パパ日記

高品質ナチュラルとは?

ナチュラル(果肉をそのまま天日で乾燥し、その後脱穀する方法)のコーヒーは、一般的には欠点豆の混入が多く、渋みや醗酵臭などが多く感じられます。
そのため、ブラジルでは水槽にチェリーを入れ過完熟の豆や夾雑物をとり、さらには果肉を除去したパーチメントを天日で乾燥するパルプドナチュラルの精製がされるようになりつつあります。
ブラジル以外でも、ナチュラルの生産国は多く、伝統的にはエチオピアとイエメンとなります。しかし、ともにモカと言われ一般流通している豆の品質は低いのが実情です。

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乾燥が終わったドライチェリー。

エチオピアでは、チェリーの段階でハンドピックすれば品質、香味はよくなりますし、イエメンでは産地を特定して品質向上を目指すことは可能となりつつあります。
ナチュラルの優れたコーヒーは、価格も高く通常は買い手がいない為作られることなくきました。
また、そこまでの香味を理解できる珈琲関係者も少なかったと思います。
現在は、初めから購入する意思のあるロースターやインポーターの存在があって初めて生まれるコーヒーといってもいいでしょう。
堀口珈琲のような開拓者がいてこそ日本市場に流通するようなコーヒーともいえます。

 

 

このようなコーヒーは、スペシャルティコーヒーの先端的、もしくはまだ実験的な領域のコーヒーともいえます。日本のスペシャルティコーヒーの品質や香味をリードしているのはサードウエーブというような曖昧で定義や特定のできないメディアが作り出した架空の存在ではなく、きちんと本質を見定め生豆を購入し続けている会社であることをご理解ください。

 

 

 

エチオピア・イルガチェフェ コンガG-1
日本で流通するエチオピアのナチュラルは、欠点の多いG-4やG-5が大部分でモカとして流通しますが多くに発酵臭などがあります。
コンガはG-1グレードとなり、欠点豆の混入が少なくなります。
堀口珈琲は、一貫してナチュラルのG-1を求めてきましたが、生産国の仕組みが機能せず、又エクスポーターの理解力が欠如して簡単には作れませんでした。
やっと、時代が堀口珈琲に追いつき始め少量ですが生産が始まりましたが、価格は高くいまだ買い手は極端に少ないのが現状です。
未熟のチェリーなどのハンドピックや、乾燥工程が丁寧なためクリーンな香味となりますが、この香味を理解できるロースターはまだ少数派といえるでしょう。価格も高く日本入港の多くを堀口珈琲が購入しています。

 

 

華やかな酸があり、豊かな香りがこれまで体験したことのないような香味の世界に誘ってくれます。ただし、個性が強すぎ一部に好まない方も出るかもしれません。
浅めのローストの場合は、酸が華やかになり、レモンティー、チェリー、プラム、ピーチなど多様な香味が混在します。
深いローストになるにつれ、ブルーベリーや乾燥プルーン、赤ワインなどの風味が加わり複雑な香味を形成します。

 

イエメン・イスマイリ
モカマタリと称される一般的なイエメンは、未熟や発酵臭などがある場合が多くカップのクリーンさに欠けます。多くは欠点豆の香味といえるでしょう。
トレサビリティがある程度わかるイエメン産のコーヒーは世界的にもほとんど流通はなく、このイスマイリはかなり特殊な高級品といえます。
こんな生豆が買えるようになったのはごく最近のことです。
時代は急速に変化していますが、価格も高いのが実情で、日本入荷の多くを堀口珈琲が購入しています。

 

 

イスマイリは、イエメンの中でも小粒でローストが難しい豆ですが、浅いローストから深いロースの間でさまざまな表情を見せます
浅めのローストでは、明るい酸やイチジクのような香味、かすかにスパイスを感じます。深いローストにすると甘い蜜とチョコレートの風味が生まれます。
ともに独特の風味で、イエメンの上級な香味を堪能できます。

 

 

 

パナマ・コトワ ドンカ

数年前からパナマの一部農園がナチュラルの精製を実験的に行ってきました。
本来雨や湿気がある気象条件から、カビなどがつきやすく乾燥が極めて難しいのですが、試行錯誤を繰り返し、品質の安定し優れたナチュラルの豆が完成しつつあります。
その主導的立場の一つにコトワがあります。
中米でナチュラルの精製を行うことの意義を疑問視する傾向もありましたが、出来上がったものは欠点の香味のない優れたもので、その存在が認知されつつあります。
但し、中米の精製はウオッシュトが基本ですので乾燥工程が長くなるナチュラルの生産は少量です。

 

 

ドンカのナチュラルは、欠点の香味はなく上品な仕上がりです。
ナチュラルフレーバーがほどほどで、「こんなコーヒーが作れるんだ…」と驚きです。
初体験の香味といってもいいでしょうか?
シティローストは、かすかに甘いチョコレート風味が舌に残ります。
3つのコーヒーは、世界の最高峰レベルのナチュラルコーヒーです。
世界広しといえども堀口珈琲でしか体験できない香味の世界だと思います。
尚、ナチュラルの最も多い生産国のブラジルの優れたナチュラルを20年追いかけてきましたので、いずれそのあたりにも触れましょう。

 

 

*ナチュラルフレーバーについて
駄目なものは、発酵臭、渋みが伴うが日本人はあまり気にしない傾向がある。発酵食品を多く食べるので許容できる人もいるが、ブラジル人はイレギュラーな味で吐き出すかもしれない。
いいものは、果実の風味、柑橘、プラム、乾燥プルーン、赤ワイン、チョコレート、スパイスなどの香味の一部を感じることができる