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おいしく安心なデカフェでコーヒーライフはもっと充実する

おいしく安心なデカフェでコーヒーライフはもっと充実する

まだ眠気が覚めない朝の始業前。もしくは時間を忘れ読書にふける深夜。

そんなとき、机のかたわらにある飲み物NO.1と言えばコーヒーではないでしょうか。
コーヒーはシャキッとする苦味だけでなく、カフェインの覚醒作用によっても眠気が覚めるため、味わいだけでなくその薬理作用からも世界で愛飲されています。

その一方で近年は“カフェインレスコーヒー”や“デカフェ”など、カフェイン自体を取り除いた商品が普及し、輸入量はこの10年で約2倍にも増えています。(※参考 全日本コーヒー協会「デカフェコーヒーの輸入推移」)

 

では、なぜカフェインレスコーヒーやデカフェが求められるのでしょうか?

カフェインは身体に悪いのでしょうか?
デカフェなら安心安全なのでしょうか?
……さまざまな疑問が湧いてきます。
本記事ではそんな“カフェイン”や“デカフェ”にまつわる疑問を解消していきます。

 

「コーヒー飲みたいけど……、やめておくか」

そんな我慢はもう不要です。

「デカフェはおいしくない」

まずは先入観を一度捨てて、ぜひご覧ください。

いつでも、どこでもコーヒーを楽しむことができる“おいしいデカフェ”があれば、コーヒーライフはもっと充実します。

 

 

デカフェってなに? いつでもどんな方でも楽しめるコーヒー

 

デカフェの定義はカフェインの含有量で決まる

デカフェ(decaf)とは“カフェインを除去した”という意味のdecaffeinatedを略した言葉で、カフェインが含まれる原料からカフェインを除去した飲食物を指します。
“カフェインレス”という言葉もありますが、“デカフェ”と同じ意味合いで用いられます。

コーヒーにおけるデカフェやカフェインレスの定義はカフェイン含有量で決められており、日本(全日本コーヒー公正取引協議会)では“カフェインを 90 パーセント以上除去したコーヒー”と定義されています。

 

カフェインの作用にはメリットとデメリットがある

では、なぜカフェインを除去したコーヒーが広く求められているのでしょうか?
それはカフェインによる作用に良い側面がある一方で、時と場合によっては好ましくない影響を及ぼすからです。

代表的な例は、カフェインによる覚醒作用です。カフェイン摂取によって脳の神経細胞の活動が活性化することによる“中枢神経興奮作用”は、摂取後15分~2時間ほど持続すると言われています。これにより眠気覚まし、疲労感の軽減、集中力や作業効率の向上といった良い側面がある一方で、寝る前の時間帯に飲むと不眠、過剰に摂取すると心拍数増加やめまいといった悪い影響を及ぼします。

その他にもカフェインによる“胃液分泌促進作用”は消化を助けるといわれる一方で、空腹時には胃を荒らしてしまう可能性がありますし、“利尿作用”はなかなかお手洗いに行けない長距離移動中や会議中には好ましくないでしょう。
いずれにしても、カフェインの過剰な摂取は身体に悪影響を及ぼすので注意が必要ですが、飲むシーンや量に気を付ければ健康に大きな支障はありません。

 

適切なカフェイン摂取量とは?

では、適切なカフェイン摂取量とはどのくらいなのでしょうか? その“適量”には個人差があり一概に言うことはできず、日本においては明確に決められていません。ただ、国際機関の注意喚起等から判断すると、健康な大人では、コーヒーカップ3杯以上を一気に摂取しないよう注意しながら、1日4~5杯程度までなら健康リスクは増加しないと言えそうです。

参考)農林水産省HP(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

 

 

こんなシーンやこんな方にはデカフェがおすすめ

 

これまで見てきたとおり、適量の範囲でコーヒーを飲んでいればカフェインによる健康リスクは気にしなくてよいものの、それとは別の問題としてカフェインの作用が現れてほしくないシーンもあります。そんなときにこそおすすめしたいのがデカフェです。

 

