パパ日記

サマーブレンド

No8のブレンドより、やや酸がへり苦みが舌に残ります。

このローストでも酸が残るのですから、すごい生豆の力を感じますね。

コーヒーは酸と苦みを基準とした香味のように思われますが、苦みは非常に難しい香味です。
人間の味覚は毒を判別するために苦みを識別する本能をもっているのだと思います。
コーヒーは苦みを感じる独特の飲料です。
この苦みの感覚は、味覚の発展とともに進化してきました。
日本人の味覚は、春の味としてこの苦みとうまく付き合い、その良さを認識してきています。
フキノトウ、菜の花、タケノコ、ウド、ワラビ
さんまのわた、アユ、(究極はフグのキモ)など独特な文化を形成しています。
大人の味といってもいいかもしれません。
やや渋みを伴う場合もありますね。
コーヒーでは、苦みはあまりいい香味とはとられられないことも多くありますので、
苦みにもいい苦みと、悪い苦みと区分しておくのがいいでしょう。
一般的には、コーヒーの初心者や20年前の飲用経験のない時代はこの苦みに対処するため
砂糖やミルクを多く使用しました。今でのコーヒー入門者はコーヒーを苦いといいカフェラテなどを
しかし、味覚が開発され慣れてくると、砂糖の使用量がへり、ミルクも使用しなくなる傾向もあります。つまりコーヒーの場合、苦みに対する嗜好性は増していくように思います。
ではいい苦みとよくない苦みは何でしょう?
よくない苦みは、ローストにおける焦げた苦み、煙りを多くかぶった煙り臭などで、
いい苦みは柔らかでなめらかな苦みということができるでしょう。
一般的には、コーヒーを深く炒るとベークド、スモーキーになります。
これには2つの理由があります。
1.生豆に力がないこと
2.焙煎機にその対応能力がないかローストスキルがないこと
そこでその対応として堀口珈琲は、1990年の開業時から
1.寒暖の差がある産地で酸とコクの内包した生豆を探し使用してきた
2.焙煎機を改良したり、ローストのスキルをアップしてきた
ことで素晴らしい香味の深いローストのコーヒーを作ってきたわけです。
サマーブレンドは、No8よりアフターにかすかに苦みが残りますが、刺激的ないやな苦みではありません。日本人が自然の中で見出してきた春の苦みの延長の香味だと思います。
コーヒーの嗜好性は、浅い紅茶のような色のコーヒーの香味から、ビターチョコレートのような色のコーヒーの香味に移行していくというのが私の考え方です。
もちろんさまざまなロースト度合いでの、優れた香味はありますが、
苦みの表現はだれにでも作ることのできない奥深いコーヒー香味の本質を内包している訳です。
*なお、コーヒーを客観的に評価する場合、苦みは評価項目にはない場合が多く見られます。
サンプルローストがミディアムからハイローストですので、酸とコクで評価します。
但し、この評価の中で、優れたカッパーであればどの程度深いロースト(苦み)が可能かを判断できます。