パパ日記

味覚センサ-1

味覚センサーは、人間の舌で感じる五味を脂質膜などで作ったセンサーで数値化して読み取ります。
九大の都甲教授が20年以上前に開発し改良されつつ今日に至り、食品、医療関係で使用されています。
長所は味を数値化でき一目で内容を把握できること、短所はすべての食品に十分に対応することは難しく、数値は強弱であり質はわからないことでしょうか?また、香りも感知しません。

 

 

 

五味(酸味、苦味、塩味、甘味、旨味)は先味と後味に区分され、8つの指標からなります。すべての指標を当てはめようとすると無理も生じますので、2次元マップ、例えば酸味と苦味などの表で表示している事例も多く見られます。
研究室で、このセンサも実験の一部に取り入れていますが、まだどのように使えばよいのかについては試行錯誤中の段階です。

 

 

 
味は、数値化されますので商品開発、セールスプロモーションなどでは利用価値が見いだせます。
市場の商品の指標、開発したい試作商品の指標からその差異が読み取れますので、どのような味にしていくかを数値から判断でき、求める味に近づけることができます。
また、ブレンドの違い、焙煎の違いなど自社製品の味の違いを数値として比較できますので、使い方次第では便利といえます。

 

 

しかし、各味を質的に細かく見ていくと、難しい面もあります。
苦味は毒を感知さなければなりませんので他の味に比べ閾値が極端に低くなります。
コーヒーの苦味は焙煎による影響度が最も強く、カフェイン(焙煎度によるカフェン量も変化は少ない)などの苦味への影響比率は小さく、苦味を指標とすることが難しい項目となります。
したがって、SCAAの官能評価項目に苦味はありません。

 

 
センサをより有効に使用するためには、8つの指標とコーヒー成分の相関を見る必要も生じます。
勿論官能評価との相関性も重要となります。
そのため、味覚センサを味の指標として有効に使用している事例はまだまだ少なく、夫々の食品においてのセンサの解析方法を確立する必要を感じます。
センサの酸味は主にクエン酸、リンゴ酸、フマル酸に、苦味はキニーネなどに、渋味はカテキンなどに、また塩味は一部酸にも反応しますので、そのあたりを確認しつつ質的な分析をどのようにするのか?がテーマとなりますが、コーヒーも一筋縄ではいきません。

 

 

 

先日、このセンサを開発した都甲教授の開発プロセス研究の講演を聞きましたが、私の頭では難しすぎてまったく理解できませんでした。現在は香りセンサの研究もされているようです。

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