覚醒作用を抑えたいシーン(夕方以降など)

 

 

夕方以降に「コーヒーが飲みたい」と思っても「眠れなくなるからやめておこう」と諦めたことはありませんか? そんなシーンでもカフェインの影響が少ないデカフェなら、飲みたい気持ちを我慢する必要はありません。コーヒーでほっと一息ついた後でも、ぐっすり眠ることができるでしょう。

例えばこんなシーン)
・夕飯後、甘いデザートを食べながら
・晩酌をした後、ほっと一息酔い覚ましに
・寝る前のリラックスタイムに読書をしながら

 

利尿作用を抑えたいシーン(長距離の移動や会議中など)

 

 

「コーヒーは飲みたいけど、お手洗いの回数が増えるのは困る……」
そんなときにもデカフェは最適です。

例えばこんなシーン)
・長距離の移動中や運転中
・長時間の会議等で席を立つのが難しいとき
・映画や読書に集中したいとき
・お手洗いに行く頻度を増やしたくないご高齢の方にも

 

妊婦さん・授乳中の方

 

 

妊娠中の女性が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。参考までに、世界保健機構(WHO)では「カフェインの胎児への影響についてはまだ確定していないが、妊婦はコーヒーの摂取量を一日3~4杯までにすべき」とされています。

参考)厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html

 

お医者さまからカフェインの摂取を制限されている方

 

 

精神疾患を治療中の方は、カフェインによる覚醒作用が不眠やパニック発作の誘発に繋がってしまう恐れがあるため、注意が必要です。胃炎治療中の方も、症状悪化の恐れがあるため同様です。

お医者さまからカフェインの摂取を制限されているけれどコーヒーが飲みたい方は、デカフェならよいか相談してみましょう。

 

 

コーヒーからカフェインを抜き取る3つの技術とその安全性

 

3つのカフェイン除去製法

「コーヒーの生豆からどのようにしてカフェインを除去しているのだろう?」

「身体に有害な物質を使ったりはしていないのだろうか?」

本章ではそんな疑問や不安に答えていきます。
カフェインの除去製法は大きく分けて、

①水による抽出

②二酸化炭素による抽出(超臨界二酸化炭素方式)

③有機溶媒(薬品)

による抽出の3つがあります。

 

①水による抽出(スイスウォーター式)

コーヒー生豆を水に漬けてカフェインを抽出する製法です。ただ単に水に漬けるだけではカフェイン以外も溶け出してしまい、コーヒーの風味を形成する成分が損なわれてしまいます。

そこで、カフェイン以外の水溶性の成分をあらかじめ溶かし出しておいた飽和水を用意し、その水に生豆を漬けることでカフェインだけを選択的に除去することが可能となります。

 

②二酸化炭素による抽出(超臨界二酸化炭素方式)

温度と圧力を調整して液体の状態にした二酸化炭素にコーヒー生豆を漬ける、もしくは超臨界の状態(気体と液体の両方の性質をもった状態)にした二酸化炭素にコーヒー生豆を接触させることでカフェインを除去する製法です。

超臨界状態の二酸化炭素を使用したカフェイン除去製法は、近年注目されている技術の一つです。気体の拡散性と液体の溶解性の2つの性質を併せ持った超臨界状態の二酸化炭素をコーヒー生豆と接触させることで、カフェインを選択的、かつ効率的に取り除くことが可能です。

 

③有機溶媒(薬品)による抽出

酢酸エチルやジクロロメタンといったカフェインが溶け出しやすい有機溶媒にコーヒー生豆を漬けてカフェインを選択的に除去する製法です。溶媒の残存性の問題や発ガン性の問題から現在日本では流通が禁止されています。

 

処理方法によって安全性に違いはあるの?

上述の通り、有機溶媒(薬品)によって処理されたデカフェは安全性の観点から日本において流通は認められておりません。日本において流通しているデカフェは“水”または“二酸化炭素”を適切に用いた製法で処理されているため、安全です。安心してお召し上がりください。

 

おいしいデカフェの条件は高品質な生豆と適切な焙煎

 

デカフェはおいしくない?! そんなことはない!

