パパ日記

元旦 その2・シューマッハ「 small is beautiful」

新年おめでとうございます。
資本主義は、モノを作り売ることに加え投資する時代に入っています。
日本の市場は縮小しますので海外に進出したり、投資したりして収益を上げる方向に構造転換しています。
大手企業の収益は円安による輸出利益や海外での利益で潤っていますが、中小企業や個人商店の収益は少ない傾向にあり、格差が拡大し介護や少子化にも影響を与えている訳です。

 

 

 

本来、近代資本主義の中には倫理観があり、グローバリズムの中で利益優先に傾きすぎてきました。
したがって、資本主義に対し、CSR(社会的貢献)が問われる時代になり、それらは「安心、安全」から「環境配慮、人権」などに広がり、その活動が消費に影響を与える傾向も見られます。
そして、前述してきたSDGsにも繋がっていきます。

 

 

 

最近の多くの企業のデータ捏造問題などはコンプライアンス(compliance/企業が法律や企業倫理を順守)の喪失と言わざるを得ません。
これらは企業を構成する人の倫理観の問題に集約されると考えられます。
これらは教育や宗教的側面などから形成されてきたものと考えられますが、生産優先の中で次第に変質していったと思います。

 

 

 

さて、現在の実感なき経済成長と、介護、貧困、格差、将来への不安の中で我々はどのようにすればよいのでしょうか?答えは複雑さの中であるようでないような?難しさが残ります。
ITの発展と共に共存していかなければならない時代の中で、自分をどのようにとらえればよいのでしょうか。

 

 

 

40年以上前の古い本ですが、シューマッハの経済書である「small is beautiful」が参考になるのではないかと感じています。
この本は1973年の第1次石油ショックのころに書かれたもので、化石燃料を動力として成長した工業文明への有り方を根源的に問いた本として有名です。
今の世界には、このような思考や志向が必要ではないかと考えます。

 

 

 

私がサラリーマン時代に流行った本で、「小さいこと、簡素なこと、安い資本でできること、非暴力的(反原子力)」などを上げ、「大量消費、大きければよい」から「適正な消費、限度」というどちらかというと人間の幸福感にも焦点を当てた経済学であるとともに哲学書だと思います。
この本の出版後、経済はバブル崩壊、リーマンショックなど過去の反省に立つことなく限りない成長を追い求め続けています。

 

 

「化学・技術の力による発展に夢中になって、現代人は資源を使い捨て、自然を壊す生産体制と人間を不具にするような社会を作り上げてしまった。富すべてがうまくいくと考えられ、カネは万能とされた。」
そのため彼は「、価値観を改め、政治に目標を切り替えること」、「世界人口と資源・消費の関係を、長続きする均衡状態に持っていかなければならない」と提案しています。
今でいうサスティナブルの概念をいち早く提唱していたと感じます。

 

 

 

また、ミャンマーの事例を基に「仏教経済学が適正規模の消費で人間としても満足度極大化しようとするのに対し、現代経済学者は、適正規模の生産で消費を極大化しようとする。」
さらにはキリスト教の基本道徳には、「知恵(prudentia)、正義(justitia)、勇気(fortitudo)、節(temperrantia)という現実的に困難に対処できる生活態度がある」など経済の暴走の抑止としての道徳心などを経済学のなかに取り入れた経済学者です。

 

 

 

これらは、現状の事象に対するアンチテーゼとなりうるものと考えられます。
但し、古い本ですので、現状にかみ合わない部分もありますが、最近の日本企業の多くの捏造、不正を見れば、それらが生産優先のひずみであり、倫理観の低下から生まれたことがわかると思います。
最終的には各自が自分の心を整えること=人間の英知に期待しているのだと思います。
このようなことが理解できれば、個人が株価に一喜一憂したり、ビットコインで一獲千金を求めることもなるでしょう。

 

 

 

この本には影響を受けましたので、私の創業時の基本理念が香味=品質であった訳です。

続く

 

 

新年早々午後からテニスをします。