パパ日記

M&A-4 日本

私が、1990年にこの仕事をし、25年を経ましたが、その間のコーヒー業界の激動は米国のみではありません。日本のコーヒー業界でも多くの激震が走りました。

 

 

 

大手ロースターであったアートコーヒーは、焙煎事業とコーヒーショップチェーンを運営していましたが、焙煎、販売部門は2008年に三菱商事が100%出資し新会社として再スタートを切り、その後ショップチェーンはゼンショーが買収しました。(現在その一部がカフェミラノとして展開されています)

 

 
また中堅のロースターであったキャラバンコーヒーも2006年にユニマットグループの傘下となりユニマットキャラバンになっています。そのユニマットは、1998年に「カフェラミル」を、2003年に「オーバカナル」を買収し、店舗展開を図りますが、ユニマットキャラバンは、2010年に2社をドトールコーヒーに譲渡し、現在はロースターと40店舗の運営をしています。
 

 

シアトル系のタリーズは、すでに伊藤園の傘下にあり、名古屋のコメダコーヒーは、ファンドであるアドバンテッジパートナーズの傘下となり、その後韓国系の投資ファンドとMBKに株式を譲渡されています。
そのアドバンテッジは、ポッカコーポレーションを、2014年にはコーヒーマシンメーカーFMIを傘下しにしています。

 

 

 

日本の大手ロースターであるキーコーヒーは、2014年に通販販売量の多い「加藤珈琲」を子会社に、2013年「銀座ルノアール」と資本業務提携し、2012年六本木交差点の名物店である老舗の「アマンド」、2005年には大きなケーキでその昔一世風靡した「イタリアントマト」を子会社にしています。

 

 

 

最後に、日本最大規模のUCCは、2012年スイスのユナイテッドコーヒー(ジュネーブ/2011売上453億/生豆使用1.200.000袋)を500億円で買収しています。
国内市場が伸び悩むなか、欧州市場の事業強化するようです。
それ以前にUCCは2009年に一部上場のユニカフェを、2008年には全国チェーン店の珈琲館をグループ会社としています。
 

 

過去を思い出しながら調べていたら、日本のコーヒー業界でも当たり前に買収、譲渡が行われていたことがわかりました。米国がその成長に伴い、売却する傾向が強い反面、日本の場合は、な何らかの問題があり身売りする事例も見られます。

 

 

 

 

補足)
カフェラミル
歴史は長く、確かコクテール堂さんのオールドクロップを売りにした深い焙煎のコーヒーを使用していたと記憶しています。(現在はちがう豆)
このあたりについては、詳しい方が多くいるとは思います。
私が開業した1990年は、東京を中心にコクテール堂さんのオールドビーンズを使用するコーヒー専門店が東京には多くありました。
ネルで抽出し、温めで出すスタイルでしたが、焙煎の深いコーヒーとして当時人気がありました。
しかし、私は農作物としてニュークロップにこだわりましたので基本的考え方は対極にあり、かすかに産地の個性的な酸が残り柔らかな苦みのコーヒーを目指しました。
しかし、この時代はミディアムトーストの豆が大部分(99%)の時代でしたので、鮮度のよい硬い豆を使用する(豆のしわが伸びないなどの理由で)ロースターや自家焙煎店はあまりませんでした。
生豆問屋は入港後しばらくした豆や柔らかな豆を多く扱っていました。
固すぎる豆に対しては、ダブル焙煎などというやり方さえありました。

 

 

 

オーバカナル
日本におけるフレンチスタイルのオープンカフェの走りで、1995年原宿が1号店です。まさにフランスからそのまま持ってきたような店で、食事もでき時代の先端をゆきました。ブラッスリーとでもいうのでしょうかパリの食堂という雰囲気で一世を風靡した店です。その後ビルの老朽化で取り壊されます。
またすでに広尾には1993年平松さんが「カフェ・デ・プレ」(現在は店名変更)を作っていました。
もう1店、表参道に「カフェ・ド・フロール」があり、オープンカフェ文化を形成していました。
ここで働いていた山下さんは後にパリの「カフェ・ド・フロール」でフランス人以外で初のメゾン・ギャルソンになります。パリの伝統的というか極めて保守的な(排他的もしくは差別的)カフェ文化の中では画期的なことでした。

 

 
ル・リオン
このころ、喫茶店が衰退を繰り返し、2000年あたりから、現在のカフェの基になる食を中心とした東京カフェが誕生していきます。(2003年くらいまでに生まれたカフェは、東京から生まれたためこのような呼ばれ方をしました。)フロールのギャルソンであった須田さんは、「Nid Café」などを経由し、2006年恵比寿に「ル・リオン」を開店します。
ル・リオンの料理は、このブログで何度か紹介していますが、(検索してくださいね)日本のビストロ、ブラッスリー的料理で、渋谷の「VIRON」(東急本店前、1階がパン屋で2階がレストラン)共々このような歴史の中で受け継がれています。
尚、日本のビストロは、今から40年くらい歴史を遡ることになりますのでいずれお話しします。