 

「そうは言っても、デカフェはおいしくないからなぁ……」

そんなイメージを持たれている方も多いかもしれません。

しかし、コーヒーの風味に対するカフェインの影響は大きくないため、カフェインを除去したからといってコーヒーのおいしさが全て損なわれるわけではありません。

コーヒーのおいしさに影響するのは、カフェインを除去する過程においてカフェイン以外の成分も抜けてしまうことです。ただ、近年ではそれを最小限に抑えるための研究開発が進み、デカフェ処理技術は高精度化しています。

では、なぜ“おいしいデカフェ”が少ないのでしょうか?逆に言えば、高度なデカフェ処理技術のほかに“おいしいデカフェ”に必要な条件とはいったい何でしょう?

 

おいしいデカフェの条件①『高品質な生豆』

 

 

重要なのは、素材となるコーヒー豆の品質です。

高度なデカフェ処理技術によってカフェイン以外の成分が抜けてしまうのを最小限に抑えられたとしても、元々のコーヒー豆の品質が低ければ“おいしいデカフェ”にはなり得ません。

しかし、コーヒー豆からカフェインを除去するためには処理施設への輸送や処理に費用がかかるため、通常のコーヒーとして輸入するより高コストになります。デカフェを通常のコーヒーと同等に提供しようとすると、価格(すなわち品質)の低いコーヒー豆を使用することになります。それでは必然的に通常のコーヒーよりも味わいが劣るコーヒーになってしまいますが、デカフェは“カフェインが除去されていること”に商品としての付加価値が生まれるため、“おいしさ“の優先順位は下げられ、品質の低いコーヒー豆がデカフェ用に使用されることもしばしば。

当たり前のようですが、“おいしいデカフェ”のための第一条件は、高品質な生豆を使用することです。

当社の経験を踏まえてさらに言えば(少しマニアックな話かもしれませんが)、高品質な生豆の中でも、デカフェ処理においてカフェイン以外の香味成分が流出しづらいであろう高地産の「豆質の硬い」コーヒーで、かつ「香味の総量が多い」素材であれば、カフェイン以外の香味成分の流出を最小限に抑えつつ、元々のコーヒーに備わっている香味がしっかり感じられる“おいしいデカフェ”になります。

 

おいしいデカフェの条件②『適切な焙煎』

 

 

高精度な処理技術によってカフェイン除去された高品質な生豆。それをおいしく仕上げるのは“焙煎”です。

通常の豆と同様、適切な焙煎が施されて初めてコーヒーの“おいしさ”が生み出されます。しかし、カフェイン除去された生豆の焙煎は、色付きの違いが把握しづらく、煙の量も少ないなど通常の豆よりも焙煎中の変化が読み取りづらいため、より集中力が必要とされます。

そこはロースターの腕の見せ所。素材を理解し、確かな知識と技術によって焙煎されることで“おいしいデカフェ”が完成します。

 

まとめ

 

 

カフェインによる作用には良い側面がある一方で、時と場合によっては好ましくない影響を及ぼします。

カフェインについての知識を正しく理解し、飲むシーンに応じてデカフェをうまく取り入れることで、コーヒーを楽しめる時間帯や場所の幅がグンと広がります。

日本において流通しているデカフェは有機溶媒(薬品)を使用せず“水”か“二酸化炭素”によって処理されているため、薬品の残存等の心配はせず、安心してお召し上がりいただけます。

デカフェはおいしくない?

そんなことはありません。高品質なコーヒー生豆を高精度な方法でカフェイン除去し、熟練の技術によって焙煎することで、“おいしいデカフェ”は生まれます。

おいしいコーヒーを諦めている妊婦さんや、時間帯によって我慢している方は、ぜひお気に入りのコーヒー屋さんでデカフェを試してみてください。

おいしく安心なデカフェで、コーヒーライフはもっともっと充実します。

 

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参考文献)
『コーヒーの科学』(旦部幸博:著) 講談社刊

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