パパ日記

ケニア・リアンジャギとワイン

リアンジャギは、安定した香味でケニアを代表する豆です。
その香味は複雑系のため、その香味を完全に理解するにはケニアコーヒーに精通する必要もあります。

ワイン用語で言うと「開く」という言葉で説明するのがいいでしょう。
1997年のワインを2003年と2007年と2011年に飲む場合は、いつ頃が一番いいかはテースティング時に判断します。
このときいつ頃が飲み頃になるのかの判断は、そのワインの持つ力を勘案し、それまでのテースティングの経験と照らし合わせ判断していきます。
さらに難しい場合は 2008年にいい香味に開いても、また2009年には「閉じる」「かたい」などのケースもあり
いいワインであればあるほどその状態把握は難しくなります。

以前にも解説したようにリアンジャギは、過去十数年のオークションの歴史で当時最高値落札された生豆です。
優れたワインと同じようにこの生豆の寿命は他のケニアやその他の生産地の豆とは根本的に異なります。
寿命が5年しかないワインと20年もち、後にその香味を発揮するワインは価値が異なります。
長く持つほうが香味が複雑で、実の完熟、丁寧な栽培、優れたテロワールの裏づけがあります。

中米産などのドライコンテナの豆が日本入港後1年以内に劣化していくのにもかかわらずケニアは1年持ちます。
さらにリアンジャギはリーファーコンテナ(冷蔵)で輸入、定温倉庫で保管していますのでその寿命はさらに長くなります。この過程の中で微妙に香味が変化していきます。
多くの場合、その特徴をより複雑にしていきます。

1.ナイロビからのサンプルローストをしたのが2011年の1月頃
 「少し硬い印象でした。ケニアの潜在的な香味を内包しているのが理解でき、時間経過とともに開くであろうと
  判断しました。長年のケニアの膨大なカッピングの体験から判断しています。
    堀口珈琲研究所はおそらく高品質ケニアのカッピングについては日本で最も多くを体験しているはずです。」

2.日本に入港した5月頃
 「期待と不安の中、そのすぐれた香味に驚愕しました。
 2年続けてこのようなコーヒーを確保できたことを素直に喜びました。
 香味はまだ全開ではなく、さらなる多様な香味を出すであろうという予感を信じていました。」

3.そして現在から
 「飲み頃に向かいつつあるように感じます。
 これから来年の次のクロップの入港まで、この豆はその実力を発揮していくでしょう。
 見事にクリーンなカップ、濃縮感が見事、その濃縮の中に柑橘の甘い果実、熟したチェリーのような果実の風味が
 内在 しています。
 オペラやトリフチョコなどの多くのチョコレート系のフランス菓子、中でもフランボアーズのチョコレートケーキなどに
 合うでしょう。
 何月が最高の香味のピークなのか?は1年間飲んでみてのお楽しみです。
 ワインを1ダース購入し、毎年1本ずつ空けて12年間の香味の変化を楽しむのと同じといえるでしょう。
 毎月もしくは2ヶ月に1度お試しいただければと思います。」

「コーヒーの香味の世界もやっとここまで来たんだ」と思う今日このごろ…………。東京は雨です。