パパ日記

2026-5 深煎り焙煎競技会の1 深煎りコーヒーとは

2月26日、27日の2日間、富士珈機(株)の東京支店でフレンチロースト焙煎競技会が行われます。私が運営の責任者となります。
フジローヤル深煎り勉強・競技会2026 ++ フジローヤル コーヒーミル・焙煎機 株式会社富士珈機
コーヒー市場で一部浅い焙煎のコーヒーがトレンドになっていますが、この傾向の発端は2000年代初期のバリスタ選手権にさかのぼります。
北欧のロ―スターが中心になって作られたSCAE(ヨーロッパスペシャルティコーヒ協会:2017年にSCAA)と合併しSCAになった)が、イタリアのロ―スターの進出に対抗するために立ち上げたバリスタ選手権がその先駆けとなります。
北欧は浅い焙煎が主流ですので、彼らが主導した選手権では浅い焙煎の北欧勢力が優勝を繰り返しました。

その後2010年代には、スターバックスに対抗して台頭した米国のサードウェーブ(スタンプタウン、インテリジェンシア、カウンターカルチャーが御三家と言われた)が浅めの焙煎を主流にして市場に進出し、「酸味、シングルオリジン,透明感のあるコーヒー」が米国のスペシャルティコーヒー市場の一部に浸透します。

さらに、2004年にSCAAが作成したカッピング規約は、アグトロン63前後というシナモンローストとミディアムローストの中間程度の浅めの焙煎と定められました。浅い焙煎の方が、欠点を見出しやすく、ウォッシュトコーヒーの酸味を捉えやすく、2010年以降に新たに参入するマイクロロースター(自家焙煎店)に大きな影響を与えました。

2020年代に入っても、「浅い焙煎、ゲイシャ、ナチュラル、発酵と」いう風味の嗜好性が維持されています。これら3つの要因により、浅い焙煎が広まったと考えます。結果として、バリスタ選手権やその他の競技会では、「酸味、透明感、ナチュラル、発酵、特殊な品種」がメインとなり、「深い焙煎の酸味の質、明確なコク、柔らかな苦味、複雑さ」は評価されない歴史が20年近く続いています。

これらの競技会は市場に大きな影響を与えてきましたが、日本の市場全体のシェアを見れば中煎りや深煎りの方が大きな市場であることに変わりはありません。

一方、このような一部の浅煎りトレンドとは対極的に一貫して深い焙煎にこだわって来たロースターや自家焙煎店も多くあります。私は、フレンチローストの風味の中にこそコーヒーの風味の神髄があると信じて、35年間深い焙煎にこだわってきています。

そして今、コーヒーの焙煎度に関し、時代は大きな転換期に差し掛かっていると感じます。浅煎りから深煎りへの転換が、静かに少しずつ浸透しつつあります。深い焙煎は浅煎り中心の競技会の焙煎技術の方法とは根本的に異なります。深煎りは、生豆素材の良さ(品種の密度や硬度)や高い焙煎技術力が問われる世界であると考えます。

この競技会は、1月20日に募集開始しましたが、募集開始3分で30名の定員が埋まってしまいました(参加費30,000円)。深い焙煎に対する関心度の高さを象徴していると考えます。2月2日に私が参加者向けオリエンテーションを行います。

「よい深煎りとは何か?」「そのためにはどのような生豆が必要なのか?」ということが、現在世界的に理解されていないと考えますのでパート2で解説したく思います。さわりとして、深煎りの簡単な定義のみ挙げておきます。
よい深煎りコーヒーの風味とは、「焦げのない柔らかな苦味の中にかすかな酸味と甘みと旨味が残り、なめらかさを伴う複雑なキャラクターを持つコーヒー」で、「焙煎管理数値は、Agtronスケール30~40、L値17.0、pH5.6~5.7、歩留まり80~82」(但し、これらは焙煎条件、測定条件などにより大きく変動するためあくまで参考値)です。
最終的な焙煎の「プロファイル及びRate of Rise」そして「メイラード反応」については競技会終了日に私が講演する予定です。

次回、焙煎度が、生豆の持つ密度(成分値に影響される)や生豆の硬質・軟質さ(栽培管理などに影響される)で決まることを解説します。
  

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