パパ日記

フレンチローストの幅

現在にイタリアにイタリアンローストがないように、現在のフランスにフレンチローストのコーヒーもほぼ存在しません。
日本の業界ではローストの8段階の区分は当たり前ですが、世界的には共有されていない概念だと思います。
現在イタリアの北部のミラノやジェノバにはミディアム程度のコーヒーも多く見られ、ローマでさえ多く見受けられます。フランスではコーヒーに対するこだわりはなくなりつつあるようでイタリアのコーヒーも多く流通しています。

 

 
ではその昔深いローストがあったのでしょうか?これは確認できないのでよくわかりません。
イタリアにはよくいきましたが、25年前には深いローストのコーヒーはイタリアには存在しませんでした。当然エスプレッソも深くてもシティ程度で、深いローストを感じたのはナポリのホテルでネルで抽出したコーヒーくらいでした。

 

 
イタリアンローストは、イタリアにいつ頃まであったのでしょうか?
それとも外見で深い焙煎のようにみえただけだったのでしょうか?
浅い焙煎になったと仮定すれば理由はいくつか考えられます。
しかし、的をえているかはわかりません。
ロブスタ一辺倒から酸味のあるアラビカも使用するようになったため、極端に深くローストする必要性が亡くなったとか、エスプレッソマシンの性能が上がり豆の香味を表現しやすくなったとか極端に苦いコーヒーの嗜好が少し変化したとか?
たった数十年前のことさえよくわからないのがコーヒーで、ここにコーヒーの文化的側面からの研究テーマが多く存在します。

 

 

 

日本のフレンチレストランの歴史は、ホテルから町場に移行して行きますが。
町場のレストランは40年前くらいのビストロからスタートします。
その後フランスで修業したシェフたちが、フランス(当時はロブの香味が多かった)のロブの香味を体験して帰国します。私が25年豆のこの仕事を始めた時には、頑固なシェフはフランスのロブの香味を無意識のうちに求めてきました。
アラビカこそコーヒー本来の香味と考えていた私は、香味に対する大きなギャップを感じました。そんな中で20年前に斉須さんが私の深めのローストのコーヒーを認めてくれました。

 

日本では、私の開業した25年前はミディアムローストが99%の時代でした。
例外的にフレンチ以上の深い焙煎をしているのは一部の自家焙煎店と某ロースターのみでした。

続く