが..)結果として第3次ベビーブームは起きなかったと考えられます。
彼らが。高齢を迎える時にさらに大きな問題が発生するといわれています。これが2042年問題です。
したがって、各市町村は財政破綻を目の前にして、その存亡をかけた対策を練らざるを得ません。「未来の年表」(河合雅司著/講談社現代新書)では、その処方箋が書かれてはいますが、それらが適切であるのか?また実行できるのか?は現状では判断しきれません。
日本の高齢化は、大問題であることを政治家及び若い年齢層の人は、当事者にならない限り実感として理解できないのは致し方ありません。
しかし、不謹慎な言い方になるかもしれませんが、どの病院も超高齢化した老人でベットは埋まっていて、それをケアする看護師や介護士が足りず、勤務医の労働時間も長く、10~20年後を想像しただけで恐ろしいことになると容易に想像できます。
また少子化の中で、日本の子供の貧困問題も健在化しつつあり、厚生労働省の報告書では、相対的貧困率(世帯の所得がその国の全所帯の所得の中間値の半分に満たない/)食べ物がないなどの絶対貧困ではない)は13.9%で7人に1人(2015年/17歳以下)になっています。
2014のOECD調査では日本の貧困率は、先進諸国34カ国中、イスラエル、トルコ、メキシコ、チリ、アメリカ、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポルトガルについで10番目でした。
また国連児童基金(ユニセフ)は、相対的貧困率ではなく、標準的世帯との差で算出していますが、日本に対し警告を発しています。また一人親家族の子供の貧困率はOECD加盟国中最低です。
更には国際比較でも、スペイン、米国、イタリア、ギリシャに次いで貧困率が高いといわれます。
SDGsの17の目標の初めに「貧困をなくそう」というテーマがありますが、これは開発途上国のみの問題ではなく、先進国の抱える問題ともなっているからです。
日本においては、40歳以下は子供の保育に関心がありますが介護はまだ実感として感じません。
また60歳以上は少子化より現実的な問題として介護に関心があるでしょう。
これらのツケを負うのは若い年齢やこれから生まれる世代です。
しかし、多くの政策を担当する官僚や政治家は、生活の中にそのような体験を経験することは少ないでしょうから、リアルな実感を理解できないのではないかと危惧します。
また、これらは、日本の緊急課題であり、政策の転換と同時に家族の概念、都市と地方、男女のあり方等ともかかわり、日本のあり方としてサスティナブルの問題として考えなければなりません。
経済成長し、税の使用配分を替えれば問題は解決していく可能性は残りますが、現状の資本主義及び政党の政策の中でポジティブにとえることは出来そうにありません。
最終的には、民主主義の中で政策を決定するのは国民ですので、国民の民意にゆだねられます。
このような中で、「子供の貧困」については、食育、フードバンク、子供食堂の運営などの広がりも見られますが、その実態は明らかではありません。また、現実的には、食育を含め現場の対応はボランティアに負うところが多いのが実情であり、ボランティアなしでは問題はより深刻化していくと考えられます。